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リアクション
イコン部隊撃退 3
「すっげぇな、こりゃ」
蓬莱内からリョージュ・ムテン(りょーじゅ・むてん)が感嘆の言葉を述べる。
だが、メインパイロットである白石 忍(しろいし・しのぶ)は静かに目を瞑って、心を落ち着けている。
「……平気か?」
リョージュが忍に話しかける。忍は目をゆっくりと開けて、意志の篭った瞳で敵を見て、覚悟を告げる。
「怖いなんて、言ってられないです……生身で、たった一人で逃げている少女は、この何倍も怖いはずですから……」
蓬莱がアサルトライフルを装備して、一歩踏み出す。
「サポート、お願いします」
「任せろ! 子猫ちゃんは俺たちが守るぜ!」
アサルトライフルから弾丸が射出されると、敵イコンの体表に突き刺さるようにいくつもの穴が開いていく。だがその攻撃では足りない。
「こんの、旧型機がぁ! 邪魔なんだよぉ!!」
攻撃を受けた敵が持っていた銃を蓬莱目掛けて乱射する。弾丸は蓬莱の左足部へと着弾。
「きゃあっ!」
「忍、前を見ろ! 突っ込んでくるぞ!」
リョージュの言うとおり敵が突っ込んでくる。しかし、蓬莱は近接装備を持っていない。
近づかれたら一貫の終わりだ。
「さて、どれを狙えばいい?」
「こっち来てる、偉そうな奴かなぁ」
と、蓬莱と敵イコンの間にNobleClownが割り込む。
敵の近接攻撃をソウルブレードで受け止める。
『すまないが、援護をお願いできるかい?』
NobleClownのパイロット佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)が蓬莱へ支援を要請すると、忍は答えるより早くアサルトライフルで再度攻撃。
攻撃を受けた敵イコンは後退するが、NobleClownがそれに追いすがる。
「突っ込むぞ」
「そのためのレイピアだもんねぇ。ほいっと」
佐々木 八雲(ささき・やくも)の操縦に即呼応してソウルブレードを突き出す弥十郎。その刺突は敵イコンの胴体部を貫通した。
「たむろされると困るんだよねぇ。ほら、坑道はみんなで仲良く使わなきゃ、ね?」
「元はドワーフのものだがな」
敵を撃破したことを確認しても、そのゆるやかなペースに変わりはなかった。
『あの、助けてもらってありがとうございました』
『いやいやーこちらこそ助かったよ。ありがとう、以降もよろしくしてもいいかな?』
『やれるだけ、やってみます!』
こうして忍と弥十郎がタッグを組み、着実に相手を追い詰めていく。
「入り口に布陣していたイコン部隊残り僅かですっ」
「よーし! じゃあもう一踏ん張りしよう!」
ふっくらとしたスカートを穿いているかのようなイコンホワイトスノゥ・オーキッドから支援攻撃を行うネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)。
その機体制御を行うラディーチェ・アコニート(らでぃーちぇ・あこにーと)もまだまだ健在だ。
「入り口周辺は十分戦力があるねっ! ならちょっと離れた位置にいる敵を刺そうかな」
「わかりました。移動しますよっ」
ラディーチェが狙撃しやすい位置にゆっくりと移動。敵に気付かれないよう、注意を払いつつ無事に移動終了。
今度はネージュの番。ウィッチクラフトライフル越しに世界を覗き、排除すべき敵を見つけ、トリガーを引く。弾丸は逸れることなく真っ直ぐに敵へと着弾。
敵のスラスター部分を重点的に狙い撃ち、行動を制限していく。
「さすがに一撃じゃ仕留められないよね……」
『見事なお手前でーちょいと良いとこ取りかもわからんけど、援護させてもらうわ〜』
突然の無線、しかも若干酔っているような口調だ。通信相手はジェファルコン特務仕様に搭乗するシーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)。
「えーっと……『酔ってない? 平気?』」
『平気平気! うちのエースがなんとでもしてくれるっから!』
そう言われたエース?笠置 生駒(かさぎ・いこま)がため息をつく。
「ハードルを上げないでくれ」
「ええやんええやん」
シーニーに不満そうな目をくれた後、敵への全ロックが完了したの見計らって、生駒が敵を一掃するための攻撃を開始。
「まあ、イコン戦での爆発は華、とでも思って散ってくれ」
多弾頭ミサイルランチャーから多数のミサイルが発射され、それぞれの敵へと向っていく。
ドーン!
バーンッ!
ドギャーン!
『ぐっじょぶ、ぐっじょぶ!』
『確かにいい仕事だけど、やっぱり酔ってない?』
『かまへんかまへん!』
シーニーが酔っ払っているかいないかは謎だが、
ともかく複数の敵イコンは爆散し、坑道入り口周辺の安全が確保された。
これを見た突入組みの契約者たちが坑道入り口へと雪崩れ込んでいく。
それを見届けたイコン部隊は入り口に陣取り、防御体制を整えるのだった。
「坑道入り口のイコン部隊、壊滅しました」
「だろうな。敵は健在か? 光の少女は?」
「先陣を切って戦闘していた敵イコンは補給に、戦っていなかったイコンたちが防衛に回っています。
光の少女については未だ見つけられていません」
「……最優先、我々の目的は光の少女の抹殺だけ、そう伝えたはずだ」
「し、失礼致しました! その様に改めます! で、では!」
エレクトロンボルトへ報告しに来た部下は慌てて自分の持ち場へと戻っていった。
「出来の悪い部下たちだ。……だが、坑道内に入ったのなら、それもいい。まとめて消せれば言うことはないからな、はははは……」
エレクトロンボルトが怪しげに笑う。坑道内に、何かいるのだろうか。
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