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リアクション
「え〜?! 大変なことになっちゃったよ」
「アキラ……お前は観光に来たつもりだったのか? 急げ! 忍び娘達と共闘だ! やい、コラ、真っ黒吸血鬼! 鼻の下のばしている場合かっ!」
樹は、フレンディスの水着姿に見とれるベルクに向かって怒鳴り、「ホエールアヴァターラ・クラフト」に飛び乗った。
章も、フレンディスとともに「ホエールアヴァターラ・クラフト」へ乗り込み、ベルクは氷の翼で舞い上がる。
だが、パラミタ大王イカへの一番乗りを勝ち取ったのは、太壱だった。
「ちまちま攻撃は俺のスタイルにあわねぇ! フレンディスっていうかわいー子もいるし、ここは一発格好いいところを! 『小型飛空挺』で、パラミタ大王イカの真上から、サーチ&デストロ〜イ!」
飛び降りながら、ハンマー型「フューチャー・アーティファクト」を振り下ろすという無茶な作戦に、「ないじょむなとこ」で「イカさんたいじのお手つらい」……つまり、水を苦手としているアリッサやうさぎたちと一緒に、砂浜で待機していたコタローが、息を呑む。
「たい〜、それはあむないれす……」
コタローの声は、空中でパラミタ大王イカの触手に捕まった脳筋男には、届かなかった。
「おらぁ! 叩き潰す、叩きつぶ……」
足をつかまれながらも、雄々しく立ち向かう太壱の胴に、太い触手が幾重にも巻き付き、骨を砕く勢いで締め付ける。
バキバキッ!
「あうっ、べふっ、ごはっ!」
尊い犠牲のおかげで、咲耶とアルテミスは、触手から解放され、セリス、ユリエラ、マイキーのボートに引き上げられ、保護されたが……、
「おお……うまそうな足……! 退治し終わったら、俺、焼きイカ喰いてぇなぁ……焼きイカ、喰いてぇ……」
遺言としてはイマイチすぎる言葉を残して、ガクリ、と太壱の首が垂れる。
「ちょ……大丈夫かあ?」
襲い来る触手を躱して滑空するベルクは、樹、フレンディス、章のサポートで、なんとか太壱の奪還に成功した。
「しっかりしろ、今、岸へ連れていってやるからな」
「さあ、これを……」
アルテミスたちを回収したセリスとユリエラが、彼女たちをバスタオルでくるんで介抱する……が、ふと、振り返ると、マイキーがいない。
「イカさん、イカさん、ボクと愛し合おうよ」
「先程まで、うさ子さんを口説いていたはずですが」
「何言ってるの〜〜〜!? 愛の戦士は、心変りが激しんだよ!! 馬鹿なの? 理解できる〜〜?」
ユリエラの非難をものともせず、パラミタ大王イカに愛を説こうとするマイキーを、セリスが、ボートに伏せさせる。
ヒュンッ!
さっきまでマイキーの頭のあった場所を、触手が掠めた。
「あのまま頭を晒していたら……いい加減にしろ、ここは戦場で、あれはモンスターだ!」
「種族を超えた愛だよ〜〜〜」
ダダッ!
マイキーの声に、銃声が重なる。
ダダダッ!
樹が、「殺気看破」しながら「ライトニングウェポン」をかけた銃弾で、パラミタ大王イカの触手の根本を「スナイプ」!
自分とクラフトの状態は、常に、「セルフモニタリング」を使って把握し、パラミタ大王イカのダメージを、章と連絡を取り合いながら確認することも忘れない。
「章、無傷な足は、あと4本だ」
「わかってるよ、樹ちゃん。『ホエールアヴァターラ・クラフト』を起点にしたヒット&アウェイ攻撃だね」
後方の樹に援護されて、章も「殺気看破」を展開しながら「轟雷閃」でイカの触手に攻撃! 「財産管理」と「博識」のスキルを応用して、ダメージを負っている部分を優先に叩く!
