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リアクション
一つ目の部屋を抜けると、小さな通路があり、その向こうに二つ目の部屋があった。
十兵衛は用心深くふすまを開ける。
「……」
1番目の部屋と同じく、ごく普通の和室のようだ。
十兵衛は用心深く部屋に入っていった。
その時。
バタバタバタ……
頭上で何かがひっくり返るような音がする。何事かと上を見ると、いくつもの弓が突き出し、一同めがけて矢が降り注いで来た。
「……!」
十兵衛はとっさに刀を構え、飛んでくる矢をたたき落としていく。
「大丈夫か、十兵衛さん!」
長原 淳二(ながはら・じゅんじ)が飛び込んで来て、光条兵器を手にチェインスマイトで矢をたたき落としていく。
さらに、メシエ・ヒューヴェリアル(めしえ・ひゅーう゛ぇりある)が入って来て氷術を唱えた。降り注ぐ矢が凍てつき床にバラバラと落ちていく。
「助かった……」
十兵衛が額の汗をぬぐう。その時、
「危ない!」
エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が叫んだ。何者かの気配を感じたのである。エースは神の目を展開。強烈な光を発せられ、潜んでいた忍び達の姿が露になった。
忍び達は天井から、床下から次々と現れて襲いかかってくる。
「危ないですね」
メシエは言うと、アシッドミストを展開。酸の霧が忍び達を包み忍び達は苦しみ始める。さらに、メシエはその身を蝕む妄執を唱えた。忍び達は恐ろしい幻覚に苦しみ始める。
その隙を狙って、長原淳二がアルティマ・トゥーレを繰り出す。武器から冷気を放たれ、忍び達の体が凍り付いていく。さらに、淳二はサンダーブラストを唱えた。天から雷が降り注ぎ、忍び達を撃っていく。
ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)は光条兵器を手に、忍びと戦っていた。しかし、頭の隅では竜胆の事ばかり考えている。
本当は竜胆を救出する部隊に参加したかったミーナと淳二だったが、残念ながら自分達には潜入よりもこういう敵の殲滅の方があってると判断した淳二とともに、六角屋敷攻略に参加したミーナだった。しかし、どうしても捕らえられてしまった竜胆が心配でならないのだ。
……竜胆さん。ひどい目にあわされていないでしょうか……
心の中でつぶやくミーナ。だが、しかし、その気持ちが、隙を生んでしまった。
ズガ……!
ミーナの背中に鋭い痛みが走った。何かが刺さったようだ。そして、そこを中心に体が熱くなってくるのを感じる。ミーナの背中には、くないが刺さっていた。
思わず倒れ込むミーナに、忍びが刃を向けてとどめを刺そうとする。
「ミーナ!」
エースが駆けつけて来た。そして、天のいかづちでミーナの目前の忍びを撃つと、ミーナを抱き上げて背中からくないを抜いた。
「大丈夫か?」
「大丈夫……ポカやっちゃったみたいです」
そう言って笑いながらも、ミーナの顔はどんどん青ざめていく。くないには毒が塗られていたのだ。
エースはミーナに命のうねりをかけた。さらに、清浄化でミーナの体から毒を取り除いていく。ミーナの顔色がみるみる良くなっていく。ミーナは起き上がると、エースに頭を下げた。
「ありがとうございます。すっかり治りました!」
そう言うと、ミーナは再び光条兵器を手に忍びに向かっていった。
「今度は、ポカしませんよ! バニッシュ!」
ミーナの手から神聖な光がほとばしり、忍び達を撃ち抜いていく。
こうして、一同は、2番目の部屋も無事に通り過ぎる事ができた。
そして、さらに3番目の部屋の前に一同はたどり着いた。
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は殺気看破で何ものかの気配を感じ、十兵衛に言った。
「気をつけた方がいいよ。敵が潜んでいる気配がする」
「うん」
十兵衛はうなずくと、静かに襖を開けた。そこは床も壁も板張りになっている。まるで道場のようだが、人の姿は見当たらなかった。
用心深く足を踏み入れる十兵衛。しばらくは何事もなく進めたが、部屋の真ん中辺りにさしかかった時、床が跳ね上がり、十兵衛はバランスを崩した。同時に、キリキリと音がして、四方の壁から刃が飛んでくる。
「うわ!」
とっさの事で、避けきれず十兵衛は腕に傷を負ってしまった。
「大丈夫? 十兵衛さん」
レキが駆けてくる。そのレキを狙うように、また刃が飛んで来た。レキはスウェーで刃をかわすと、十兵衛に駆け寄った。そこへまた刃が飛んでくる。刃は次々と飛んで来て、次第に数を増やしていった。
レキは『即天去私』で刃をたたき落とし続ける。あまりの数の多さにきりがないと判断。『たいむちゃんの時計』を使用して、十兵衛を当たらない位置までずらした。
ミア・マハ(みあ・まは)が十兵衛に駆け寄り、『命のうねり』を駆けようとした。
その時、レキが叫んだ。
「上に、誰か隠れてるよ!」
「上じゃと? おもしろい、全て白日の下に晒させてやろう」
そう言うと、ミアは『神の目』を展開。強烈な光が発せられ、天井に隠れている忍びの姿が露になる。
「ゆゆしき事態ですね」
メシエは天井を見上げてアシッドミストを唱えた。酸の霧が天井の忍びどもを包んでいく。苦しみもがきながら落ちてくる忍び達。その忍び達を狙って、壁から刃が飛び出してくる。忍び達は飛び出した刃に撃たれて、次々と倒れていった。そのうちに刃がつきたのか、何も飛んでこなくなる。
「とんだ、罠避けだな」
つぶやく十兵衛にミアが『命のうねり』をかけた。十兵衛の腕の傷が次第に塞がっていく。
「すまぬ」
礼を言う十兵衛。
「何、気にする事はない」
ミアは答えた。
「それより、竜胆の事でずっと気になっていた事があるのじゃが」
「なんだ?」
「竜胆に刀を渡されたと証言した女、おかしくはないか? 竜胆は兄に会う為に『日下部家の跡取りとバレないために女の姿に戻った』のじゃろう? もし本当に刀を渡したとしても、それは男の竜胆の時であり、女装した今の姿を見て一発で判断するのは難しいのではないか?」
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