リアクション
ゴール 「うむ、無事? 辿り着いたようだな。さあ、帰り着いた者から、好きな物を好きなだけ食べるがいい。御褒美だ!」 先頭グループのリブロ・グランチェスターさんたち、曖浜瑠樹くんたち、小鳥遊美羽さんたち、秋月葵さんたち、リース・エンデルフィアさんを出迎えてジェイス・銀霞さんが言いました。 「伊勢海老はありますか、ロブスターは?」 海老、海老っと口ずさみながら、アルビダ・シルフィングさんがバーベキューに駆けつけました。 「もちろんあるぞ。今なら、肉だろうと甲殻類だろうとフルーツだろうと野菜だろうと食べ放題だ」 山と積みあげられた食材を指さしてジェイス・銀霞さんが言いました。 「わあい、一度サザエの壺焼きって言うのを食べてみたかったんだよね」 トングでサザエをつまんでバーベキューコンロの上におきながら、エーリカ・ブラウンシュヴァイクさんが言いました。 「私は、アルビダと同じ伊勢海老かな。うん、この霜降り肉もうまそうだな。どんどん焼いてしまおう」 魚介類以外の牛肉などを見つけて、リブロ・グランチェスターさんがすかさず焼き始めました。 「私は、普段はブルストとジャガイモがあれば満足ですが、こういう機会ですから、海老もいいですね」 「そうだろう。たまにはもっといい物を食べたまえ」 早くも焼きあがり始めた伊勢海老を皿に取って、リブロ・グランチェスターさんがレノア・レヴィスペンサーさんに差し出しました。 ★ ★ ★ 「これ、途中でつかまえたんだけどぉ、食べられるかなあ?」 マティエ・エニュールさんと一緒にハクレンをかかえた曖浜瑠樹くんが聞きました。 「いちおう食べられるが……。どれ、預かって下ごしらえしておいてやろう」 「ありがとうございます」 ジェイス・銀霞さんに言われて、マティエ・エニュールさんがつかまえたハクレンを全部渡しました。 「とりあえずは、美味しい物から食べようかねぇ」 曖浜瑠樹くんがマティエ・エニュールさんをうながしました。 ★ ★ ★ 「ううっ、最後に酷い目に遭ったけど、さあ、食べるぞぉ!」 小鳥遊美羽さんが、水着の胸のところにペッタンコと暴食王のエンブレムを貼って叫びました。両手にはいさみ箸を持って、最初からクライマックスです。 「海老! アワビ! ウニ!! みんな、逃がさないよ!」 もはや、誰も小鳥遊美羽さんを止めることができません。 「美羽、ほどほどにね」 いちおう注意しながら、コハク・ソーロッドくんがゴールで待っていたオリヴィエ博士改造ゴーレムのローゼンクライネさんにそっと取り分けた高級食材を渡しました。全て小鳥遊美羽さんの胃袋に消えてしまう前に、他の人にも残しておこうという心遣いです。 そんなコハク・ソーロッドくんですから、慎ましやかに安い物から口にしていくのでした。 ★ ★ ★ 「ふう、回ったり、ぶつかったりして大変だったよね。その分美味しい物食べなくちゃ。海老、まだ残ってるかな?」 気絶したままフォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんと一緒にゴールに流れ着いた秋月葵さんが、無事みんなに起こしてもらってバーベキューに参加しました。 フォン・ユンツト著『無銘祭祀書』さんの方は、焼く前の生のマグロを使い魔の黒猫、クトゥグァさんとイタクァさんにあげています。 ★ ★ ★ 「お師匠様、あなた様の分まで私は食べます。どうか、安らかに……。さあ、食べますよー」 お祈りを捧げると、リース・エンデルフィアさんがバーベキューにむかって走りだしました。 ★ ★ ★ 「なんとか早く着けたようですね。どれ、ちょっとした一手間を加えて、美味しい物を食べさせてあげるとしますか」 「わあ、期待しますわ」 戦部小次郎くんの言葉に、リース・エンデルフィアさんが両手を組み合わせて期待の声をあげました。 それに違わず、鉄板の上で戦部小次郎くんがコハク・ソーロッドくんがとっておいてくれたクロアワビをバターソテーに、伊勢海老をエビチリにしていきました。 ★ ★ ★ 「なんとか、食べ物が残っているうちに辿り着けたようだな」 どんどん減っていく食材を目にして、それでもまだ半分以上が残っていることにほっとしながら緋桜ケイくんが言いました。 「これは、無駄になっちまったかな? まあいい、ドベの奴らのためにとっておこうぜ」 紐を通したハクレンを肩に担いだ雪国ベアくんが、それをガイドさんたちに渡しました。クマですので、魚を背負った姿が実に似合っています。 「美味しそうですね」 「うむ、楽しみだ。たくさん食べようぞ」 立ち籠める煙と香ばしい磯の香りに、ソア・ウェンボリスさんと悠久ノカナタさんが、ゴクンと生唾を飲み込みました。 「二人とも、太るぞ……」 よけいな一言を言って、蹴りを入れられる雪国ベアくんでした。 ★ ★ ★ 「バーベキューは、初めてなんです。結構楽しいものですね」 「さんざん川流れした後だからねぇ。美味しいよねぇ。ああ、火傷するからいきなり海老とか手で掴んじゃダメだよぉ。ちょっと待っててねぇ」 焼きあがった伊勢海老を直接取ろうとするリオン・ヴォルカンくんを止めて、清泉北都くんが軍手をして伊勢海老をお皿に取りました。火傷しないように注意しながら殻をむくと、リオン・ヴォルカンくんに手渡します。 「ありがとうございます」 受け取った伊勢海老をフーフーしながら、リオン・ヴォルカンくんが豪快にかぶりつきました。 「美味しい!」 「それはよかったねえ」 美味しそうなリオン・ヴォルカンくんをニコニコとして見ながら、清泉北都くんはバターを載せたホタテを、焼き汁をこぼさないようにそうっとお皿に取りました。 |
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