なし

リアクション

　
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「うお、流れん。引っ掛かってしまたやないかあ」
　同じように川流れをしていた瀬山裕輝くんも浅瀬に身体で乗りあげてしまいました。
「しゃあない、歩くとしますかいな。はあ〜、しんど」
　起きあがると、瀬山裕輝くんも、てくてくと浅瀬を歩き始めました。
　
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「こんな障害、また飛び越えてっちゃうよ！」
「こ、こら、調子に乗りすぎると……」
　ジュレール・リーヴェンディさんがカレン・クレスティアさんを止めようとしましたが、一歩間にあいませんでした。急流と違って勢いがたらずに、ジャンプした筏がべちゃんと浅瀬に落っこちます。
「はうう〜」
　反動で、カレン・クレスティアさんとジュレール・リーヴェンディさんが筏から投げ出されました。
「あいたたたあ」
　思いっきり尻餅をついてしまい、カレン・クレスティアさんがちょっと痛そうにお尻をさすります。
「いわんこっちゃないのだ。もっと着実に、丁寧に筏を押していくのだ」
　乗り手がいなくなって浅瀬に浮いた筏を、ジュレール・リーヴェンディさんが押し始めました。
　
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「うぬぬぬぬ……、貴仁に抜かれてしまったのだ。ここから一気に挽回……あっ！？」
　先を急いでいた屋良黎明華さんの二号艇でしたが、浅瀬に乗りあげてグシャンと潰れました。スピードを出しすぎていたのが徒になったようです。
「さ、参号機の出番なのだあ！」
　屋良黎明華さんは、急いで岸へと走って行きました。
　
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「さあ、勝負は、これからですわ。一気に重賞制覇ですわ！」
　なんだか、ちょっと興奮しすぎていろいろとごっちゃになりかけているエリシア・ボックさんが、浅瀬を物ともせずに進んで行きます。
「あたし、頑張るよ」
　それにあわせて、よいしょよいしょっとオールを浅瀬に突き立てて進んで行くノーン・クリスタリアさんの方は大変です。
　
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　ガシン。
「お尻が痛いですぅ」
　浅瀬に乗りあげて、神代明日香さんが悲鳴をあげました。
「跡がついてますよ。やっぱり段ボールを補給して修理しましょう」
　神代明日香さんのお尻を見て、神代夕菜さんが言いました。
　二人でペットボトル筏を掴んでいったん岸にある資材置き場にまで行きます。
『――ふむ。お尻に残るペットボトルの後もなかなか……うがっ！？』
　そんな物に見とれているから、浅瀬に乗りあげて動きが止まった瞬間、後ろからやってきた源鉄心くんたちの筏に紫月唯斗くんがしっかりきっかりと轢かれました。
『――俺の屍を超えて行け……』
　せいやっと、紫月唯斗くんが渾身の力を込めて源鉄心くんたちの筏を前に投げ飛ばしました。いえ、このまま乗っかっていられると死んでしまいますので……。
「今、何かはずまなかったか？」
　突然筏が空を飛んだので、源鉄心くんが驚いて言いました。一気に浅瀬を突破できたようなのですが。
「ええっと、それは……ああっ！　大変です。罅が！」
「なんだって、筏は大丈夫か？」
　突然叫んだイコナ・ユア・クックブックさんに、源鉄心くんが聞き返しました。
「違いますわ、筏よりも大切なスイカさんに罅が……。早くゴールにむかうのです。でないと、スイカさんが、スイカさんがぁ」
「分かりました」
　イコナ・ユア・クックブックさんがスイカをいったん筏の上に引き上げるのを確認すると、ティー・ティーさんが櫂と風術で筏を加速していきました。
　
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「浅瀬だろうとなんだろうと、私の航海を邪魔させはしないわよ！　いっけー！」
「ちょっと、なんか、ガリガリ言っています。ガリガリ！！　ああ、みんなをお守りください」
　浅瀬を物ともせず、オールを川底に突き立てて力業で進んで行く芦原郁乃さんに、秋月葵さんが思わず祈りを捧げました。アウトリガーがまた吹っ飛びました。この先、またクルクルと回転しないといけないのでしょうか。
　
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「ちょっと、なんで止まるのよ！」
　あっさりと浅瀬に乗りあげてしまい、コア・ハーティオンくんの頭にまたがったラブ・リトルさんが文句を言いました。
「まあ、吃水の深さから考えて、当然の結果よね」
　載せてる物が重たいんだからと、高天原鈿女さんがため息交じりに言いました。
「こんなのどうってことないわよ。さっ、ハーティオンは早く筏を降りて降りて」
　ラブ・リトルさんが、コア・ハーティオンくんを無理矢理筏からおろしました。そのまま、肩車してもらいます。
「私では、ここを歩くのは無理なのでは……」
　一歩歩いたとたん、ズブズブと沈み込みかけてコア・ハーティオンさんが途方に暮れました。
「これは、御飯、無理かなあ」
　少し困ったように、夢宮未来さんが言います。
「そんなことないから、いい、あたしが言った所を踏むのよ。間違ったら酷いんだから」
　いや、間違った瞬間に沈み込んで酷い目に遭いそうです。
　とにかく、ラブ・リトルさんの指示に従って、コア・ハーティオンさんが浅瀬を歩いて筏をおしていくことになりました。
　ところが、不思議なことに、なんとか浅瀬を歩いて行けます。
「こんな浅瀬、あたしにとっては妖精の領土だもん」
　自慢げに、ラブ・リトルさんが言いました。
　
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「チェンジ、無限軌道モード。ははははー、こんな物、障害にも入らぬ！」
　浅瀬を物ともせずに、ドクター・ハデスくんの段ボール戦艦が艦底から無限軌道を出して進んで行きました。
　けれど、すでに日はとっぷりと暮れていたのでした。