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リアクション
第2章
昼の部開始。
■対決! 仮面ツァンダーVSダークサンタ団■
「うふふっ、改造は最強♪ 最強は改造♪」
どこからともなく改造テーマソングが聞こえてくる。
歌が終わると幕がゆっくりと上がっていく。
中央にはプレゼントを心待ちにしているホイップがいた。
「プレゼントまだかなぁ〜」
すると、人造トナカイ ヨ−エン1号の緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)と2号の紫桜 遥遠(しざくら・ようえん)が引くソリに乗ってダークサンタである島村 幸(しまむら・さち)が高笑いをしながらやってきた。
遙遠と遥遠は軽く雷術を纏わせられ扇動させられている。
「さあ、良い子には特別大きなプレゼントをあげよう!」
幸はソリの後ろに乗せてあった異様に大きな金ぴかのプレゼント? をホイップの前へと置いた。
「わあ! 大きなプレゼント! 金色で趣味悪いけど有難う!」
そう言うとホイップはプレゼントに手を出そうとする。
が、それを遮ったのは幸だ。
「これだけじゃないのよ! なんと今ならプラスキャンペーン! この良く落ちると噂の洗剤と暖かいかもしれない羽毛布団が付いてきて、なんと50%オフ! 半額よ、は・ん・が・く」
「……えっ? プレゼントじゃなくて商品? ……でも、こんなに沢山ついてきて半額だなんて安いよね……」
ぐらぐらと揺れているのはホイップの心だけではなく、金ぴかのプレゼントもだ。
「さあ、ボクを受け取るピカピカ!」
なんと箱の側面から顔だけ出してきたのはエル・ウィンド(える・うぃんど)だ。
「きゃーーーーっ! 金ぴかで悪趣味な顔が出てきたわーーーっ!」
演技とはいえ、若干傷ついているエルだった。
「そこまでだっ!」
突然、頭上から声が降ってきた。
「誰!?」
素早く幸が反応する。
「蒼い空からやってきて、財布の紐を護る者! 仮面ツァンダーソークー1!」
風森 巽(かぜもり・たつみ)は背景の上からジャンプして舞台へと着地をすると決めポーズをとった。
「そこまでだ、ダークサンタ! 悪徳商法でホイップの借金をこれ以上増やそうとする企みはお見通しだっ!」
「くらえっ! 必殺技メガネフラッシュビームピカピカ!」
そこへすかさずエルが眼鏡から光術を放ち目をくらませる。
「今よっ! 人造トナカイ ヨ−エン1号2号、ソークウキッカー行きなさい!」
幸の号令で遙遠と遥遠、そして背後に付き従っていた七枷 陣(ななかせ・じん)扮するソークウキッカーが巽へと向かっていく。
「さ、2号我等人造トナカイの出番ですよ!」
「面倒ですし、このまま一緒に逃げ――」
「2号逃げちゃ駄目ですってば」
「じょ、冗談ですよ! ちゃんとやりますって。さあ人造トナカイの実力を見せ……て……あげ……ま……す……動……力……が…………」
2号の遥遠はそのまま動力が切れて前のめりに倒れこんでしまった。
「くっ! 2号の仇! 食らえ電撃!」
と、こちらも電撃を放とうとした途端に動力切れで完全停止してしまった。
このやり取りの間に陣の目は回復してしまった。
「はぁ……なんて役立たず。ソークウキッカー頼むわよっ!」
「正義のヒーロー様と戦えるなんて……嬉しくて涙が出るね!」
今まで沈黙していた陣はどこかやさぐれた雰囲気で巽へと攻撃を開始した。
「何故、改造されている者達が!?」
巽は陣の攻撃をなんとかかわしながら疑問を口にした。
「うふふ……企みはともかく、正体までは見抜けなかったようね」
「何!?」
幸はそう言うとダークサンタの黒地に縁が白いふわふわの付いた衣装を脱ぐ。
するとその下からは赤い革で出来た露出度の高い服の上に白衣を羽織った姿が現れた。
「お、お前は……!」
「そう……ある時は悪徳商法の被害を拡大させるダークサンタ、しかしてその正体は魔科学者サチリーナ様よ!」
幸は手下をけしかけている間にホイップへと近付く。
「きゃあっ!」
「しまった!」
ホイップは見事に人質となってしまった。
「どうせ俺なんか……お前みたいに助けを求められる事も無いんだぜっ!」
ホイップに気を取られた巽を陣が下段蹴りで体勢を崩す。
「くっ!」
陣はベルトのボタンを押す。
「ソークウジャンプ!」
という音声がベルトから流れ、陣はジャンプをし、もう一度ボタンを押す。
「ソークウキック!」
今度は必殺技の名前が流れ、そのまま陣はきりもみドロップキックを巽に食らわせた。
「ぐはぁっ!」
陣は地面に倒れたまま動けなくなってしまった。
「仮面ツァンダーソークー1ーー! 皆、一緒に応援してっ!」
幸の手の中にいるホイップがそう客席に向かって叫ぶ。
「仮面ツァンダーソークー1頑張ってーー!」
「負けないでーー!」
色々な応援の声が舞台へとぶつけられる。
すると陣はゆっくりと立ち上がり、復活したのだった。
「なんだ……と?」
驚愕の顔を見せる陣。
今までとは全く違い陣の攻撃が当たらない。
キックがかわされていくのだ。
「ツァンダー稲妻キック!」
そして間合いを詰められた陣は稲妻を纏った巽のキックに倒れたのだった。
「電磁マイクロチェーン!」
今度はそう叫ぶと鎖十手を幸の方へと投げつけた。
鎖が巻き付いたのは腕の中にいたホイップで、ぐいっと引き寄せられホイップは巽の手の中へと一瞬にして移動したのだった。
「有難うっ!」
「下がっているんだ!」
「はいっ!」
ホイップは言われるまま舞台の袖の方へと逃げる。
「チェンジ! 轟雷ハンド」
今度はエルのプレゼントが攻撃され見事に爆破された。
「さあ、残るはサチリーナ……お前1人だっ!」
左手の指でびしっと幸を指差す。
「くっ……覚えてなさい!」
こうして幸は逃げ出したのだった。
「追わなくて良いの?」
「この手は悪を倒すものじゃない。誰かを護る為のものだからね」
ホイップの言葉に巽はぐぐっと拳を握った。
「良い子の皆も、知らない人から物を貰っちゃ駄目だよ。ツァンダーとの約束だ
」
そう言い残し、仮面ツァンダーソークー1は去って行った。
「有難う、仮面ツァンダーソークー1!」
ホイップが後ろ姿に声を掛けると幕は無事に閉じたのだった。
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