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リアクション
■びっくりどっきり ホイップちゃんの杖は女王器だコロン!? の巻■
「みんな〜! 昼の部ラストのショーが始まりますぅ〜。楽しんでくださいね〜!」
司会はメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)で、天の声はセシリア・ライト(せしりあ・らいと)、BGMや効果音担当はフィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)となっているようだ。
メイベルの言葉のあと、フィリッパが開演のブザーを鳴らし幕が上がった。
舞台の上ではホイップが1人、必殺技のポーズを考えているところだ。
色々なポーズや掛け声を試行錯誤しているようだが、しっくりきていない様子。
「う〜ん……どうも私らしさが伝わらないような……」
「ちょいとそこの泡立て生クリーム!」
突然声をかけられ、ビックリして後ろを振り向くとそこには露出が激しくぴったりフィットの黒のボディスーツを着た最終兵器少女ルカルカ・ルー(るかるか・るー)と、その上を飛んでいるカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が居た。
「その杖をアタシ達におよこしっ! それが女王器だっていう情報がばっちり入ってきてるんだからね!」
「えーっ!? なんのこと!?」
「すっとぼけるんじゃないよっ! カルキノスやっておしまい!」
「へいへ〜い」
ルカルカの命令を受け、カルキノスはホイップ目がけて急降下し体を持ち上げ、ルカルカの元へと戻ってきた。
「杖置いてきてどうするんだいっ!」
「こっちのが美味そうだった。杖食えねーし?」
杖はホイップが持ち上げられた時、つい落としてしまったのだ。
「このスカポンタン! ヒロインなんか食べちゃダメ。あとでミノタウロス丸焼きにしたげるから、その生クリームは全国の皆さんに返しておいで」
「へいへーい」
「ヒロインを食べようとするだなんて、残虐非道ですよ!」
言われた通り、ホイップを元の場所へと戻そうと動いたその時、頭上から声が降ってきた。
「誰だい!?」
ルカルカに問われ、降りてきたのは蓮実 鏡花(はすみ・きょうか)と自立型機晶外骨格 流火(じりつがたきしょうがいこっかく・りゅうか)だ。
「素直にホイップは戻そうと思ったけど……そう言われちゃぁ、普通に返すのは癪だねぇ……カルキノス、そいつは戻すんじゃないよ!」
「食って良いのか?」
「ダメだってば」
こうして戦闘は開始された。
鏡花はメイスをぶん回し、ルカルカへと攻撃。
その援護を流火がしている。
カルキノスはというと、ホイップを持ちあげ飛んでいるので戦闘はしていない。
ルカルカ達の状況はダメダメだ。
2対1で歯が立たない。
「きぃ〜っ!」
思わず悔しくて、そんな言葉が漏れた。
ホイップの方もいつの間にかカルキノスから奪われていたのだ。
食べられなくてカルキノスのやる気が薄かったのかもしれない。
ホイップは鏡花達に助けられると自分の杖を大事そうに抱きかかえていた。
「お前達の善事はここまでです! さぁ『人類規格外』のぽに夫が倒して差し上げます!」
悪役のピンチに駆けつけたのはメカ ダゴーン(めか・だごーん)のコックピットに乗ったいんすます ぽに夫(いんすます・ぽにお)だった。
ダゴーンはやられそうになっているルカルカとカルキノスを肩に乗せる。
そこから2人もコックピットへと入って行った。
「やるねぇ、流石だねぇ〜」
コックピットへと入るとぽに夫をその胸に抱きしめた。
胸の中でぽに夫は実に嬉しそうにしている。
「十二☆華が一人、借金座のホイップめ。その手に持つ女王器は僕達が貰います!」
そして、ダゴーンの中からそう告げたのだった。
「くっ……23メートルは大きいですね……」
鏡花は思わずこぼす。
「ついでに俺もいるぜ! 俺様の歌を聞けぇ!!」
あまり注目されていなかったもう片方の肩の上にはエレキギターを持った悪の魔法使いウィルネスト・アーカイヴス(うぃるねすと・あーかいう゛す)も居たのだ。
「ぐあぁぁ!」
会場の客席や舞台の全員から悲鳴が漏れる。
『説明しよう! ミンストレルであるその歌声はあまりにも音痴で、怪音波攻撃になっているのだ!』
