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リアクション
ドワーフ廃坑道に潜む光と闇 2
契約者たちや各学校の校長たちが先を急ぐ。グランツ教徒たちの姿は見当たらない。光の少女の姿も、未だ見当たらず。
このまま大人数で動いていても効率が悪いため、それぞれバラけて探索することとなった。
「……マリザ、聞こえるか」
探索に参加していた瓜生 コウ(うりゅう・こう)がパートナーであるマリザ・システルース(まりざ・しすてるーす)に連絡を取る。
現在、マリザは傭兵団と共に坑道の外にいる。入り口を引き返すのは危険だと判断したコウは、外と内から別の出入り口がないかを調べようとしていた。
『聞こえるわ。ただ有益な情報はないわね』
「まあ、まだ焦るような時間じゃないさ。そのまま外から探してくれ。可能ならば外の状況もよろしく頼む」
『了解したわ』
マリザとの連絡を一旦終え、坑道内を走るコウ。
真っ直ぐに進むだけではなく、光が漏れ出している箇所、風が吹き込んでいる場所はないか注意しながら進んでいく。
「女の子を追いかけ回すなんて、酷い事するよねー!」
「危険分子は潰す、か。そう急ぐこともあるまいに」
グランツ教徒のやり方に顔を膨らませる五月葉 終夏(さつきば・おりが)。パートナーのニコラ・フラメル(にこら・ふらめる)と一緒に光の少女を探していた。
「でもどこにいったのかな? あんまり暗いところにはいかないよね?」
「どうだろうな。その少女がどういった人物なのかわからんし、敵を撒くためにあえて暗いところへと逃げ込んでいるかもしれん」
ニコラの言葉に終夏はそれもそうかもしれないと先入観を捨てる。
未だ情報は『この坑道内に光の少女が逃げ込んだ』だけなのだ。見つけるのはそう簡単ではないだろう。
「そうだね。っとここは暗いなぁ……ランタンランタン……」
終夏は銀細工が施されたランタンを手に取り明かりを灯そうとする。
「! 気をつけろっ! 一瞬だが殺気を感じたっ!」
ニコラの言葉とほぼ同時にランタンが辺りを照らすと、数メートル先にグランツ教徒の姿があり、終夏に襲いかかろうとしていた。
ニコラの声を聞いた終夏は寸でのところで対応する。咄嗟に大地を裂けさせ、尖った岩を呼び寄せグランツ教徒を攻撃、これを撃退する。
「あ、あぶなかった……」
「すまん。気付くのに時間がかかった……しかし、本当にこいつか……?」
「でも、他には誰もいないよ?」
終夏の言う通り、倒したグランツ教徒以外には何の姿もない。
「ほら、女の子もいないし、次行こう次っ! ランタンはこれからずっとつけてようねー」
「うーむ……」
ニコラは違和感を覚えながらも終夏についていく。その違和感は、じりじりと姿を見せていく。
「私たちはここらの捜索でいいのかしら?」
「ああ。この辺には誰もいないからな。問題ないだろう」
周りに誰もいないことを確認しつつ、光の少女の捜索を行うのはターラ・ラプティス(たーら・らぷてぃす)とジェイク・コールソン(じぇいく・こーるそん)。
「グランツ教徒たちが大人しく諦めてくれたら楽なのにね」
ターラの希望的観測を聞いたジェイクは即座に否定する。
「ありえないだろうな。ターラだってそう思っているんだろう」
「まあね……って噂をすれば、ね」
ターラの目の前にはグランツ教徒の数人いる。だが、ただの信者。戦闘力は左程高くはない。
「それじゃ大人しく、寝ててもらおうかしら」
キャアアアアアアア!!
「今の声は、女の人の悲鳴です!」
「声は向こうの方からか? 光の少女か?」
「わからないけれど、行ってみましょう!」
女の悲鳴を聞いた六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)とアレクセイ・ヴァングライド(あれくせい・う゛ぁんぐらいど)が声がした方へと急ぐ。
程なくして現場に到着すると、そこには倒れているグランツ教徒たちとターラとジェイクの姿があった。ターラとジェイクも床に倒れている。
すぐさま駆け寄ってターラとジェイクの状態を確認する優希。
その後方ではアレクセイが殺気看破を行い警戒を強める。
「意識はないけど、命に別状はないみたいですね……何か気配はありますか?」
「いや、何もねぇ。どこにも害をなそうとする気配はねぇが……」
アレクセイが倒れているターラとグランツ教徒たちを一瞥した後、首を横に振る。
「契約者が教徒如きに遅れを取るとは考えにくい。……不意打ちならともかくだが、この辺は比較的見通しも良い。可能性は低いだろうぜ」
「つまり、私たちが駆けつける前には、ここに第三者がいたってことですね?」
「そうだな、っと!」
アレクセイがいきなりサンダーブラストを放つ。……しかしそこには何もいない。
どうやら適当に魔法を放ったらしい。
「……本当にいねぇのか、いるとしたら相当な奴等だな。今ので驚かねぇんだから、さ」
カマをかけるように言葉を坑道内に響かせるアレクセイだが、辺りでは何一つ動かない。
ともかく、優希たちはターラたちを介抱しつつ他契約者や校長たちにこのことを知らせることにした。
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