「章さん、トドメは……」
「……もちろん、倒れる一歩手前のダメージ蓄積を考えているよ」
と、章が、フレンディスに答える。
「戦闘後は……ウェルナート君と語りながら、美味い酒が飲めると良いけど。彼、未成年?」
「あ、いいえ、大丈夫です」
そんなふたりの後方の樹は、フレンディスと話し込んでみたい、と思うのだった。
「……あの吸血鬼も、ウチのアキラと同じように……アレだ、色々言って来るのかどうか、聞かねばならんな……」
そして、しぶといパラミタ大王イカが、ようやくその動きを止めた頃。
「ねーたーん、こた、うしゃぎしゃんと、おともらちになったお!」
コタローが、「空飛ぶ箒」にうさ太郎を乗せてきた。
「うしゃぎしゃん、とどめさすれす!」
と、「記憶術」で覚えた一番ダメージが蓄積されている場所を示す。
「よし、オレに任せろうさっ!」
パンッ!
うさ太郎の銃の威力は、かなりいまいちだったが、なんとか、パラミタ大王イカを倒すことができた。
「あーあ、ようやく終わったか」
ベルクが、思わずため息をつく間に、砂浜に下りたうさ太郎が、喜びに跳ね、ガッツポーズ。
「やったぞっうさっ〜!」
「今度は、罠を張りましょう……パラミタ大タコの誘導は、エリシア様にお願いします」
「舞花、手を貸しますわ」
清盛を無事に岸まで送り届けた舞花が、「トラッパー」と「機晶爆弾」を組み合わせ、「放電実験」と「防衛計画」で、罠を用意した。
「潜水スーツ」と「水泳用ゴーグル」、そして「ダークビジョン」と「ポータラカマスク」を装備したエリスヒアが、「空飛ぶ箒エンテ」を駆って潜る。海中戦闘を援護するのは、「スクィードパピー」の2匹。
『浜辺の平穏を守れるよう、努力してみます』
「籠手型HC弐式」から、舞花の声が聞こえる。
出力を抑えた「水中銃」と「真空波」で、小刻みな攻撃を繰り返すエリシアは、パラミタ大タコを、舞花が罠を張るポイントまで誘導した。
パリパリパリ……!
「うまくいったようです」
「ええ、成功ですわ」
ダメージを受けたパラミタ大タコは、エリシアを追いかけることも、逆方向に逃げることもできずに、立ち往生するしかなかった。
「この様子だと、モンスターを岸へ連れていくより、ここにうさぎたちを連れてきた方がよさそうだね」
スティリアに騎乗してパラミタ大タコに近づいたグラキエスが、「歴戦の魔術」で体力を削る。噴き出した墨は、すかさず「グレイシャルハザード」で凍りつかせた。
「食材にするためには、柔らかくしなければなりません」
攻撃をいなしたエルデネストが「カクタリズム」と「真空派」で触手を叩く。
「主を邪魔し、あまつさえお手を煩わせた罪、主の栄養となって償え!」
狙いやすい方向へと、グラキエスとエルデネストが導いたパラミタ大タコに、「ディフェンスシフト」で身を固めたアウレウスが、「空中戦闘」の技量で触手の攻撃を掻い潜りつつ、ガディごと突進して、「ランスバレスト」と「龍飛翔突」を食らわせる。
そこにやってきたのが、うさ次郎とうさ子を乗せたボートを、「働きたくなーい……働きたくなーい……」と呟きながら、仕方なさそうに漕いできたデメテール。
「おまたせー。さ、出番だよー」
「ふっ……海の掟は非情……うさ」
「ちょっとかわいそうだけど、私たちのために、おいしい食材になってくださいうさ」
うさぎの着ぐるみ姿のふたりが、大きな手で、小さな銃の引き金を引く。
パンッ、パンッ!!
2発ともあさっての方向に飛んでいったが、忍者としての素早さを生かしたアルテミスが「ブラインドナイブズ」で、死角からパラミタ大タコに攻撃し、あたかもふたりが倒したかのようにみせかけた。
「働きたくなーい……」
またもやぶつくさ言うデメテールのボートに乗って、うさ次郎、うさ子は、うさ太郎の待つ岸へ。
「ふっ……オレたちは、海の平和を守ったのだ……うさ」
「そうだ、やれる、やれるぞ……モンスターを退治したオレたちなら、海の家も……うさっ!」
「商売繁盛まちがいなしですわうさ!」
手を取り合った3人は、輪になって踊り、砂浜を跳ね回って喜んだ。
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