会場のどの人も耳を塞ぎ、攻撃から身を守っている状態の為、セシリアの解説は聞こえていないようだ。
「このままじゃ耳が壊れてしまいます……行きますよ、流火!」
流火も頷く。
「流火炎装!」
鏡花は叫ぶと流火へと触れる。
すると光が辺りに満ち、次の瞬間には流火は鏡花の体と一体になっていた。
「なんだって〜!」
『なんだって〜!』
その事をカルキノスが驚いて言うと、コックピットにあった蛙型『なんだってー』メカが反応しエコーさせている。
『説明しよう! このメカは役立たずで、なんだってーと繰り返すだけなのだ』
天の声の解説が入った。
さて、着装が完了した鏡花は迷わずウィルネストを攻撃した。
ウィルネストはと言うと、自分の歌に酔いしれ周りの状況を見ていなかったのだ。
「ぐはぁ……まだ……サビにもいってないの……に……がくっ」
よって、簡単にやられてしまった。
「これで怪音波攻撃はもうないっ! 次はお前らの番だ!」
着装により口調まで変わった鏡花はびしっと指を指した。
「そうは行きません! ぽちっと」
ぽに夫が青いボタンを押すとダゴーンからモヒカンが発射され鏡花達目がけて飛んできたが、見切られてしまった。
「なら、これでどうですか? 今週のびっくりどっきりメカです!」
今度は赤いボタンを押す。
するとダゴーンの体が開き、中からメカダゴーンのキグルミを着た沢山の猫と沢山の小人が出てきたのだ。
舞台のスピーカーからはフィリッパが流したちょっとコミカルな音楽が流れてきた。
『説明しよう! 今週のびっくりどっきりメカはプチダゴーンなのだ!』
天の声の解説に子供達は身を乗り出し、興味津津にしている。
いつの間にか会場はプチダゴーンによって埋め尽くされてしまった。
「ディソーダー!」
この自らも埋もれていってしまう状況で鏡花は天に手をかざし叫んだ。
「うっしゃぁぁぁ!! やっと出番だぜぇ!! 敵はどいつだぁ? オレに叩き切られたいやつぁドコダっ!!」
頭上から叫びながら降ってきた剣型の機晶姫ディソーダー トリストラム(でぃそーだー・とりすとらむ)は鏡花達の目の前の地面に刺さった。
「ディソーダー! Awaken!」
鏡花は手にしたトリストラムの塚尻に機晶回路キーをセットした。
「Exacerbation! 最ッッ高にハイッてヤツだぜェッ!!!」
セットされたトリストラムは叫ぶ。
刀身には黄金のフォトンが発生した。
それを構える鏡花達。
しかし、流火の頭部の飾り毛と眼が赤く発光を始めた。
『説明しよう! 鏡花ちゃんと流火ちゃんが着装していられるのは300カウントだけ! 150カウントを切るとそれを知らせる為に赤く発光するのだ。そして、ディソーダーちゃんを持った時、機晶闘神と呼ばれるのだ』
天の声の説明により、観客から納得の声が漏れた。
「これで決めるぜっ!」
気合いを入れると周りに沢山いたプチダゴーンをばっさばっさと切っていく。
とうとうダゴーンの側までやってきた。
「ちょっと、やばいんじゃないかい!?」
コックピットでは慌て始める3人の姿。
「うらぁぁぁぁっ」
鏡花達は思い切り横へとトリストラムでダゴーンを薙いだ。
その瞬間、フィリッパによる派手な爆発音とドクロの煙が噴出しダゴーンもろともお星様となってしまった。
「あ……熱い……!」
戦闘が終了すると着装は解除され元の3人へと戻った。
「有難うございました」
助けられた事にお礼を言うホイップ。
「当たり前のことですから」
鏡花はそう言うと、他の2人と一緒に去って行ったのだった。
そして、あの悪役3人はというと――。
「このスカポンターン! 失敗しちゃったじゃないのさ!」
3人仲良く自転車に乗っていた。
『失敗したなぁ〜! お仕置きだべ〜』
天の声が聞こえると生クリームが大量に3人の頭上から降ってきて、ぬるぬるにしてしまった。
自転車をこげる状態ではなく、自転車からすっ転んぶ。
「もーーっ! お前達のせいだからねっ!」
「そんなぁ〜」
ルカルカの言葉に2人は仲良く声を揃えたのだった。
ゆるゆると幕はとじたのだった。
―――――――――――
「どうでした〜? 最後まで楽しんでいただけましたでしょうかぁ? これにてお昼の部は終了となりますぅ。休憩をはさんで夜の部となりますので、そちらも楽しんで下さいねぇ〜!」
最後はメイベルが締めお昼の部は無事に終了となった。
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