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リアクション
シャンバラ儀式場を守れ! 5
【鋼鉄の獅子】メンバーは、クローラの指揮の下、
シャンバラ儀式場の防衛をする。
ラック・カーディアル(らっく・かーでぃある)は、
タロット・カードを1枚引いて、つぶやく。
「世界のカード……未来がどうなるかはわからないけど、できる事をやるまでだね」
「世界中から人が集まっているんだから……
この戦いが終わってパーティーを開いたら
世界中の料理が食べられるんだよね……!
いつになく気合いが入ってきたよっ!」
一方、ラックのパートナーのイータ・エヴィ(いーた・えびぃ)は、
そんなことを言っていた。
「イータ、よだれがたれているよ」
「えっ!」
ラックはごしごしと口の周りをぬぐうイータを見て微笑を浮かべる。
「それに、
たまには教導団らしいお仕事をしておかないとね。
新婚ホヤホヤのクロちゃんをここで倒される訳にはいかないし」
カール・イェーガー(かーる・いぇーがー)は、
小型飛空艇アラウダで上空から警戒を行っていたが、
注意を喚起する。
「どうやら、やってきたみたいだ。
皆、行くぞ!」
パートナーアレックス・ジーン(あれっくす・じーん)も、
カタパルトの照準を合わせる。
「巨大な怪物でも、協力して倒せば、その後の戦いが有利になるはずだ。
指揮官をヤレってのはセオリーだしさ」
ドラゴンのような姿の異形のモンスターは、
毒の息を吹きながら、こちらに向かってくる。
カタパルトを発射し、
さらに、魔法で、アレックスが支援を行う。
「グアアアアアアアアアアアアアッ!」
「よし、そうだ、こっちに来い!」
機関銃を連射して、カールが巨大なモンスターを引きつける。
「無理はしないようにね」
「いやあ無理はしないよ。
こんな所で死んだら、弁護士になる夢が叶えられないからね」
ラックに答えるアレックスだが、
必死に戦っている。
「ああ、あの堅物のクロちゃんでも結婚できるんだ、
気のもちようでいくらでも未来なんて変えられるよ」
「回復ならまかせてっ!
お腹がすいたならお弁当もあるよっ!」
ラックとイータは、そう、うなずき、カールとアレックスの支援に入る。
【鋼鉄の獅子】のメンバーたちは、
お互いに連携しつつ、
やがて、巨大なドラゴンのモンスターを倒した。
「やった!
だけど、まだ、油断しないようにね」
「ああ、もちろん」
カールにラックがうなずく。
一行は、再び襲いくるモンスターを前に、戦い続けるのだった。
クローラ・テレスコピウムは戦う。リュシュトマ少佐の総指揮の下、【鋼鉄の獅子】隊と共に。
クローラは妻にして戦友、ユマ・ユウヅキと共にある。
彼の分身のようなもう一人のパートナー、セリオス・ヒューレーもすぐ近くにいた。
それにとどまらない。クローラと共に戦う【鋼鉄の獅子】シャンバラ儀式場守備隊がいる。
戦いは乱戦へと変わり、乱戦は泥沼の様相を呈し始めるが、隊は今なお、一人の脱落者も出していない!
すでに声は枯れ、指揮を行う腕も汗と硝煙にまみれているが、それでもクローラの心は挫けなかった。いや、けっして挫けることはないだろう。
「儀式場を守りぬく! この戦い、決して負けられない!」
もはやクローラは一個の人間ではなく、未来を支える柱であった。
不退転、クローラの覚悟はその手にしたバズーカにも宿っていた。彼が五月雨撃ちにて鈍色の弾を次々放てば、
「悪いけど、ここから先にはとおさないよ」
そう微笑するセリオスのフラワシが、烈風と炎を撒き散らしこれに追い打ちする。
ユマも銃撃に加わる。《DoW》の傭兵団も一斉に行動する。【鋼鉄の獅子】が暴れる様はまるで、熱と爆風に彩られた炎の宴だ。
炎に呑み込まれる怪物たちには、後悔する時間すら与えられまい。
パンッ、と弾ける音がして、七枷陣の眼前の怪物が倒れた。
イオリ・ウルズアイの弾丸が命中したのだ。怪物は小山ほどある巨体だったが、針の穴のような弾痕、たったその一つで前のめりに倒れた。正確に急所を抜かれたゆえだろう。
「イオリ、ナイスアシスト!」
陣は怪物の死体を踏み台に、たっと駆け上がりひらりと舞う。
「祈りの時間を稼ぐ……というがな、小僧」
仲瀬磁楠がぴたりと息をあわせた。磁楠は陣の着陸点たるべき場所を、黎明と宵闇の双剣で薙ぎ払っている。
「別に、すべて倒してしまっても構わんのだろう?」
磁楠が余裕の口調で短く告げると、その声に陣の声が被さった。
「唸れ、業火よ! 轟け、雷鳴よ! 穿て、凍牙よ!」
磁楠が唱和する。
「侵せ、暗黒よ! そして指し示せ……光明よ!」
「セット!」陣が呼ぶ。
「クウィンタプルパゥア!」磁楠が声を重ねる。
ふたりは、寸分違わぬタイミングで叫んでいた。
「爆ぜろ!」
業火、
雷鳴、
凍牙、
暗黒、
光明、
魔法の五大属性が一斉に爆発した。鮮やかに咲き誇る。大輪の花のように。
されどそれは美しいばかりではなく、猛然たる破壊力をもった花だった。
広範囲にわたる大破壊が巻き起こり、邪悪なる存在は悲鳴を上げる間もなく消え去った。
五色の輝きが陣の瞳に宿り、そして消えた。
その刹那である。陣が己の祈りを、“滅びを望むもの”へと向けたのは。
彼は祈った。
【救えなかった奴が沢山いた。でも、それがきっかけで救えた奴だっていたんや。辛くったって、救えた奴を放りだせるわけねーだろうが!】
万感の想いとともに、祈った。
飛空艇で上空を旋回するロイ・グリーンの目にも、七枷陣が巻き起こした五色の爆発ははっきりと見えた。
「すげえな! だが俺も負けてらねぇ……エドワード、頼んだ!」
「承知」
エドワード・ゲネスは操縦桿をぐいと引いた。
ロイとエドワードを乗せた飛空艇は、急角度でカーブを描き、飛来する敵集団の前を挑発気味に横切った。これは効果が高い。集団はいきりたち、たちまち隊列が乱れてしまったのだ。味方飛空艇がこれをすかさず銃撃し、ハエを落とすようにして撃墜していく。
「っと、邪魔なのがいる」
だが近くを横切りすぎたらしい。ふたりの飛空艇の翼に一匹の怪物がとりついていた。
「お、おいエドワード!」
「そう慌てなさんな」
焦るロイを尻目にエドワードは操縦桿を放してさっと矛を抜き、これで怪物の背を突いて叩き落とした。
「ほらロイ、グレネードグレネード」
「わかってるって!」
ロイは地上目がけてグレネードランチャーを見舞い、ローラ・ブラウアヒメルの背後に迫っていた敵を焼き滅ぼした。
「ナイスだ俺! これが終わったらローラさんをお茶に誘うか」
「……」
エドワードは首をすくめる。そっちの命中率はどうなのだろう。
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