リアクション
* 「……はっ。騎凛ちゃん!」 「どうしたでありますか、カナリー」 馬二頭のそれぞれの背に片足を乗せ、直立し馬車を駆るマリー。 「夢……かァ」 カナリーは、馬車の外を覗いた。 まだ、陽は落ちていない。 馬車は、草原地方を走っている。 横には、ルイスとサクラが、それぞれ騎馬で追従してきている。 「よく眠っていたでありますな」 マリーは、後ろを振り向かずに言う。 「騎凛ちゃんは?」 「隣で寝てるよ」 「わっ。騎凛ちゃん……よかった」 「何が?」 「はっはっは。今日は久多っちがおりませんからな。 ライバルがいなくてカナリーも嬉しいんでありましょう!」 マリーが馬車の外から大きな声で話す。 騎凛も、目を覚ます。 「……その久多さんは?」 「久多っちは、「俺はちょっと……」と言ったきり戻ってこないけど大丈夫きっとトイレだよ。花を摘むじゃなくて鼻をつまんでるにしても長いって? やーん、年ごろのオトコノコにはいろいろあるんだからっ(セイシュンりっしんべんだそうです)、騎凛ちゃんは気にしちゃイケナイのっ! であります!」 「マリちゃんそれカナリーの台詞……」 「はっはっは。こまけえこたぁいいんだよであります! 今日は必要とあらば、購買で買ったモヒカンいつでも着けるでありますぞ!」 どっどっど。 草原を馳せる馬車。 「で、カナリーはどんな夢を見たんだ?」 と、朝霧。今はライゼやルゥも眠っており、ユウらも静かに目を伏せている。 「うん……(冒頭からの一連目を指さす。アステリスクまでのとこね)」 「……そ、そうか。そんな夢を」 「とくに最後の二行にムカついたから、えろ羊ぃがお手紙食べるのに夢中になってる間に顎鬚を三つ編みにして杭に結びつけといたよ」 「騎凛教官。大丈夫か? すごい汗だけど……」 「え、ええ。悪い夢を見たんだと思います。よく覚えていません」 「えろ羊かぁ。そのカナリーの夢に出てきた黒い羊は、黒羊 アンテロウム(くろひつじの・あんてろうむ)副官……なわけないよな。あんな温厚なお爺ちゃんが」 「……ええ」 |
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