リアクション
孔中尉は、港や市場を重点的に調査を開始していた。
雲賊や、噂の飛空艇の兵力などについて調べる際、賊が盗品を売りさばくのにも、物資を補給するのにも、そういった場所を回れば情報が手に入るだろう。
「ふっふっふ……この、「あと一回で取れるかも?」という景品の配置がキモなのでパンダ」
ほわんぽわんはすっかり、射的の魅力を語ることに熱中していた。
「はぁ……」
孔はため息をつきながらも、市場の情報通と自称する老人に話を聞くことに成功した。
「ああ。帝国のやつらは、魔物で困っているようなら、帝国の軍事力でそれを何とかしてやろうと、持ちかけたみたいだね。
だが、親父は断った」
「お、親父? でありますか……」
「ああ。あんた知らんのか。我々、ヒクーロの長だよ。
おそらく、帝国は、その代わりに親父に力を貸せとか、やわに帝国の傘下に入れとか、そういうことを言ってきたんじゃないかね。
親父はそういうのは要らんお世話だとか言って、余計に嫌うから。
それに、親父は言ったという。とめどなく溢れてくる魔物を何とかするには、コンロンの根っこの部分を何とかしなければならないと。とめどなく溢れてくるんだから、付近の魔物を退治するだけじゃ無駄なんだ。また溢れてくる。それがとめどなく溢れてくるってことなんだからね」
「……して、親父はどうするつもりなのでありますか?」
「その前に、その親父の態度は、帝国を怒らせたようだね。
あからさまに武力でヒクーロを制圧するつもりはないようだが、帝国は、新興勢力の夜盗に接触し、やつらをけしかけようとしている、みたいな噂は聞くねえ。親父は、断固、戦うだろうねえ。本当は、我々民としては、頭を使ったやりかたをしてほしいところだが、それがこのヒクーロを先祖代々で治めてきた親父のやり方だからねえ。まあ、我々はそれに守られてもきたわけだけど。今度は、相手が帝国だからねえ。最近はやたらとあちこちで、紋章つきの飛龍が飛んでいるじゃないか。
これに教導団も来ている。となりゃ、今度は親父もヒクーロもどうなることやら」