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【祓魔師】人であり、人でなき者に取り込まれた灼熱の赤き炎

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【祓魔師】人であり、人でなき者に取り込まれた灼熱の赤き炎

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第6章 外法の魔術Story5

「む…?元の姿に戻れたようだな」
 リオンが駆けてくる真宵の姿をちらりと見る。
「結和の姿が見えぬが」
「もう1つ火の玉がいるよ、リオン」
「なんだと?もしや呪いにかけられてしまったのか。和輝が応援を頼んだ者たちの姿もないようだ。…おい、ロラ!貴様らだけか?戻る前に、他の者の気配を感知しなかったか?」
「むぅー、んぅー。(ううん、感じなかったよ)」
 両手をばたばたさせてアークソウルの探知範囲に、それらしい気配はなかったと答える。
「―…何を言っているかさっぱりわからんな」
「パートナーの人しか通訳出来ないのかも。あ、リオン!フードを被ったやつが見えなくなっちゃった」
「何っ。アニス、和輝の援護をしてやれ。体力的にポイントシフトもそろそろきつくなってくる頃だ。その宝石で加速させろ。」
「うん、おっけ〜♪」
 アニスはニッと微笑み、大切なパートナーの援護に張り切る。
「(さて、アニスには悪いが、器のほうに祓魔術を集中させてやろう)」
 ヒトの身を捨てた者の力を弱めなければ、中のビフロンスとの対話が出来ない。
 哀切の章の祓う威力を下げ、術を行使する能力を低下させようと狙う。
 ターゲットは知らぬ間にSPを失っていき、術の発動が徐々に減っていく。
 一方、真宵はロラを掴んだまま、瞬間的に速度を上げたりしてなんとか術を避けている。
 こちらの相手も不可視化され、探知はロラが引き受けているようだ。
「んぅーむぅー!(いくつか気配が近づいてくるよ!)」
「えっ、何言っているかさっぱりなんだけどっ!?」
「うぅー!!(来たっ!!)」
 気配の元へ目を向けると、エリシアたちの姿が視界に入った。
 エリシアはすぐさまビバーチェに、呪いの抵抗力を与える香りを使うように言う。
 それに気づいた相手は足を止め、不快そうに舌打ちをした。
「あら…こんなによい香りですのに?まるで、花の魔性のことを知っているかのようですわね」
「存在だけはな。見るのはこれが初めてだが、イライラするっ」
「なるほど、少しは知っていると…」
 呪術にかかりにくくすることを知り、呪いを扱う者ならば嫌がるのも頷ける。
「和輝さんにテレパシーで呼ばれたのだけど。解呪が必要ということかな」
「この2人よ」
 真宵は火の玉を抱えているロラをつまんで涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)に渡す。
「おや、まだカエルにされていた人がいたのかな。―…ホーリーソウルに反応がないようだけど」
「―…むぅー、んぅーうう!(違うよ、ロラはギフト!)」
 彼にも言葉が通じないらしく、ジェスチャーで必死に伝える。
「ふむ、呪いにかかっているわけじゃないのか」
「お父様。2人の解呪をいたしましょう」
「そうだね、ミリィ。始めようか」
「はい、お父様!」
 ミリィ・フォレスト(みりぃ・ふぉれすと)は深呼吸し、精神統一をさせて火の玉になった者に触れる。
「癒しの光よ、傷付きしものに活力を与えよ」
 ホーリーソウルの暖かく柔らかな光が、彼女の手の平に集まる。
 清き光はゆらゆら揺らめく火の玉に浸透し、中に潜む赤黒い影を包む。
 ゆっくりと外へ引き出して浄化する。
 火の玉だったテスタメントは、やっと元の姿に戻った。
「うぅ…、ありがとうございます…」
 炎に対する恐怖心がまだ残っているのか、ぷるぷる震えて涙目になる。
「こらぁあ、…元に戻ったならっ、早くこいつをなんとかしてよ!…はぁはぁ、わたくし1人が的になるんて酷いわ」
 テスタメントのパートナーは、まだ追われていたようで、ぜぇぜぇと息切れしている。
 術を避けたりするために、時の宝石の力を使いすぎたようだ。
「私にその宝石の効力をかけてください」
「はぁああ?こけてばかりのくせに、何を言ってるのっ」
「ま、真宵よりテスタメントの方が倍は運動能力はあるのです!おお〜、足が速くなったのですっ」
 対象との接近は避け、距離をとりながら詠唱を始める。
 相手が彼女たちに気を取られている隙に、解呪しようと涼介はホーリーソウルに祈りを込めた。
