空京

校長室

終焉の絆

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終焉の絆
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リアクション


イコン部隊撃退 1

「光の少女は坑道に逃げたとのこと。いかがしましょう?」
「イコン部隊は出入り口を固めろ。教徒たちには坑道を探させる。無論、奴等もな。
 世界を救う、と大層な目的を持ちながら何の手段も見出さぬあいつ等に備えろ」
「光の少女を見つけた場合は?」
「即刻殺せ」
「はっ!」
 エレクトロンボルトの命令を受け、イコン部隊やグランツ教徒たちが行動を開始。
 当のエレクトロンボルトはまだ動かないようだ。
「……何も考えず、先を見通すことも出来ない愚か者共が。
 今度はこのエレクトロンボルト直々に屠ってくれる」
 エレクトロンボルトが何かを見上げる。大きな金色の、機体を。


 ドワーフの坑道の出入り口前には多数の敵イコン部隊が控えている。
 防御陣形を敷き、攻撃してきた相手を迎撃していく布陣だ。
 坑道前には多くのグランツ教徒たちが突入する準備をしていた。
 先行して突入している教徒たちもいるが、まだ全てが突入したわけではない。
「それじゃ初めの戦いの鐘の音、鳴らさせてもらいますよ!」
 イコンダスティシンデレラver.2がゆっくりと動く。
 敵に見つからないよう、パイロットであるメイ・ディ・コスプレ(めい・でぃこすぷれ)マイ・ディ・コスプレ(まい・でぃこすぷれ)は細心の注意を払う。
 幸い、敵は準備に集中しているようで二人には気付いていない。
「防御は万全ですか?」
 メイに尋ねられたマイがほぼノータイムで答える。
「帝国製魔導フィールドも展開済み。【シューニャ】も準備済み、多少の攻撃なら弾き、流せるよ」
「了解です。じゃ、遠慮なく重力操りますよ」
 ダスティシンデレラver.2の右腕部が上がると同時に、敵イコン部隊の付近に重力への干渉が発生。捻じ曲げられた重力が敵イコン部隊を不意撃つ。
「て、敵からの攻撃! 重力干渉によるものです!」
「慌てるな。重力に干渉する類の技は必ず視認できる位置にいる。目を凝らして探せ。それでもわからなければ各部隊から四方八方に攻撃を行―――」
「敵発見! 近づいてきます!」
 イコン部隊員がイコンの急襲を告げる。
「何機だ?」
「一機、それもパワードスーツでの特攻です!」
 その言葉を聞いてイコン部隊長は一瞬何かの冗談かと思った。だが、事実なのだ。
「ようやく気付いたか〜。でももう遅いんだよねぇ。既に僕の間合い、なんだからさっ!」
 テンペストを身に着けた鳴神 裁(なるかみ・さい)が疾走する。たった一度の蹴りで、その姿を見逃してしまいそうなほどに速く。
 その身には黒子アヴァターラ マーシャルアーツ(くろこあう゛ぁたーら・まーしゃるあーつ)を装着している。
 黒子アヴァターラをコアとし、魔改造に魔改造を加えたPS用格闘装備。その機動力においては、他イコンと比肩することも難しい。
「ボクは風、風(ボク)の動きを捉えきれるかな?」
 同時に裁が風と化す。高速移動で敵イコンへと一気に近づき、「撃針」を放つ。
 突然の攻撃、その数秒後にようやく攻撃されたということに気付いた敵イコンたちが裁を迎撃しようとするも、視認できるだけで攻撃まで追いつかない。
「んじゃ、ここからはキビキビ行くよ!」
 その目で耐久度の低そうなイコンに狙いを絞り執拗に叩いていく裁。
「はいはい次次! 速すぎて、ごにゃ〜ぽ☆」
 相手を挑発しつつ敵イコンを翻弄しながら、着実にダメージを与えていく。
「あー……師匠は気にしなくていいですかね。こっちから見ても変態的な機動で倒されそうにないですし」
「……メイちゃんは真似しないでね?」
「しないです、というかできません。っと、左右がガラ空きですよ」
 ダスティシンデレラの機晶エネルギーナイフを搭載した遠隔操作式ビットが敵イコンの頭上、左右から攻撃。
 ブレードビット、更に裁のかき回しにより敵イコンの注意は散漫になる。
「ほう! 俺たちと同じように装甲歩兵がいたか! 負けてられんな!」
「機動が少し、悪魔的ですが」
 パワードスーツアーコントポウライを装着した三船 敬一(みふね・けいいち)白河 淋(しらかわ・りん)の参戦により、パワードスーツvsイコンのような状態になりつつあった。
「俺たちも負けているわけには行かないな! ワイアクロー用意。攻撃目標は前方脚付き!」
「了解」
 そう言うと敬一と淋は同時に対神像大型バズーカを担ぎ上げ、敵イコンの足の間接部に狙いをさだめて射出。
 対イコン用に作られたバズーカが炸裂し、敵イコンの間接部が悲鳴を上げる。だがまだ完全に倒しきったわけではない。
 攻撃を受けたイコンが敬一たちに気付き、銃弾を発射する。
「ワイアクロー!」
「了解」
 勢いよく飛び出した鉤爪は敵イコンの肩部へとひっかかり、よじ登るようにして飛来する銃弾を回避した二人。
 更に対神像大型レーザーライフルを同時に敵の頭部へ撃ちこみ、視界を奪う。また到達地点間近で鉤爪を外して、足の方へと落下開始。
 落下地点は先ほど攻撃した間接部。二人はPS用のカタナを抜き、脆くなった間接部を思い切りぶった斬る。
 その攻撃に耐え切れず、イコンの両足は間接部から下側が切断され歩行不能となる。
「巨躯を誇ろうとも、足を殺され視界もなくなれば……ただの木偶の坊と成り果てる」
「別のイコンからの攻撃、来るぞ! 退避しろ!」
 敬一の叫びに淋が反応してその場から退避。すると何も出来なくなったイコンに敵の攻撃がモロに当たり、盛大な爆発を巻き起こす。
「ためらないなしか。やりにくい相手だ」
「っとっと! そこの人たちもパワードスーツで戦うんだね! 一緒にがんばっていこ〜!」
 いつの間に後ろにいたのかわからない裁が敬一たちに声を掛けると、敬一もそれに答える。
「おう! 奴らに装甲歩兵の誇りを叩きつけてやろう!」
 裁、敬一によるパワードスーツでの攻撃は敵側への動揺を誘う。だがそう長くは持たない。
 この機を無駄にしまいと、他イコンたちが入り口に固まる敵イコン部隊を蹴散らしにかかった。