リアクション
卍卍卍 大奥の女官鏡 氷雨(かがみ・ひさめ)と竹中 姫華(たけなか・ひめか)は、暇の願いを出して東雲遊郭に来ていた。 芸者としてお座敷の上ることを試みる。 「えー、姫ちゃんなんで目が見えない振りしてるのー?」 氷雨は二階の御座敷でお呼びがあるのを待たされていた。 姫華は盲目の芸者という設定らしく、両目を目隠しで覆っている。 無理やり連れてこられた小早川 秋穂(こばやかわ・あきほ)はあきれ顔だ。 「ちょっと、竹中! なんで私まで!」 「仕方ないでしょ、遊郭で三人一緒に行動するならこれしかないもの」 そういって、姫華は爪を噛んでいる。 遊郭で起こっている遊女殺人について考えているのだ。 「遊女の殺害方法……なんかおかしい気がする」 姫華は胸のあたりを押さえる。 「心臓の大部分は胸骨の影に隠れてるから、心臓を潰すには、肋骨の隙間から刺す方法しかなわ。よく狙いをつけて、相手が動かないように抑えながら刺さないと……神業でもなければ無理ね」 「わー、姫ちゃん物知りーぃ。じゃあさー『遊郭』ってなーに? 何するところ?」 「え……っとね、それは……」 氷雨の純な質問を姫華は秋穂にふる。 「小早川のほうが詳しいから」 「ちょっ、竹中! 都合の悪いことを全部私に押し付けるな!」 氷雨にどう理解させるか、竹中・小早川で軍議を開いてるよそで、氷雨は窓から乗り出し指さした。 「ねー、姫ちゃん。小さい遊女さんが裏庭のほうに連れて行かれちゃったよー」 「え?」 半兵衛は目隠しを取る。 「ねえ、もしかして……ちょっとやばいんじゃない?」と、秋穂。 三人は大急ぎで下に降り、裏庭へ向かった。 卍卍卍 「さあ……自分の罪をさらけ出すのだ。お前の心の中にある『影』を……」 男は悠希に圧し掛かったまま、低く呟く。 「お前の心の奥に広がる『影』だ」 「そんなの……ないです!」 「そうか? 他人をうらやんだり、嫉妬する心はないのか?」 「ちがう……ちがいます……やだあ!」 悠希は涙を浮かべながら必死にもがいているが、男の力は強く逃れられない。 いつの間にか、悠希の目の前で金色に輝く天秤が揺れていた。 「見ろ……こんなに傾いている」 「悠希、見ちゃダメだ!」 魔鎧カレイジャスが反撃しようとするのをみて、男は背に隠していた槍を取り出した。 槍は瞬時に伸び、カレイジャスに突き刺さる。 「あれなに……?」 氷雨たち三人が目撃したのは、槍をもった男が遊女を襲っている光景だった。 「十文字槍……? もしあれで……突くなんて信じられない。『神』業でもなければ……!」 姫華が声を上げる。 男は彼女たちに気付き、悠希は放すと三人の方へ突き飛ばした。 遊郭の中を悠然と駆けていく。 追い詰めた先は『竜胆屋』の見世裏だった。 そこで男は姿を消していた。 |
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