Illustrator:KOTA
もっともシャンバラ王家に近いとされる一族、ヴァイシャリー家。
その当主の娘ラズィーヤは地球を訪れた際に神奈川県の新百合ヶ丘で、
桜井静香という女装男子「男の娘」と出会いました。
静香と「大和撫子」を気に入ったラズィーヤが、静香の憧れていた伝統ある名門女子校「百合園女学院」をシャンバラにも作りたいと願い、ヴァイシャリーに出来たのが大和撫子の美しい伝統を伝える「百合園女学院」の姉妹校です。
そして、静香は両親の莫大な借金の肩代わりなどを条件にラズィーヤとパートナー契約をさせられ、本当は「男の娘」であるという事を隠したまま百合園女学院の校長をするはめになります。
なお、校長就任後のさまざまな事件により、静香は自分の性別を生徒たちに明かしました。
そのため、現在、静香が男の娘であるということは公然の秘密となっています。
日本のお嬢様学校の姉妹校であるため、その伝統はこのパラミタの地でも引き継がれています。
男子禁制の学校として、世界中から両家の子女が入学を希望しています。
パートナーのいないパラミタ人でも入学を許されます。
しかし地球、パラミタを問わず、世界中のお嬢様がこの学校に入学してきたために、本来の伝統とはかけ離れた文化が生まれつつあり、百合園本来の美徳を重んじる守旧派と、新しい百合園の姿を模索する革新派の間に対立が見られていました。
しかし、生徒会選挙を経て、守旧派中心だった生徒会へ中立含む各派メンバーがバランスよく当選したこともあり、現在は歩み寄りが図られています。
シャンバラでもっとも大きな湖に浮かぶ優雅な街、ヴァイシャリーの一角に百合園女学院は建てられました。
また、この街にはシャンバラの離宮がありました。
もともとが日本の中高一貫教育校なので同じ制度を採用していますが、パラミタ校では小学校と短期大学を併設しています。
高校までは普通科のみとなっています。希望進路により文系と理系でカリキュラムが変わります。
短大は現時点では文学部と音楽学部のみとなっています。
百合園女学院は女子校であり、少なくとも外見が女性でなければ校内に入ることが許されません。
生徒のみならず、職員も女性のみとなっています。
女性であれば校内に入ることが許されるため、メイドを連れている生徒も珍しくありません。
学校の周辺には、立ち入ることを許されずに生徒の帰りを待つ執事たちの姿が見られます。
百合園女学院の生徒会「白百合会」は、生徒会本部と、通称「白百合団」と呼ばれる生徒会執行部に分かれています。
白百合団はパートナー契約を結んでいる者達で構成され、事件や一般人には対処できない事柄の対処を主に担当しています。
百合会の権限は校長である静香とそのパートナーであるラズィーヤに次いで高く、一般教職員に優越します。
Illustrator:FBC/渡辺悟志
音楽関係の部活動が盛んで、吹奏楽部や軽音楽部などに人気があります。
また日本の伝統に基づいた部活は特にパラミタ人の注目を集めていて、華道部、茶道部、箏曲部、日本舞踊部、書道部は日本人よりもパラミタ人で賑わっています。
文化部ではそのほか、ESSならぬPSS(Paramita Study Society)や演劇部、家庭科部などが盛況です。
外部からはおしとやかな印象のある百合園ですが、体育会系の部活も人気があり、ソフトボール部やバレー部、フェンシング部のキャプテンは憧れの的になっています。
特に野球部とサッカー部の人気が高いようです。
あまり知られていませんが柔道部の強豪校でもあります。
荒廃した国土の目立つシャンバラですが、ヴァイシャリーは水資源の豊富な土地となっています。
百合園女学院の校内には大きなプールが作られており、夏場になると女生徒たちの歓声が校外にまで響いてきます。
いつも鍵が掛かっている温室で、管理者はオバタ・マナーブ先生です。
普通では考えられない植物があることで知られています。
例えば、食虫植物の、通称『タネ子さん』は触手を這い回し、近づいた生徒を襲うといいます。
他にも温泉がわきだしている、タネ子さんの頭の花弁が好物のケルベロスが番犬代わりになっているなど様々な噂があります。
進学するか、お見合い、結婚するのが一般的です。パラミタ出身の生徒の場合、地上に留学することもあります。
しかし刺激の多いパラミタでの生活になじんだ生徒は、冒険者になったり、ベンチャー企業を興したりします。