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リアクション
被害者 加害者 桃色世界
眠っている朱雀にカボチャパンツとニーハイソックスの子供用ゴシックを着せているリオナ。
「あぁ、やっぱり小さくなっても美しい子ですね。ここに連れてきて当たりでした」
着せ終えた朱雀をうっとり見つめ、持っていたカメラで激写した。
「んー。このまま目が覚めるのを待つのもなんですし……少し泣かせてみせましょうか」
リオナは周りに巻き込まれないようにしていた火樹に目を付け、徐々に接近していく。
「にゃー火樹がちっちゃくなっちゃったよ!? アイスも―――あれ? あんまり変わらない?」
「はぁ……なんでこの時の姿になるんだよ。しかもどっかから視線を感じるし……」
元の姿でも女装できる容姿だった火樹は、幼くなった現在完全に女の子に見えてしまっていた。
それに加え、幼少期事故で両親を失い、“やっかい者”として親戚をたらい回しされている当時の姿となってしまった為に少し憂いを帯びた顔をしており、『薄幸少女』と見える。
アイスの方は元々小さいなりの為、そこまで変化はないが白髪&赤目のアルビノ体質で色白あり、人見知りから来るビクビクした行動が、小動物的な雰囲気を醸し出している。
そんな雰囲気から一部の人から「愛でたい」「撫で繰り回したい」といった衝動を芽生えさせるような容姿をしていた。
「うぅ、かき〜……なんか、怖い感じが周りからするよ」
ひしっと火樹にぴったりと寄り添うようにして、プルプルと震えている。
そんなアイスを憂いを帯びた表情のまま護るようにしている火樹。
「大丈夫だ。ここで大人しくしていればいずれ元に戻るだろう。それまでの辛抱だ」
「うん……面白そうだと思ったから来てみたのに〜」
「アイス、私もついているわ。安心なさい」
ノース自身も子供になっているが、どこぞの令嬢のような雰囲気を醸し出している。
そして、アイスとさりげなく火樹を護るようにしている為、ある意味悪目立ちしている事を誰も自覚していなかった。
「すみません、ちょっと良いですか?」
「みゃっ!?」
声をかけてきたリオナに驚き、ぴったりと寄り添うようにプルプルと震えていたアイスは、火樹にぎゅっと抱きつく。
「なんですか、あなた……」
ノースはいきなり話しかけてきたリオナに警戒心を剥き出しできつくした目で睨んだ。
「そんなに怖い顔しないで下さいよ。私はただ……これをあなたに着てほしいだけですから♪」
リオナは火樹を指さし、手にしていた朱雀と対になっているようなゴスロリを見せる。
「は?」
「先程目にした時、この服が似合いそうだと思ったのです」
「ちょっと待て。俺は男だ」
「ぜひ着てくれませんか? きっと似合いますから!」
「だから、俺は男だって」
「大丈夫です」
「おい」
「さぁ、着替えて下さい!」
じりじり近づいてくるリオナ。
標的が自分だと気付いた火樹はさり気無くアイスをノースの方へやり、リオナを止めにかかる。
「ちょっ、落ち着け!! 俺は男だ!!」
「性別なんて関係ないですよ。似合うか似合わないか、ふたつにひとつです」
「聞けーーーー!!」
「あー動かない。ボタンが外れないじゃないですか」
「断る! つーか外さなくていい!! 何で女物の服を着なくちゃならないんだ!!!」
「似合いそうだからに決まってるじゃないですか」
「ちょっ、よっ寄るな! ……こ、この変態がぁぁぁ!!」
そう言い捨てて脱兎のごとく逃げ出した火樹。
「あっ待って下さいよー」
「行かせないわよ」
火樹を追おうとしたリオナの前に立ちはだかるノース。
「邪魔しないでほしいのですが」
「火樹が困っているのが分からないの? さっさと諦めてくれない?」
「嫌だと言ったら?」
不敵に笑うリオナ。
ノースは先手必勝とばかりに攻撃を仕掛けようとしたが、変化した体格に慣れて切っていない為派手に転倒してしまう。
「きゃう!」
しばし無言でノースを見ていたリオナだが、さっと身をひるがえして逃げていった火樹を追いに行った。
「だ、大丈夫?」
「ええ。どうして大事な時に転ぶのよ、私は……」
リオナを止める事が出来なかったノースは少々落ち込むのだった。
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