空京

校長室

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆

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【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆
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リアクション


始まりの前に

『ミーナさん、こないだぶりです、お元気ですか?
 コロンさんも、お元気でしょうか。

 今、イルミンスールから連絡をしています。其方も其方で、忙しい所でしょう……すみません。
 まずは、イルミンスールが枯れずにすむ未来の可能性を紡いでくれた事、改めて、ありがとうございます。

 現状、此方は……パラミタそのものの、滅びを避ける為……新たな世界を作る“世界産み”とか言う試みに、希望を集めて、可能性を紡いでいる所ですね。
 そして、光条世界という所の“創造主”が、猛反対……と言いますか、大暴れしている所でも、あります」


「そういう訳で、あたし達は今、この辺一帯の希望を集めて“世界産み”の儀式を行っている所に送っている、中継地みたいな所や、希望を持つ人達を襲う脅威からそれらを護ろうと、活動中ですわ。
 この連絡は、未来への希望というなら……ミーナちゃんに伝えない訳にはいかない……っていう、近遠ちゃんの思いですわね。
 お互い未来に向けて、頑張りましょうですわ」



「……そっか。彼らの世界はそんな大変なことになっているんだね」
 非不未予異無亡病 近遠(ひふみよいむなや・このとお)ユーリカ・アスゲージ(ゆーりか・あすげーじ)の声を聞いたミーナ、そしてコロンが心配するような表情を浮かべた。
 流石に彼らの力をもってしても、時代も次元も異なる世界――ミーナとコロンの居る世界は、今のパラミタの未来の可能性の一つということになっている――に力はおろか、言葉すら届けることは出来ない。
 こうして近遠とユーリカの声が届いただけでも、それだけで奇跡に等しかった。
「おにいちゃん……」
 コロンがミーナを見上げる。ミーナはコロンに頷いて、声を発した。
「僕達も、祈ろう。彼らの世界が絶たれることのないように。彼らが望む未来を、掴めるように」
「……うん!」
 コロンが頷いて、ミーナと手を取り、そして祈る。
 ――2人の世界樹の、世界を救おうとする祈り……それは一瞬の奇跡となって、時代を超え次元を超え契約者の力となるだろうか――。

◆   ◆   ◆


 彼らに電報が届いた。
 古風な形式の通信手段は送り主には似合わないのかもしれないが、そのものの軍人的気質を如実に表すものだった。

『光を運ぶ鳥達。かつて匣より出る闇を打ち消した様に、再び闇を払う事だろうと、私は確信している。我らが世界と友の世界の為。光の子らに栄光あれ

ーーーーーーーマシュー・アーノルド

◆   ◆   ◆


シャンバラ儀式場で人々の救護活動に大忙しのオメガ・ヤーウェ(おめが・やーうぇ)は…ふと手を止めた。
戦場へ赴いた友達が無事なのだろか、…と。
「わたくしにできることは、これくらい…。―…共に戦うことは出来ませんが。また、笑顔で会えるように…と、思うことくらいです…」
首から下げたイルカのペンダントを握り、彼ら全員帰ってくるように祈ったのだった。