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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第1回)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第1回)

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兵は詭道なり
中編


兵は詭道なり-05 岩城攻防戦(1)

 攻めてきてるのは、ざっと500程か。
 岩城の最上階から、敵陣を見る甲賀三郎(こうが・さぶろう)。敵の勢いや凄まじく、城に殺到し包囲しつつある。
「そろそろだ。そろそろだぞ、音子殿……む、来たか」
 城外東の森から、砂塵が巻き起こり、城を包囲する敵勢の後方から一気に突っ込んでくる。
 甲賀は今とばかりに叫んだ。
「隊長さん!」
「甲賀!!!」
 岩造は80を率いると、白兵戦を演ずるべくいよいよ城外へ飛び出した。その勢いは、全く敵に劣っていない。
 甲賀は手を挙げる。
 攻め込む岩造らに道を示すように、城壁の上より、弓矢が降り注いだ。



「おい獣人。後方が乱れているぞ?!」
 城を攻囲するならず者と獣人兵。
「ラッテンハッハ、何ヲシテイル。援軍ガ来タダト? 数ハ?」
「俺達をおびき寄せての挟撃を狙ってやがったのか。こしゃくな」
「……7? 7騎ダト?」
「そんなものは援軍と言わねぇだろ。あっ。城から相手が打って出たぞ!」
 城壁に取り付いていたならず者らが、矢の雨に倒れている。
「くっ!」
「……ンダト?」「エェ、ソレガヤタラ、デカクテ、人ト思エン容貌ト桁外レノ怪力デシテ」
「面白レェ。獣人ドモ、先ズ後ロヲ潰スゾ!」




「機動戦術の醍醐味だ!」「機動戦術の醍醐味だ!」
 思考性多脚装甲車型機晶姫プーマ1号・クラウスマッファイ(ぷーまいちごう・くらうすまっふぁい)プーマ・クラウスマッファイ(ぷーま・くらうすまっふぁい)にそれぞれ乗って戦う、黒豹分隊の先陣・クレベールルクレール
「我等、黒豹小隊麾下・仔豹分隊――兵は神速を尊ぶ!」「我等、黒豹小隊麾下・仔豹分隊――兵は神速を尊ぶ!」
 後方から敵に突っ込み乱したのは、彼らの功績。しかし、まだまだ士気を殺ぐのはこれからだ。
 敵が、群がってくる。
 それぞれの武器を抜いて、勇敢に戦うクレベールとルクレール。
「はぁ、はぁ。馬上の将のように、忍者刀(忍の短刀)をこうも振り回さねばならぬとは……!」
「はぁ、はぁ。馬上の将のように、ハタキ(仕込み竹箒)をこうも振り回さねばならぬとは……!」
 息が上がっている。本隊はまだか。限界になる。
「ウガァァァ!!」
 来た。ドリヒテガ(どりひてが)だ。
 フランソワ・ド・グラス(ふらんそわ・どぐらす)が手綱を握っている。黒豹小隊の凸凹コンビと言われる仲だ。
「獣人か。美味しそうじゃない?
 この辺片付けたら、干し肉作って携帯しましょうね」
「ガァァァ!」
 フランソワは、ドリヒの手綱を放した。フランソワの手にはすぐに巨大な光のウォー・ハンマーが現れる。
 この二人こそが、黒豹の主力だ。
「さあ、楽しく殺しあおうよ♪」
 援軍を指揮する黒乃音子(くろの・ねこ)が攻撃の合図を出した。



 城壁の上。甲賀。
「ふむ。これはバンダロハムに勝るとも劣らぬ乱戦だな。隊長さんの姿がすっかり見えないや(声だけは聞こえているから、無事なんだろうけど。もっとも、あの隊長さんがそんな簡単にへばるわけはないだろうけどな。しかし、隊長さんの声、やたらでかいな)」
「貴様!! 元少尉の鬼の岩造が相手だ!!!」
「ファルコン・ナイト見参!!!」
「……。
 よし、そろそろ矢が尽きるか。術法隊! 攻めを途切れさせるな。小松殿」
「血だけ吸わせて貰っていいですか?」
「……。後でな」
「では」
 盟友・篤子のパートナー、吸血鬼の小松 帯刀(こまつ・たてわき)
 得意の火術・氷術・雷術を用い、城壁の敵を攻撃する。
 どうかな?
 隊長さんの指揮する浪人部隊と我の指揮する城内守備隊で50、音子殿らの機動部隊で50、……100程の敵は減ったか。甲賀は周囲を見渡す。