「全てを癒す光よ、傷付き苦しむものに再び立つ活力を」
 指先に集中させた温かな優しい光を、火の玉の中に送り込む。
 浄化の力に捕らえられた影は、金切り声を上げながら抵抗する。
「(そこは呪いが住み着いていい場所じゃない。出てゆけ)」
 涼介は影の抵抗を許さず、浄化の力を強めていく。
 引っ張り出された影は耳障りな悲鳴を上げて消えてしまった。
 元の姿に戻った結和は、涼介に“あ、ぁの、ありがとうございましたっ”と礼を言う。
 ちょうどその時、真宵の精神力が尽きた。
「ま、まま真宵っ!?きゃわわ、炎が…っ」
 テスタメントに迫るファイアストームを、涼介がホワイトアウトの猛吹雪で相殺する。
「(呪いが効きにくいと分かって、攻撃の術を集中的に使ってきそうだな)」
 彼女の後ろにいる花の魔性を扱う2人をちらりと見る。
「ミリィ、皆に不可視の者の位置を教えてあげてくれるかな」
「分かりましたわ」
 首から下げているエレメンタルケイジの中のアークソウルが鈍い輝きを見せた。
 ミリィは魔性を取り込んでいる者の位置を、人差し指で示しながらテスタメントたちに伝える。
「ロラ、エターナルソウルで加速をお願いします」
「んんーうぅー!(任せてゆーわ)」
 結和の背に飛び乗ったロラは、時の宝石の力を行使する。
「(もう、術の効果が切れてしまっているはず。もう1度、魔力防御力を下げてやりましょう)」
 贖罪の章を唱え、続けて裁きの章の詠唱を始めた。
「ルルディちゃん、花の香りをハンドベルにちょうだい」
 戦況を見つめていたノーン・クリスタリア(のーん・くりすたりあ)は、フードを被った者の視線が逸れたのを確認して、召喚しておいたルルディに言う。
「それに送ればよいのですね…?」
 涼やかな香りをカラカランと鳴るフラワーハンドベルに送り込む。
 ベルをもう1度鳴らす前に、炎の術に対する抵抗力を上げようと幸運のおまじないをかける。
 エリシアも少女に合わせ、指先に魔力を宿らせてルーン文字を書き記し、魔法の結界を作り出す。
「なんだぁ?こざかしいマネしやがって。…ディスペル!!」
 先に潰しておきたかった花の魔性使い、エリシアにターゲットを変えてノーンのかけたスキルを強制解除させた。
 幸運の気はガラスが割れたような音を響かせ砕け散った。
 熱毒の熱気、ポイズンヒートがエリシアを襲う。
「―…くぅっ」
「おねーちゃん!!」
「待ってください…ノーンさん。あなたには、やるべきことがあるでしょう」
 エリシアの元へ駆け出そうとするノーンをルルディが止める。
「でも、おねーちゃんが…」
「あなたの考えでは、もっと優先すべきことがあるはずです」
 淡く清楚な白いドレスを纏った少女は、冷静な口調で言う。
「うん…。ルルディちゃん、わたしに力を貸してっ!」
 今すぐにでも傍に行きたい気持ちを抑え、フラワーハンドベルを鳴らす。
 カララン、カランカラーン。
 心地よい音色が空気を振動させて響く。
 器のほうにはそれが気に入らないらしく、ノーンを睨みペトリファイを放つ。
 それを見たエリシアは少女を庇い、石になってしまった。
「へっ。祓魔師ふぜいが、図に乗りやがるからだ」
「あなたも、少々…いたずらがすぎるようですね」
 裁きの章を行使するタイミングを狙っていた結和が、霧雨を命中させる。
 続け様にテスタメントが哀切の章による祓魔術を放ちSPと体力を削ぐ。
「リオンさんたちが相手にしていた方も、倒れたようですし…。そろそろ、大人しくしていだけますか?」
「ざけんな、この山を噴火させるまでは…うぐっ。…ちっ、うるせぇえ、出てくんじゃねぇえ」
 術を発動させるための力や体力を削がれた彼の中にいるビフロンスが、ノーンのハンドベルの音色を聞き、意識の主導権を取ろうと抵抗しているようだ。
「えっと、ビフロンスさん、頑張ったら自由になれたりしない?みんなで占いしたり、おしゃべりしたりして、いっぱい遊べるよ?」
「う、ら…ない…。ワタシ、…たちが…。ぁああぁぁ…っ」
 少女の声音でそう呟いたかと思うと、小さく悲鳴を上げた。
 不可視化していた者は可視化し、ヒトのような姿を現す。
「気配が1つになりましたわ」
「ということはビフロンスが離れたんだね、ミリィ」
「そのようですわ。…結和さん?まだ相手に近づいては危ないですよ!」
「もう、術を使う魔力はないかと」 
 ビフロンスを憑依させないように、結和は黒フードの者の首に身代わりの札をかけた。
「このっ、触るんじゃねぇえ!」
 彼は怒り狂いロッドをめちゃくちゃに振り回す。
