校長室
十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第二十六篇:博季・アシュリング×リンネ・アシュリング いつまで経っても互いに恋しあう夫婦。それが博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)がリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)とともに体験したい恋物語だった。 休日の穏やかな昼下がり、二人で手を繋いで買い物に出かけながら、博季は傍らのリンネに語りかけた。 「覚えてますか? 日本で大学まで卒業してきた僕が、「魔法・魔術」ってものに憧れて、25歳なんて異例の年齢でイルミンスールに入学してきて……。校門で、初めて声をかけてくれたのがリンネさん」 「え? どしたの急に? 「そうリンネさんだったんですよ。僕の、初恋の人」 そう言われ、かぁっと耳まで赤くなったリンネに、博季は優しく語りかける。 「そんなリンネさんと結婚して、十二年。子供も大きくなったけど……。今でもリンネさんに恋してる。 ずっと一緒に居るけど、今でも色んな発見があるんですよ?」 そう言ってリンネの顔を間近で覗き込む博季。 「新しい美容室に行ったのかな? ちょっと前髪の感じが変わってたり」 そして、博季はリンネの髪に鼻を近づける。 「香水や化粧品だって変わってたりもするし。……前のは余り好きじゃなかったんですね。どんなのがいいのかメモ取っておきますよ」 周囲に立ち並ぶ店を見ながら、博季は再び語りかける。 「今日も二人で手を繋いで、ショッピングモールでデート。……子供たちは遊びに行っちゃったし。それじゃあ、今日はリンネさんの服を買いに行きましょうか」 博季はリンネの手を引くと、ブティックへと引っ張っていく。そして、様々な服を試着するリンネを何度も繰り返し褒める。 「何着ても似合うなぁ。絶対お洒落だよね。リンネさんは。新しい水着も買いましょう」 そして、買った服と水着を持ち、もう一方の手でリンネと手を繋ぎながら博季は言った。 「……うん、今年は時間作って海に行きましょうか。二泊くらいしたいですね」 そして、ここで一泊置くと、博季はリンネの目を真っ直ぐに見て言った。 「いつまで経っても、貴女に首ったけですよ。僕は」 そこでリンネは唐突に素に戻って博季へと問いかける。 「ちょっとぉ、『一番憧れる恋物語』なのに今とあんまり状況が変わらないよぉ?」 その問いに対し、博季は笑ってこう答えた。 「あはは、やだなぁリンネさん。つまりはね、今のこの状況が……。今の貴女が……。僕の理想なんですよ。愛してます、リンネさん」