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【蒼空に架ける橋】第4話 背負う想い

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【蒼空に架ける橋】第4話 背負う想い

リアクション



■第35章


「何、これ!」
 廊下を走り抜けた突き当り。襖戸を開いた直後、部屋全体を覆った光の魔法陣をひと目見て、ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)は思わず叫んでいた。
「結界?」
「解除できるか?」
「やってみるよ」
 の言葉にティアは神威の矢を放つ。しかし矢は討つべき敵を見つけられず、魔法陣の周囲をぐるぐる回って消えた。
「だめみたい。これを生み出した術者はこの辺にはいないよ」
 ティアは首を振った。
「そうか」
「おじいちゃん!」
 ティエンは光輝く魔法陣に覆われた部屋の中央にいる者たちのなかにヒノ・コの姿を見つけて叫ぶ。
「おじいちゃん、どうして1人で先に来ちゃったりなんかしたの? 僕たちがここへ来ようとしてたって、知ってたでしょ?」
 昨夜あんなに問い詰めたりして、僕たちがおじいちゃんのこと、信じてないと思ったから? だからおじいちゃんも、僕たちのことを信用してくれなかったの?
「僕……僕、おじいちゃんのこと、好きだよ。それを伝える努力の方こそ、もっとしなくちゃいけなかったんだね」
 涙をこぼしながらもティエンは笑顔をつくろうとする。
「ねえおじいちゃん。どうすればおじいちゃんたちを救えるか、教えて? 僕、きっとそのとおりにするから」
 はたして光の魔法陣のなかに、ティエンの言葉は届いているのだろうか。
「じいさん」
 焦れた様子で陣が魔法陣ぎりぎりの位置まで前に出る。
「教えてくれ。クク・ノ・チは本当に俺たちを口実にして、シャンバラに戦争を仕掛ける気なのか? オオワタツミと手を組んで。そのためのヤタガラスか?
 そしてあんたはそれを手伝っているのか?」
 光越しに、ハデスがヒノ・コに何か言っているのが見える。ヒノ・コが陣やティエンたちのいる方を向いて、何か言おうと口を開いたとき。

『有象無象の虫ケラどもが、ひとの庭先でやけにうるさくさえずりおる』

 空気を振動させる、音とも声ともつかない言葉がどこからともなく響いてきた。

『おちおち午睡もしておれぬとはな。
 まったく、あやつめ、この程度のことも満足にできぬのか』

 通り過ぎたばかりの廊下の襖戸の1つが吹き飛んで、奥から全身を呪符で包んだ少年が出てくる。一歩廊下へ踏み出した瞬間から呪符に書かれた文字が炎のような赤い光を放ちだす。

『フン。幸いしたな。今、余は少しばかり機嫌がいい』

 一撃でひねりつぶさない程度には。

『愉快だ。
 少しばかり虫退治でもしてやろう』








『【蒼空に架ける橋】第4話「背負う想い」 了』

担当マスターより

▼担当マスター

寺岡 志乃

▼マスターコメント

 こんにちは、またははじめまして、寺岡です。
 当シナリオにご参加いただきまして、ありがとうございました。

 リアクションの公開が著しく遅れたことをお詫び申し上げます。
 わたしのミスで、執筆を終えた一部がまるっと消えて書き直しになったことも大きかったのですが……言い訳ですね。すみません。


 今回、クク・ノ・チの陰謀あるいはオオワタツミとの関係を暴くということが目的の1つだったのですが、
 それを記録に残そう、ミツ・ハに送ろう、というアクションは何人もおられたのですが、肝心の「どうやって暴くのか」
 という部分がなかったため、こちらの目的は果たせていません。
 また、タタリとマガツヒにアクションをかけられた方がいらっしゃいませんでしたので、彼らはノーダメージで次回へ続く、
 という展開でエンディングとなっています。

 次回、最終回はこの直後から始まります。皆さんその場所からのスタートとなりますのでよろしくお願いいたします。



 それでは、ここまでご読了いただきまして、ありがとうございました。
 次回ガイドはできるだけ早く出したいと思っております。そちらでもまたお会いできましたらとてもうれしいです。
 もちろん、まだ一度もお会いできていない方ともお会いできたらいいなぁ、と思います。

 それでは。また。