「てめぇ……ビフロンス、もっと能力を見せてみろよ。お前の力は、こんなガキどもにやられるほどのモンなのかぁあ!?」
 正気に戻りきれていない炎の魔性を挑発する。
 声を上げて狂気に堕ちたビフロンスが引き寄せられていく。
 器に触れた瞬間、聖なる魔力に弾かれる。
 黒フードの者の首に下げれていた身代わりの札の紐が取れて地面に落ちる。
 結和は素早く手元に回収し、ミリィの視線に合わせて灰色の重力でビフロンスの体力を削いだ。
「これでもう、手段はありませんね?」
 今度こそ大人しくしてもらおうと、抵抗出来ないように取り囲んだ。



 和輝のテレパシーで呼ばれたクリストファーが、エリシアの石化を解除する。
「礼を言いますわ、クリストファー・モーガン」
「解毒薬もあるよ。必要であればどうぞ」
「ええ…。…ん」
 クリストファーのクローリスが作ったドリンクを飲み干す。
「ボクたちもレイカさんたちと下山しようか迷ったんだけど。万が一のこともあるから、残ってよかったよ」
 クリスティーは和輝にドリンクを渡して言う。
「彼らから何か聞き出せた?」
「いや、これからだ」
「アニス、近づきすぎだぞ」
 無防備に黒フードの者の元へ箒を寄せるアニスを、リオンが止めようとするが彼女は構わず向かう。
「ほとんど抵抗出来ん状態とはいえ油断するな」
「にひひっ。だいじょーぶだよ、リオン。…ねぇー、ちゃんと答えてくれたら、許してくれるかもしれないよ?」
「へぇー?開放してくれるっていうのか」
「もう悪をさしないっていうなら、仲良くしたいからね♪」
「はいはぁーい、降参。答えたら開放してくれよな」
「うん分かった!」
「よせ、アニス。それ以上近づくなと言っているだろう」
 高度を下げてさらに近寄るアニスの腕を掴んで言うが、それでも彼女は止まろうとしない。
「リオンの言葉をちゃんと聞け」
 和輝は箒を引っ張り、黒フードの者から引き離す。
「ちぇっ。ただおじょーちゃんと話してただけなのにさぁ〜」
「(―…こいつ、よくもっ)」
 明らかにパートナーを利用しようとしている軽い口調で言う相手を睨む。
「ねぇ、どうやって憑依させてるの?」
 自分を異形化させるのは好まないが、ただの知識として知りたい真宵が聞く。
「格好は大事よ。可愛さとか足りないのは最悪じゃないかしら?」
「あんたの寿命、全部くれるっていうなら教えてやるよ」
「なっ!?あげるわけないでしょ」
「それじゃー答えられねぇーなぁ〜♪」
 怒る真宵の表情を眺め、おかしそうに笑う。
「え、えっと、ベールゼブフォさんに悪いことを吹き込んだのは、あなたたちですか?」
「ベールゼブフォ…?なんだっけな、そいつ…。あぁ〜あれか!そういや、そんなやつもいたっけか。すっかり忘れてた。そいつがどうかしたのか?」
 悪びれる様子を見せず、しれっと言い放つ。
「貴方の目的は何ですか?そしてそれは、他の方法や魔性さんを巻き込まずに…私たちと協力することでは、達成できないのですか?」
「目的…?そりゃ顔だ、顔」
「顔…とは…?」
「恐怖や絶望だかっていう顔だ。おもしれぇだろ?けっさくだろ?」
「なぜ、それが面白いのですか」
「あるやつが、力ないのないやつらを玩具にして遊ぶことこそ、サイコーの楽しみだって教えてくれたんだ」
 とても正気とは思えない言動に結和は顔を顰めた。
「破壊はイイぜ、サイコーだ。どうせこの世は、作っちゃー壊しの繰り返しだろ。あんたも、破壊の楽しみを知りたくないか?」
「そ、それは、ご遠慮します。…その破壊のために、魔性さんを巻き込んでいるのですか?」
「よえーやつは、所詮道具だからなー。そいつらの使い魔だってそうだろう」
「下郎。ビバーチェやルルディたちは、道具なんかではありませんわ」
「はぁ〜?まさか、お友達とかっていうんじゃねぇだろうな。所詮、使い魔だろうが!」
「どうやらキミたちとボクらの感覚は、ずいぶんと異なるようだね…」
 温和なクリスティーも呆れたとため息をつく。
「もう時期、破滅の時がやってくる。飢餓でくたばるか、血に沈むかの違いだなぁ〜♪」
「快楽のためだけに、他者の命まで脅かしているということか。作物は人々にとって大事なものだ。それを壊していい権利なんて誰にもない」
 彼の言葉は涼介も見逃せない。
 反省の色すら見せないこの者は、投獄しかなさそうだ。
「他の者の報告を待ってから、下山することにしよう」
「彼らを連れて歩くわけにもいけきませんわ、お父様。ひとまず、ここで待機してはいかがでしょう?」
「そうだね、ミリィ」
「なら、皆でここにとどまっておくか。何かあれば、俺のテレパシーで連絡のやりとりが出来る。必要とあれば、人手の足りないところへ向かってもらいやすいしな」
