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リアクション
第8章 霊が手招きする電力室
-PM22:00-
「一体誰が何のために・・・死者の身体の一部を隠したのかしら・・・」
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)は口元に片手を当て考え込む。
「3階に行くことが出来れば、何かわかるかも知れませんね」
電力室のカードキーを持ってくる生徒たちを待ちながら、ベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)が冷静な口調で言う。
「鍵がかかっているんじゃ、ここで待っているしかねぇな」
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)は壁に寄りかかり、生徒たちを待っていた。
「かなりの数のゴーストたちが徘徊していますから、そう簡単に来れないのでしょうね」
1階へ下る階段を見ながらオウガ・クローディス(おうが・くろーでぃす)が言う。
「(ナースステーションにもラボにもカードキーがなさそうだったらから、ここで待っているけど・・・1階の階段で待ってた方がよかったかしら。―・・・ここへ向かう途中に、ゴーストたちに襲われてなければいいけど・・・。)」
なかなか来ない生徒たちを心配し、リネン・エルフト(りねん・えるふと)は心中で呟く。
「(ったく・・・親族も衛視も近づきたがらないなんて、無責任にもほどがあるわ!)」
眉を吊り上げてヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)は不機嫌そうな顔をする。
警察官連者たちや親族は遊び半分でこういう場に来て行方不明になった者たちを探す気がないのか、ゴーストに襲われたら生きて出られないこの町で、その者たちのために命をかけようと思うのだろうか。
平たく言えばそういったことは、ほぼ自己責任として片付けられる。
中には何らかの理由でここに来ている者もいるかもしれないが、捜索願いは一切出されていない状況だ。
「どうしたの?そんな不機嫌な顔をして・・・」
路々奈はへイリーの顔を覗き込む。
「どこか具合が悪いんですか?」
心配そうな顔をしてヒメナもへイリーに声をかける。
「えっ!?どこも具合悪くないわよ、この通り元気よ」
ヒメナたちの声に気づいた彼女は、笑ってみせた。
「ただちょっと・・・行方不明になっちゃった人たちを、親族も衛視も探しに来ないなんて酷いな・・・と思ったのよ」
「うーん・・・」
路々奈は返答に困り考え込む。
「まぁあれだな。ゴーストが徘徊している町に何も準備しないで遊び半分でこんな所に来るヤツは、ほぼ確実にナラカに連れていかれるだろうな。そうじゃないヤツは・・・何か理由があるんだろう」
「理由か・・・肝試し意外に来るとしたら、自ら命を絶つ時か・・・病気を治しにくる・・・とか?」
「病気を治しに来るって・・・誰も居ない病院にか・・・?この町で医者らしき人物っていったら、廃校舎にいるアイツだけだろ。」
「それほど凄腕な感じとかなかったよね。それじゃあ、病気を治しに来る以外に何かあるのかしら」
「さぁな、それはまだ分からない・・・」
「電力室のカードキーを見つけましたよー!」
ラルクたちが話し込んでいると、電力室に入るためのカードキーを片手に、大地たちが階段を駆け上がってきた。
「どこにあったんですか?俺たちも探していたんですけど、なかなか見つからなくて・・・」
「受付カウンターの所にあったんですが、鍵のかかった引き出しに入っていましたね」
「そんなところにあったんですか・・・よく見つけられましたね」
カードキーの在り処を聞き、御凪 真人(みなぎ・まこと)は関心したように言う。
「それじゃあ開けますよ」
ドア付近にあるカードの差込口にカードキーを入れると、ガチャッと鍵が開く音が聞こえた。
「何かいるかもしれないから、まず俺が先に入ろう」
電力室の中へ雷蔵が先に入った。
「まだゴーストたちは来ていないようだ。入って大丈夫だぜ」
手招きして生徒たちを室内の中へ呼び込み、彼らは電力室の中へ入っていった。
コツンコツンと歩く度に、金網の床を踏む音が響く。
「いろんな場所の電気のスイッチがありますね」
エレベーターの電力を入れる場所を探している義純は、辺りをキョロキョロと見る。
「(電力室ならゴーストも出てこないですよねぇ)」
ビクビクと怯えながら日奈々は、彼らの後を追うようについていく。
「このレバーを引けばいいのかな?」
美羽が階段下にある錆ついたレバーを指差す。
「その近くのプレートにエレベーター用って書いてあるから、たぶんそうだと思いますよ」
駆け寄ってきたベアトリーチェは、レバーを上げようとするが重くて上がらない。
「俺がレバーを上げてやろう」
「一人じゃ大変かもしれないから手伝うぜ」
「それじゃあ俺も協力するか」
レバーを上げようとする雷蔵に、シルバとラルクも一緒にレバーを上げた。
エレベーター用と書かれたプレートが、電源が入ったことにより青く光る。
階段を上ろうとすると、ドンッと何かが床に落ちた音が聞こえた。
何事かと駆け上がって確認すると、そこには男の生首と天井から落ちてきたと思われる金網が落ちていた。
恐る恐る日奈々が天井を見上げた瞬間、金網が落ちてきた空洞から何者かに首を掴まれてしまう。
逃れようと足をバタつかせて逃れようとする。
手摺を踏み台にしてゴーストの腕をハンマーでシルバが殴りつけた拍子に、日奈々の首を掴み引きずり込もうとする亡者の手が離れた。
標的の四肢の間接をボキッベキッと殴り潰して動けなくするが、腹部が裂け腸が垂れ下がった別のゴーストが壁をつたってよじ登ってきた。
「エレベーターの所まで走るぞ!」
これ以上亡者がでてきたら無駄に体力を消耗してしまうと思った、シルバたちはエレベーターへ駆けていく。
「くそ・・・定員オーバーか、先に行ってくれ」
ラルクとシルバたちは先に幸たちをエレベーターに乗せ、迫りくるゴーストどもを迎え撃つことにした。
「きりがないな・・・まったく」
鉄パイプで殴りつけ動きを止めるが、ゴーストたちは次から次へとやってくる。
「やっとエレベーターが戻ってきたぞ。早く乗るんだ!」
エレベーターの中へラルクたちは急ぎ飛び乗った。
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