空京

校長室

終焉の絆

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終焉の絆
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イコン部隊撃退 2

「今攻め込まなきゃ嘘ですよ。攻撃は顕著に狼狽してる敵から」
「了解した。一気に斬りこむ!」
 上社 唯識(かみやしろ・ゆしき)戒 緋布斗(かい・ひふと)の二人が搭乗する稀緋斗がうろたえている敵の懐へと近づいていく。
 十分に近づいた後、機晶ブレードで一閃。よろけた相手へすかさずライフルを撃ちこむ。斬撃と銃撃に晒された敵イコンが爆発する。
「ここを抑えておけばいくらでも融通がきく。まずはここからだ」
「十時方向から敵多数。面倒です、覚醒を」
「わかった。……一気に落とす!」
 ヴィサルガ・イヴァを使用して擬似覚醒状態に移行する稀緋斗。
 先ほどとは比べられない程機体のスピードは速くなる。
 その速さを持って迫り来る敵へと逆走、すれ違いざまに敵イコンの装備している武装ユニットを切り落として戦力を削り取る唯識。
「……やはり制御が難しいな」
「継続時間は15〜20分です。その間は鬼神が如く働きを」
「善処するよ」
 それから数十分敵陣を駆け回り、敵イコンを引き付けながら敵機を撃墜していく。その名、稀緋斗が如く。

「おお〜駆け回ってますねぇ。何か色々と〜」
「ええ。動きが格段に違っているところを見ると覚醒状態に入ったイコンが一機、視認し辛いですがパワードスーツが何名かいるようです」
 敵から遠く離れた場所にアルシェリアが浮遊している。
 その中ではアルトリア・セイバー(あるとりあ・せいばー)の索敵結果を聞き、佐野 ルーシェリア(さの・るーしぇりあ)が照準を絞っていた。
「射線に出てこなければいいのですが、ねぇ」
「こちらからは何も伝えていないため可能性はありますね。ですがこの射線上ならば可能性は低いかと思われます」
 アルトリアの答えに、ルーシェリアが頷く。
 スコープ越しの視界の中で敵を探す。最も射抜きやすく、射線上にいる者。
「……!」
 ウィッチクラフトライフルからカートリッジに充填した魔力を放つ。
 狙撃された相手の左腕部が千切れ飛んだ。と同時に、裁と敬一が敵を囲んで一挙に攻撃、撃破させることに成功。
「おお〜、ちっちゃいながらもパワー満点ですね」
 スコープ越しに感嘆の声をあげるルーシェリア。その後もアルトリアの声を聞き、場所を変えながら狙撃を続けていく。
 王ちゃんに乗る晃月 蒼(あきつき・あお)レイ・コンラッド(れい・こんらっど)も戦線に参加するも、敵イコンを引き付けるのがやっとだった。
「ようやく死角が出来たか、イコン部隊に感謝せねばな」
「敵勢力は十分に連携できていません」
「了解した。これより砲撃を行う。慢心が如何に畏怖すべきモノか気付いてもらうとしよう……」
 飛空機動要塞戦艦ミッドガルドが要塞砲から砲弾をバラ巻く。
 命中精度はそこまでないにしろ、その攻撃は脅威。足並みが揃っていない相手には効果的だ。
 敵の統率の崩れを見た武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)ヒルデガルド・ブリュンヒルデ(ひるでがるど・ぶりゅんひるで)はこの機に乗じて攻撃を開始。
 同時に他イコン機の補給受け入れと第二陣の準備をする。
「発艦及び着艦はスムーズに行われています。戦況は上々です」
「なるほど。攻撃も絶え間なく行えている。友軍機からの敵座標も信頼に足る」
「このままアウトレンジで決めたいところですね、幸祐」
「そうだな。せめて入り口を確保するまでは、な」
 入り口確保後はこちらが防御になり、相手の攻撃に臨機応変に対処しなければならないことを考えつつ、今は入り口確保に全力を注いでいく幸祐。
「では第二陣イコン機、発艦してください」
 ヒルデガルドの指示に従い、ミッドガルドから味方イコンが出撃する。

「見たところセラフィム級っぽいイコンはいないね」
「坑道の他の出入り口を探しているのかも……何にせよ今がチャンス」
「うん。様子見はここまで、あとはいつも通りに行こうか」
 赤き、何枚もの刃を身につけたかのようなイコン{ICN0005243#ヴァーミリオン}が空を行く。
 十七夜 リオ(かなき・りお)は先ほどまで様子見に徹し、セラフィム級のイコンがいないことを確認。
 更に統率もおざなり、ということを見抜き今が狙いどころだと判断。
「【シューニャ】のサポートも良好、セラフィム機が来る前に入り口確保して、セラフィム機とか新型機が来たらまた様子見、かな」
 ヴァーミリオンの機影に気付いた数機のイコンがまとまりのない攻撃を仕掛けてくるが、フェルクレールト・フリューゲル(ふぇるくれーると・ふりゅーげる)の操縦技術は被弾を許しはしない。
「機動力なら、負けられないってね! V−LWS出力調整、いけるよ、フェル!」
「わかった。……無理せず、無茶してやってみる」
「それは僕のセリフ! それに今回は……無理せず、無茶して、とことんいくんだよ!」
 その言葉を聞き届けたフェルクレールトは、十分出力調整されたヴァーミリオンの速度を最大限に生かしつつ、距離を縮めるために覚醒を実行。
「坑道には影響がでないように……エネルギーを一点に集中……細く、早く、鋭く、そしてっ」
 赤き風、ヴァーミリオンが敵イコンへと直進し、
「穿つ!」
 胴体部にそのまま体当たりをぶちかますと、衝撃音が辺りに響いた後に敵イコンが爆発する。
 ヴァーミリオンは止まらずすぐさま移動を開始。相手に照準を絞らせないようにして、体当たりを思い切りぶちかましていく。