校長室
十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第二十七篇:緋柱 透乃×緋柱 陽子 現代日本のとある地方都市。ハロウィンパーティの夜。 ジャック・オ・ランタンで照らされ、出店の並ぶ公園から少し奥に進んだところにある小高い山。そこでは、木々の間に腰を下ろしたサキュバスと魔女――の仮装をした少女二人が話していた。 「パーティーは楽しかったけど、まだ帰るのは勿体無いね。天気もいいし、ここで星を見てようよ」 サキュバスの仮装をした少女――緋柱 透乃(ひばしら・とうの)が傍らに座る、身体にフィットし、体型や起伏などのラインが強調されるローブ風の衣装――魔女の仮装をした少女――緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)に持ちかける。 「ええ。そうですね」 透乃の提案に、陽子は微笑んで答える。すると透乃は陽子に缶ビールを差し出した。 「こんなに星が綺麗なんだもん。せっかくだし、飲も? ね?」 それに対し、陽子はまたも微笑みで答える。 「もちろん。さぁ、飲みましょう。乾杯」 そう陽子が言い、二人は缶を合わせる。 満天の星空の下、美味しい酒を飲む。二人の雰囲気は良好だ。 両思いだが互いにまだ気持ちを伝えていないため、仲がよすぎる親友のような関係。それが二人の関係だった。 ――同性に言われて引かれちゃうかもしれないけど、それでも伝えたいから。 その想いにつき動かされ、透乃はついに決心した。 時を同じくして、陽子も胸中に呟いていた。 (屋外でこんな格好は恥ずかしくて、透乃ちゃんと二人きりというのも恥ずかしいですが、嬉しくもあります) そして陽子はちらりと透乃を見やる。 (でも、今よりももっと近い恋人のような関係になりたいです。同性にそんなことを言われて、嫌われるかもしれないのが怖くて、とても私からはそんなことを伝えられませんが……透乃ちゃんから言ってくれて気持ちさえわかればいいのですが……) そして、早鐘のように打つ鼓動と、紅潮する頬が上気するのを感じながら、陽子は更に胸中で呟いた。 (とても言えませんが、私は透乃ちゃんになら何をされてもいいです。寧ろされたい……) そうこうしているうち、決心を固めた透乃はゆっくりと口を開いた。 「陽子ちゃん。同性同士だけど、私……陽子ちゃんのことが好き。だから教えて、陽子ちゃんの気持ちを――」 唐突にそれを聞き、驚いてはっとなった後に陽子は泣き笑いのような表情で答えた。 「もちろんです」 すると、透乃も嬉しそうに笑って言った。 「Trick or Treat! 私は陽子ちゃんっていうお菓子を食べて私の物にしちゃいたい!」 そして換えの服があるのをいいことに、透乃は陽子の服を破ってあんなことやこんなことに及んだのだった。