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リアクション
「お、来たぞ。準備は良いか」
「ニシシシ、もちろんぬかりはないのだよ」
「こっちも大丈夫なの!」
マリアを捕縛するために慌ただしく走り抜ける、テンプルナイツと賞金稼ぎ達。
その後ろから、斎賀 昌毅(さいが・まさき)と阿頼耶 那由他(あらや・なゆた)、キスクール・ドット・エクゼ(きすくーる・どっとえくぜ)は合流するように自然に入り込んだ。
途中、川のような水道をまたぐため、テンプルナイツ達は水道へと足を突っ込む。
その瞬間、那由他は「にひひ」と笑った。
「水道に何の構えもなく脚を入れるのはオススメしないのだよ、漏電してるかもしれないのだよ……こういう風に」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
那由他は”トラッパ―”によるリモコン式ボタンを静かに押すと、悲鳴がわき起こった
「あら……そこは危険なの」
「へ」
何とか、漏電した川を越えると、突然テンプルナイツ達の背後でキスクールがつぶやいた。
すると、突然通路にぽっくりと大きな穴が空く。
その深さは10メートルはあるようだった。たちまち穴に落ちたテンプルナイツ達の姿が見えなくなる。
代わりに、聞こえてきたのは「スライムだ、たすけてくれえええええっ!」という叫び声だった。
「ふふふ、老朽化が進んでいるからこの辺は危ないなの」
実際は”ポムクルさん”を使い、那由他の落とし穴に大量のスライムを放り込んでいたのだった。
「な、なんだあ? グランツ教の奴らがどんどん倒れていってるぞ」
「そのようでありますな」
驚く賞金稼ぎの横で葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)はニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
この時をずっと吹雪は狙っていた。
「あちらはどうやら危険であります、たしかこちらから回り込みが出来るはずであります」
「おお、本当か」
「これで、手柄は先取りでありまよ!」
「紹介感謝する! おい、あっちだ行くぞ!」
吹雪の指さす方向へと、金に飢えた賞金稼ぎ達が向かっていく。
その後ろ姿を送り届けると、ついに「ふっ」と笑みをこぼしてしまった。
「ようやく来たのだ」
「あ? なんだお前」
賞金稼ぎ達の入った方にはイングラハム・カニンガム(いんぐらはむ・かにんがむ)が待ち構えていた。
しかも、そのイングラハムの向こう側にあるのは通路ではなく壁だった。
つまり、だまされたのだと。ようやく賞金稼ぎ達は気づいた。
「やろおおおっっ!」
「遅い!」
”行動予測”と”根回し”で素早く、通路から飛び出る。
途端、賞金稼ぎ達の行った方向から、大きな火の手が上がった。
あまりの唐突の出来事に、戸惑う声があがる。
「おいっ!! み、道が無くなった!?」
火のつけられたガソリンは、徐々に賞金稼ぎ達に迫っていった。
「ぎゃああああああああああああっ」
「いやー、断末魔がよく聞こえるであります」
「これは一体なにが……」
吹雪が断末魔を楽しんでいると、後ろの騒ぎに気になった数名のテンプルナイツ達が駆けつけてきた。
「うわあっ!?」
吹雪は燃え上がる炎に夢中になっている、テンプルナイツの足を引っかけ背後へと倒した。
その先にあるのは3メートルはある下水道だった。
「さあ次の方、どうぞであります」
「くっ、舐めやがっ――うわああっ!!」
若い司祭達ばかりということもあってだろうか、軽く煽っただけで司祭達は次々と吹雪に襲いかかってくる。
吹雪はそのたびに笑いながら、下水道へと司祭達を落としていった。
ようやく、テンプルナイツ達どころか賞金稼ぎ達も居なくなったことに気がついた司祭が昌毅達に向けて声を上げた。
「おい、お前達……一体、何をやった」
しかし、昌毅はあっけらかんと笑ってみせる。
「やだなぁ、これは全てマリアをとらえるために先に仕掛けた罠ですよ。え、なんですか、おたくの部下、みんなひっかかっちゃったんですか? いやあーすみませんねー」
まるで馬鹿にするような言動に、司祭は怒りに震える。
「良いのか!? お前達のやってることは我らに対する反逆。いやはんざ――」
「ちなみに、こんなトラップもあるのだよ!」
険悪な空気など知らず、那由他はさらに手元のスイッチを押す。
すると、司祭の頭の上に「水の入ったやかん」が鈍い音を立ててぶつかる。
司祭は避けるどころか、悲鳴を上げることもなく、白目をむいて倒れた。
「おっかねえ、本当に殺る気だぜこれ」
「殺る気でって言ったのは昌毅さんなの」
「ま、ここまでやれば奴らもマリアをしばらくは追いかけられないだろ」
昌毅はそう言うと、那由他とキスクールを連れて、再びマリアを追いかけるテンプルナイツ達を狙って走り出した。
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