リアクション
4.第2回戦 「さて、一回戦が終わったわけですが、ここまでの戦いはどうでしたでしようか、解説の小ババ様」 シャレード・ムーンが、インターバルタイムに小ババ様にマイクをむけた。 「こばー、こばこばこば、こばあ、こばこば」 「えーっと、こばこばでよく分かりませんが、参加人数の都合から、どちらかといえば第一回戦は予選とでも言えるような戦いでした。とはいえ、すでに三分の一近くの選手が姿を消しています。では、いよいよ本戦とも言える第二回戦の組み合わせを見てみましょう」 ラスティ・フィリクス VS 朝野未那 水神樹 VS アルジャンヌ・クリスタリア 鳴神裁 VS 駿河北斗 ベリート・エロヒム・ザ・テスタメント VS カレン・クレスティア 神曲プルガトーリオ VS 欠場 ニーナ・イェーガー VS エッツェル・アザトース デーゲンハルト・スペイデル VS 小鳥遊美羽 ルーツ・アトマイス VS カレン・ヴォルテール 神代明日香 VS ルルール・ルルルルル マリハ・レイスター VS 『ブラックボックス』アンノーン 欠場 VS クリムゾン・ゼロ 雪国ベア VS 四谷七乃 朝野未沙 VS フィリップ・ベレッタ 月詠司 VS 日堂真宵 泉 美緒 VS 欠場 ベルフェンティータ・フォン・ミストリカ VS アルシェナ・サイフィード 玉藻前 VS ミツキ・ソゥ・ハイラックス 欠場 VS 大神 御嶽 欠場 VS 五月葉終夏 水橋エリス VS 欠場 悠久ノカナタ VS 欠場 愛海華恋 VS エイム・ブラッドベリー 欠場 VS 鬼崎朔 立川るる VS 赤羽美央 相田なぶら VS ルカルカ・ルー キネコ・マネー VS 蒼灯鴉 アリアス・ジェイリル VS イーオン・アルカヌム 欠場 VS セシリア・ファフレータ 東雲いちる VS 欠場 ウルガータ・グーテンベルク VS ナナ・ノルデン 麻上翼 VS フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』 ソア・ウェンボリス VS 欠場 ★ ★ ★ 「第二回戦第一試合、ラスティ・フィリクス選手対、朝野未那選手です」 「火は怖いですぅ。けど、が、頑張りますぅ」 「大丈夫なのだよ。そなたは、雷術で沈めてやるのだ」 ちょっとおどおどと挨拶をする朝野未那に、ラスティ・フィリクスが自信ありげに答えた。 「ええっ、でも、負けられないですぅ」 負けたらすっぽんぽんなので、朝野未那としてもそこは譲れなかった。 「それはどうかな。ゆくぞ。大地吹き抜け天をいだく大いなる風よ、遥か天高く澄み渡る祈りで我ら風の精にその恩恵を。この世のすべてをつつみ永劫続くそなたの力、今ここに顕現せよ。遥けし天空望む風の都(ウィンドリィ)!」 ラスティ・フィリクスが風を纏った雷撃を後ろから、朝野未那が雷球を左側から相手にぶつける。 「きゅうぅぅぅぅ!」(V) ポーンと、朝野未那が武舞台からはじき出された。 「まっ、こんなものよね」 グルグルと腕を肩の所で回しながら、ラスティ・フィリクスが言った。 朝野未那の方はそのままスライムにぽっちゃんしてすっぽんぽんになる。 「はいはいはい、毛布も残り少なくなってまいりましたあ」 すかさずクロセル・ラインツァートが毛布を投げた。いつもなら、そろそろ誰かに闇討ちされそうなところだが、さすがにエリザベート・ワルプルギス校長とアーデルハイト・ワルプルギスの目が光っている場所でそんな行為に出る者はいないようだ。 「勝者、ラスティ・フィリクス選手!」 ★ ★ ★ 「第二試合、水神 樹(みなかみ・いつき)選手対、アルジャンヌ・クリスタリア(あるじゃんぬ・くりすたりあ)選手です」 「悪いですが、負けたくないので覚悟してくださいね! 下に落ちたくないのです!」 武舞台の上に立った水神樹が、ぷかぷかと浮いて流されていく朝野未那をさして言った。 「うん、ああはなりたくないぜ」 アルジャンヌ・クリスタリアもうなずく。 「それに、負けたら未沙に何されるか分からないものな」 真顔で、アルジャンヌ・クリスタリアがつぶやいた。 「変身!」 水神樹が、マジカルステッキを振り上げて叫んだ。彼女の周囲に、無数の桜の花弁が舞い落ちてきた。 着ていたイルミンスール制服がポンと煙となって消え、下に着ていたイルミンスール水着が顕わになる。 桜吹雪をまとわりつかせるように、水神樹が両手をクルリと捻った。集められた花吹雪が、薄紅色の長手袋に変化する。コンとかかとを合わせると、ブーツが現れた。 片足をあげて太腿を顕わにしながら一回転すると、その勢いに渦巻いた花吹雪が短いスカートに替わる。両手を胸の所でポンと合わせて叩くと、ブローチが現れ、大きなリボンがのびていった。それに合わせるように、短いジャケットが翻る。 「イルミンスール武術部部員、水神樹!」 変身を終えた水神樹が名乗りをあげた。周囲を舞っていた花吹雪が、キラキラと光になって消滅する。 「雷様(らいさま)の威力、味わいなさい!」 水神樹が、マジカルステッキをビシッとアルジャンヌ・クリスタリアにむけて叫んだ。その先端から迸った雷光が、アルジャンヌ・クリスタリアの真上から落雷のように落ちる。 「そおれえ」 一方、アルジャンヌ・クリスタリアの肩あたりには、太い氷柱が現れた。それを腕の力で押し飛ばすと、空中でなおも成長した氷の柱が、ドーンと水神樹の頭上に落下した。 砕け散った氷の破片と雷の残光が二人の上から降り捧ぐ。 「負けるわけには、いかないんです」 「それはこっちもだ!」 お互いに負けた後のことを想像して……怖い考えになってしまったので必死だ。 雷光が、激しいスパークをあげて、アルジャンヌ・クリスタリアの後ろや下や左を目映く照らした。同様に、太い氷の柱が、武舞台をゆらすように勢いで水神樹の下や後ろや正面で砕け散る。 「いいかげんに落ちてください」 「そっちこそ!」 水神樹が、正面から雷光を浴びせる。氷柱をブーメランのようにクルクルと横回転させて投げたアルジャンヌ・クリスタリアが、それをコントロールして水神樹の右にぶつけた。 「不覚!」(V) 氷柱に横殴りされて水神樹が吹っ飛ばされる。ドボンとスライムの海に落下すると、変身が解けて水着姿になってしまった。 「勝者、アルジャンヌ・クリスタリア選手!」 |
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