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リアクション
10.互いへのチョコレート
バレンタインの空京にも、普段よりカップルの姿が多かった。
夫婦である神崎 優(かんざき・ゆう)と神崎 零(かんざき・れい)も、今日1日は夫婦水入らずでデートを楽しむ為に、空京の街に訪れていた。
「今日は一日優にい〜っぱい甘えちゃうからね♪」
出掛けにそう言って、零は優の腕に自分の腕を絡めて歩いていた。
家を出てからずっと、とても嬉しそうな満面の笑顔を浮かべている。
優の顔にも勿論、穏やかな微笑が浮かんでいた。
「少し、疲れたか?」
夕方。一通りデートを楽しんだ後、優が零を気遣った。
「ううん。楽しくて疲れなんて感じないよ。
あ、でも……ちょっと寄っていこ」
零が手を公園へと向ける。遊具はなく緑の多い公園だった。
「ああ、何か買っていくか?」
「飲み物だけで十分」
「そうだな」
「うん」
微笑み合って、2人は公園へと歩く。
自動販売機でお茶を買い、ベンチに並んで腰掛けて、ほっと息をついて――。
「はい、優」
「零、これ」
2人は同時に、取り出したものを相手に渡そうとして。同時に相手の驚く顔を見た。
「……チョコ?」
「うん、優のも?」
「ああ」
互いに、相手へのチョコレートを持ってきたのだ。
「交換しようか」
「うん」
優と零はチョコレートを交換すると袋を開けて中を確認する。
零が持ってきたものも、優が持ってきたものも手作りのチョコレートだった。
嬉しそうに2人は微笑み合って。
それから、甘い一時を過ごし、大切な約束を交わしたのだった。
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