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リアクション
★ ★ ★
「何か来ます!」
殺気を感じて、リース・バーロットさんが叫びました。
「回避します!」
早めに気づいたので、歴戦の立ち回りで戦部小次郎くんがハクレンの群れをなるべく回避します。
「な、なんなんだもん、これは!」
「来い、我が相手をしよう」
筏に立てている帆が目立ちすぎたのか、ハクレンたちはカレン・クレスティアさんたちの筏を目指しました。おかげで、戦部小次郎くんたちは無事に回避することができました。
「ああっ、帆がぁ」
「えいえいっ!」
カレン・クレスティアさんたちの筏は帆を壊されてしまったものの、ジュレール・リーヴェンディさんがオールにしていた木の棒でなんとかハクレンたちを撃退しました。
★ ★ ★
「これは、ヤバいですね……」
素早くハクレンたちを察知した瀬山裕輝くんが、ちょっと顔を引きつらせました。このままでは、もろにハクレンの群れがこちらに突っ込んできます。
「おーい、ぴょんぴょん魚さん、あっちですよ、あっち。あっちに何かいますよー」
そう叫ぶと、瀬山裕輝くんはいったん水の中に潜って姿を隠しました。
瀬山裕輝くんが言った先にいたのは、清泉北都くんたちです。瀬山裕輝くんの言葉の意味を理解したとは思えませんが、声の主を探したであろうハクレンたちは、清泉北都くんとリオン・ヴォルカンくんを見つけてしまいました。すぐさま、そちらへと殺到します。
「いっつう〜……」
「いけない!」
リオン・ヴォルカンくんが、ハクレンに襲われ始めた清泉北都くんをだきかかえてその場から逃げだしました。
ハクレンたちは、リオン・ヴォルカンくんがその場に残したミラージュに殺到して惑わされています。
★ ★ ★
「なんか来た!?」
迫るハクレンたちに鬼龍貴仁くんが焦りました。
けれども、突然ハクレンたちが進行方向を変え、鬼龍貴仁くんの筏から遠ざかっていきました。どうやら、氷でできた鬼龍貴仁くんの筏を、冷たいから嫌ったようです。実際、溶けないようにと絶えず凍らせていたため、鬼龍貴仁くんの筏は、元の大きさと比べてかなり巨大な流氷と化していました。
「危ない、危ない」
危機を回避できて、鬼龍貴仁くんがほっと安堵の息をつきました。
代わりにハクレンたちにターゲットにされたのはエリシア・ボックさんたちです。
「あれは、ハクレン! まずいですわ!」
ハクレンに気づいたエリシア・ボックさんが、あわてて回避しようとしますが間にあいません。
筏の上に次々にハクレンにダイブされて、シーソーのように筏が跳ね上がってエリシア・ボックさんとノーン・クリスタリアさんが水中へと放り飛ばされました。まるで、ハクレンの仲間のような飛び方です。
「ぷふぁあ。大丈夫、ノーン?」
しっかりと浮き輪を掴んだままぷっかりと水面に浮いたエリシア・ボックさんが言いました。
「大丈夫だよう」
少し離れたところに落ちたノーン・クリスタリアさんが、同じように浮き輪をかかえてバシャバシャと泳いできました。
「筏を追いかけますわよ」
無人となって流れて行く筏を見つけて、エリシア・ボックさんはノーン・クリスタリアさんと一緒に、あわててそれを追いかけていきました。
★ ★ ★
「気合いだあ〜!!」
むかってくるハクレンたちにむかって屋良黎明華さんが気合いを入れて立ちむかおうとしましたが、あっけなく撃沈します。いったい、何号目の段ボール舟でしょうか。
『――うむ、相変わらずいいアングルです』
後ろから屋良黎明華さんの褌姿のヒップを堪能しながら、紫月唯斗くんが水中に次々に飛び込んでくるハクレンたちを受太刀とスウェーで巧みに避けていきました。
★ ★ ★
「まずいぞ、まっすぐにこちらへ来る」
ハクレンたちに気づいて、緋桜ケイくんが言いました。
「なあに、追い払えばよいだけのこと。こんなこともあろうかと、ちゃんと投げる物も用意してある」
そう言って、悠久ノカナタさんが、重しとして積み込んでいた石をみんなに渡しました。
「こいつでどうだ」
「ごめんなさーいっ!」
「おらー!ぶっ飛びやがれ!」
ソア・ウェンボリスさんたちが、ハクレンたちにむかって次々に石を投げていきます。予期せぬ攻撃を受けて、ハクレンたちが進行方向を変えました。
『――この刃、見切れるか?』
華麗にハクレンたちをきり抜けていた紫月唯斗くんでしたが、いきなり後ろから飛んできた石が頭を直撃しました。
『――あいったあ……』
頭に大きなコブを作って、紫月唯斗くんがぷっかりと川面に浮かびあがりました。