 和輝たちは2人の監視目的も含め、この場で仲間の報告を待つことにした。



「今日は山登りね♪」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は楽しげに足取り軽く登る。
「岩ばっかで緑がねぇ山のな」
「カルキ!雰囲気をぶち壊さないでよ」
「しかも、ちょー熱いしなぁ〜」
 炎の術で刺激された火山のマグマの影響か、岩肌から細い湯気が吹き出ている。
「オメガ…熱くないか?」
 色白の肌がほんのり赤みがかっているのが気にかかり、夏侯 淵(かこう・えん)が気遣うように聞く。
「大丈夫ですわ、…淵さん」
「よければ俺の手に…」
 掴まれないか?と言葉をつなげようとしたが、クマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)に先手を取られてしまった。
「大きなお山登るのは初めてかな、オメガちゃん」
「ええ…」
「そっか〜。オイラは授業の遠征で慣れているから、引っ張ってあげるね」
 山登り気分で嬉しそうにさくさく進んでいく。
「エースきゅ〜ん?」
「ま、まぁ、クマラはまだ子供だしさ…」
 うらめしげに言うルカルカの顔に、びくっと身を震わせた。
「ていうか歩かなくってもよかったんだ。オメガちゃん、箒の後ろに乗せてあげる!」
 クマラは持ってきたサンタの箒にオメガ・ヤーウェ(おめが・やーうぇ)を乗せる。
「熱いのはしょうがないけど、徒歩じゃ体力を消耗しちゃうからね♪」
「ねー、歩いたほうが楽しいよ?体力もつくし」
 そこから降りて♪といわんばかりに、ルカルカがニッコリ笑顔でクマラに言う。
「やだよ、疲れちゃうもん」
 少年はルカルカから離れ、エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)が乗っているワイルドペガサス・グランツのほうへ箒を寄せる。
「くぅ、その手があったか」
 仲良さげにしている2人を、淵は悔しげに眺める。
「…っと、また地震やね」
「食べ物がとれなくなったりするのは許せないよ!皆やボクが食べる分がなくなっちゃうじゃん!」
 美味しい料理が食べられなくなる!と言い、リーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)はプンプンと怒り顔する。
「リーズ。食べ物のこともそうだが、今回の相手のことも気にしておかないか?」
「何言っているの、磁楠。お山が噴火しちゃったら、火山灰のせいで作物が全部おわっちゃうんだよっ」
「それは皆、分かっていることだ。…いや、もういい」
 敵のことよりも食べ物ばかり気にするリーズに、今は何を言っても無駄のようだ。
「私たちの様な祓魔師がいるのだから、その真逆もいるのではと思っていたが…案の定か。小僧、お前はどう思う?」
「対立するような存在は想定内やな。まぁ、あれやね。黒魔術は、人の身で使えば命を縮めて滅びる魔術みたいやし。てことは、人じゃないやつが関わっているっつー考えが自然やない?」
「―…ふむ。魔性のたぐいだろうか」
「へっ?」
「魔性が魔性を利用する。ありえなくはないだろう?」
「そうそう、クリスタロスでカエルが言ってたの聞いてたんだけど。目に見えるモノだけが、真実じゃない。見えないモノが真実でもない。だが…どちらでもあり、どちらでもない…ってね」
 ルカルカが口を挟み、覚えていたカエルの魔性の言葉を言う。
「ゆえに、“利用しているのが魔性ではない”とは限らない…というわけか」
「利害の一致で協力することはあっても、仲がいいっていうわけでもないみたいやからな」
 目的のためならば利用するということは十分ありえる。
 人間の世界と同じく、あちら側も同様のようだ。
「命削る外法ってことは、オレらみたいな地球人とかはまずありえんってことか」
「仮にそうだとしたら、とっくにあの世へ逝っているだろう。だが統率者なしで、山の爆破計画はありえない」
「元ヒトでもない、それなりの力のあるやつってことなんかなぁ」
「それも…、ボコールっていう邪徒のやつに聞いてみなきゃね。…まだ気配はない?」
「さっきから爆発音は聞こえるんやけど、位置がバラバラでどっちに行ったらいいんやら」
 七枷 陣(ななかせ・じん)はかぶりを振り、まだそれらしいものは感知出来ないとルカルカに言う。
「悩んでても見つからないし…ルカたちはあっち側を見てくる。陣たちは向こう側をお願い。見つけたら発煙筒で知らせてね」
 そう告げるとルカルカはエースたちは北側へ向かった。