First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last
リアクション
繋がれる絆 4
「俺様の炎で、燃やしてやるぜ、うおおおおおおおおお!」
アッシュ・グロック(あっしゅ・ぐろっく)は、
魔法使いなのに、怪物の群れに突撃していた。
「アッシュくん、死角を作らないように協力するよ!
……って、聞いてなさそうだね」
フィッツ・ビンゲン(ふぃっつ・びんげん)がアッシュの様子を見てつぶやく。
「しかたないなあ。
アッシュくんのフォローはさせてもらうよ。
ルーザス、前衛も後衛もないような気がするけど、
支援をよろしくね」
フィッツに言われ、
ルーザス・シュヴァンツ(るーざす・しゅばんつ)がうなずく。
「はい。自分が盾になって、
魔法の詠唱中は敵に近づけないようにします。
なるべく壁になるようにしますが……」
「うん。アッシュくんが、
気にしないで突っ込んでいくかもしれないけど、
まあ、がんばって!」
フィッツはルーザスに言うが、これも信頼があってのことである。
「アッシュくん、疲れたら、
紙パック入りコーヒーミルクを飲むといいよ!」
「なにっ! それは楽しみだぜ!
炎の魔法は使った後、熱くなって喉渇く気がするんだよな!」
フィッツの呼びかけに、アッシュはうなずき、さらに、炎の魔法を連射した。
「僕も、一緒に頑張ろう」
フィッツも、ファイアストームで、アッシュの攻撃の届かなかった敵を燃やしていく。
「アッシュ、皆、加勢するわ!」
ターラ・ラプティス(たーら・らぷてぃす)が、
幸せの歌や驚きの歌を歌い、味方を支援する。
「うおおおおおおおおおおおお!
たぎってきたぜええええええええええええええ!
ありがとうなああああああああああああああああああああ!」
ハイテンションになったアッシュが、ターラに礼を言う。
「怪我したら、リィナが治してあげるからね!」
リィナ・ヴァレン(りぃな・う゛ぁれん)も、
アッシュに声援を送りつつ、魔法で支援をする。
「おお、ちょっと、疲れてきたかもしれないな。
ヒールかけてくれないか?」
「うん、いいよ!
それとね……」
アッシュに、リィナが笑顔を浮かべ、言う。
「ターラお姉ちゃん、アッシュくんを押さえといて」
「こうかしら?」
「ん、何するんだ?
ぐほっ!?」
リィナがアッシュの口に、ギャザリングヘクスのスープを流し込む。
「これで魔力アップだよ!」
「お、おお……サンキュ……」
本気の笑顔で言うリィナに、アッシュがげっそりしてうなずく。
「アッシュくん、口直しにコーヒーミルクはどうかな?」
「やめてくれ!
今、牛乳飲んだら余計、気持ち悪くなる!
ちょっと、運動してきてからにしてくれ!」
フィッツの言葉に、アッシュが逃げるように走っていく。
一行は、そんなアッシュを見て笑いあいつつ、
再び、前線で戦うアッシュの支援を行ったのだった。
■
儀式場で皆を守りつつ、
芦原 郁乃(あはら・いくの)は、
近くにいた高原 瀬蓮(たかはら・せれん)に、軽口を叩いていた。
「ほ〜んと創造主ってツンデレだと思わない?
嫌いよっていいながら、繋がりを持ち続けるんだから」
あーあ、と、わざと大げさにため息をつきつつ、
郁乃は続ける。
「大体、消したからってゼロになるわけでなし、
あったって事実はなくなんないんだし」
「新しい世界を作るとか、世界を滅ぼすとか言われても困ってしまいます。
みなさん<わかりあって>ことを起こさないと、
世界を私物化してしまうことにならないのでしょうか?
桃花は心配です。
桃花としましては、できれば今いるこの世界が、郁乃様と生きるこの世界が桃花のいる世界なのです」
秋月 桃花(あきづき・とうか)もうなずく。
「うん。わかってもらいたい、愛してもらいたい。
そして、同じくらい、わかりたい、愛したいと、創造主は願っているんじゃないかな。
たくさんの悲しみを味わったから、もうやめたい、でも、愛し出会うことはやめられない。
きっとそうだよね」
郁乃と桃花に同意して、瀬蓮がうなずく。
「瀬蓮も、みんなと一緒の、この世界が大好き。
それに、みんなを大好きなことをやめられないよ」
「ツンデレですってよ、魔姫様」
「な、なによ。
ワタシは創造主みたいじゃないわ……!」
エリスフィア・ホワイトスノウ(えりすふぃあ・ほわいとすのう)の言葉に、
白雪 魔姫(しらゆき・まき)が、慌てたように言う。
「ワタシはワタシにできることを。
瀬蓮は瀬蓮にできることをやりなさい。
これまでそうだったようにね。
これからだってそうでしょう?」
「うん、ありがとう!
でも、怪我だけはしないでね!」
「もちろんよ。ワタシ、瀬蓮がめそめそしてるのなんてみたくないし。
それに、そんな間抜けじゃないから!」
魔姫が、瀬蓮にそう、宣言した時だった。
「来たみたいね」
「はい。瀬蓮様を魔姫様がお守りするなら……。
魔姫様はエリスが必ずお守りします!」
モンスターの群れを見据える、魔姫に、エリスフィアがうなずいた。
「もぉ〜〜!
まったく長年かけてこじらせたツンデレはっ!!」
郁乃が、ブリザードでモンスターを吹き飛ばしながら叫ぶ。
「ツンがあるならデレもあるべきでしょ!
ちゃんとデレなさいよね!」
「郁乃様と一緒の世界、こわされたくありません。
どうか、仲良くしていただけないでしょうか」
郁乃のサポートをしながら、桃花もうなずく。
「瀬蓮と約束したんだから。
こんなところで負けられないのよ!」
「魔姫様には近づけさせません!」
銃を撃つ魔姫をかばうように、
エリスフィアがモンスターを引きつける。
「ありがとう、みんな。
どうか、みんなの願いが……祈りが、届きますように……!」
瀬蓮は両手を組んで、祈りを捧げる。
シャンバラ儀式場では、同じように、
祈りを捧げる者たちと、戦う者たち、協力しあって、
目的を遂げようとしていたのだった。
First Previous |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
Next Last