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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)
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 砂漠で独立勢力化した桐生 円(きりゅう・まどか)。率いるは、吸血鬼と(もとドストーワ)獣人兵の混成軍400。
 円は、兵を率い本国へ帰還。
 また、前回のようなパフォーマンスや喧伝により、砂漠に住む魔の類を引き寄せ、雇用することに努めた。
「えーっとボクはこの国の王の娘、王が今具合悪いのでボクが判断することになる、よろしくね」
 立並ぶ名もない種族の魔物ども。けっこう危ない目つきの奴らばっかり。「さてと使えそうなの、いるかな……と?」
 オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)ミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)に吸血鬼100と獣人兵190を付けて砂漠に出させた。もともとこの地の民であった吸血鬼にとある調査をさせるためであるが、同時に、敵国もしくは場合によっては味方とできる勢力の出方次第で動けるよう斥候を送った。
「オリヴィアは、王羊はクトレアへ……ドストーワはグニジァへ向かう、と予測するんだよねぇ〜」
「ミネルバちゃんは、……ま、とにかく戦えればいいかなー♪」
 斥候によると、ドストーワの中軍はすでに王羊隊と合流していたらしく、その中からおよそ100程がどうやらクトレア目指して猛進(誰かを追っているようだとも)、残る200は王羊隊と共にグレタナシァに一旦戻るようである、とのことであった。さいわい、現状、吸血鬼の国に攻め込む様子はなさそうである。
「案外、現実は非常ってこともなかったねぇ。で、円は何て言ってったっけぇ?」
「えーとー。確かー、りゅーらい対処に向かうなら放置?」
「王羊とドストーワが一緒にどっちかの小国を攻めるならぁ、その逆を攻める、だよねぇ〜」
「ってーことはー。……クレトア? ミネルバちゃんが攻めるの。……グラシナタァ??」
「グニジァ。オリヴィアが攻めるのはね」
「じゃーあー、ミネルバちゃんはー。……クレトァ? ……グラシナタァー??
 わかんない。一緒のとこでいっかー」
「そうだった気も……。ま、どうせ最後には全部ひとまとめにするんだし〜」
 かくして、オリヴィアとミネルバは軍勢を率い、グニジァ急襲に向かった。

 砂漠の小国は戦乱の様相を呈す。
 グニジァ(兵力300)は桐生円の吸血鬼・獣人混成軍(兵力290)との戦争に、クトレア(兵力300)は、ナインと共に帰還した兵の報を聞き出撃した迎撃隊と、彼女らを追ってきたドストーワ獣人兵(100)との一戦となった。(とりわけ、獣人兵のLvは今シナリオ中でも兵としては高い7〜8レベル。通常に訓練を受けている兵はせいぜい2〜3といったところ。また、打って出るか、篭城戦になるかで判定は変化してくるだろう。この辺りは、本当は細部を決めていないと難しいところである。)
 吸血鬼軍の指揮官オリヴィアは討たれぬようディテクトエビルで注意を払い、ファイアストームで攻め立てた。ミネルバはディフェンスシフトを張り、即天去私で城兵をなぎ払った。グニジァは陥落寸前。
 クトレアは半数近くの兵が討たれるか戦傷したが、獣人兵を撃破した。

「二人、上手くやってるだろうね? ……えーっと、それで」
 吸血鬼の国では、円が砂漠の魔物たちを品定めしている。
「気に入りました、キミ将軍やってみないかい?」
 グロロロロ、ブブ、ブ……。デザートフライの群れのボスか。知能はまったくなさそうだ。
 芋虫じみた奴とか、骨っぽいのとか……やはり、知能のありそうなのは、いちばんには吸血鬼(吸精幻夜済)だ。しかし、どこまで任せられるだろう。吸精幻夜の効能次第かもしれない。効果が薄れるようであれば、ずっと国や軍を任せる……というわけにもいかない。
 効いている間であれば、命じなければ動かない、ということもなさそうだ。忠実な僕であり、ある程度、知能に頼って行動はできるようだ。
 吸血鬼は牙を光らせ、獣人はよだれを垂らす。魔物の羽音やら唸りや呻きやら、ずるずる這い回る音やらが聞えている。(魔物の国 兵力500)
「なかなかエグイ軍になってきたね。あとは、ロマンね。
 さあ、どこを攻め滅ぼそうかな……?」

 ロマン。魔の国の建国、侵略、……恐ろしき存亡のロマンの始まりだ。