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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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地球に帰らせていただきますっ! ~4~

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 ■ 結婚報告 ■
 
 
 
「よ、久しぶりだな」
 ラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)が顔を出して挨拶すると、アーロン・クローディスはちょっと目を見開いた後、破顔した。
「よぉラルク、元気そうじゃねぇか」
 アーロンはラルクの母親側の叔父で、ラルクにとっては今や唯一の親戚だ。
 昔はまぁ、ラルクは大人を怨んだりもしたし、懐疑的な眼差しも向けたこともある。
 けれど家族を持ってはじめて分かった。
 助けなかったんじゃなく、助けられなかったんだ――と。
 強盗が出たらまずは自分の家族を最優先にするのは当たり前だ。
 孤独だったラルクは、そのことに気づけなかった。
 けれど、今は違う。
 掛け替えの無い家族を持った。
 死んだ母親にも会って、色々と話すことも出来た。
 1年前の自分とは全く違っていると思う。
「ま、おかげさんでな」
 ラルクはアーロンに笑顔で答える。心にゆとりができた今だからこそ、出来る笑顔で。
 
 
「帰るなら帰るで連絡ぐらいして来いよ。いきなり帰ってくるもんだから、なんの準備もしてねえぞ」
「だと思って、土産を持参してきた」
 ラルクはパラミタの酒を出すと、それをアーロンと酌み交わしてしばらくぶりの再会を祝った。
 酒が入れば口も回るようになる。
「なんつーか、相変わらず独り身なのな。いい加減所帯持てって! 子孫を残さねぇと!」
 ラルクが軽口を叩くと、アーロンはがぶりと酒をあおった。
「余計なお世話だ。俺は結婚したい時にするんだよ!」
「残念だったな。俺は去年の6月に結婚した新婚ほやほやだぜ! ま、俺の方は子孫は残せないがな」
 相手は男だからとラルクが言うと、アーロンは驚いたようにラルクの顔を見直した。
「何の用事かと思えば結婚報告かよ……しかも男だと……!」
「ああ。結婚はいいぞー! まじで人生の潤いってか、奥さんまじ最高だしな! ちょっと今は病気だが、それがより守ってやりてぇって気持ちにさせるんだよなー」
 思いっきりいい笑顔でラルクが言ってやると、
「なんてうらやま……」
 アーロンはごほんと咳払いでその先を濁した。
「あ? 何か言ったか? アーロン」
「いや……とにかくおめでとうだ!」
 今日は腕によりをかけて祝ってやると言うアーロンが何かをごまかしている気はするが……まあいいかとラルクは追及しないことにする。
 家はなくなってしまったし、地球にはほとんど居場所も無いけれど、正月ぐらいは唯一の居場所でゆっくりしても良いだろう。
 
 パートナーたちをパラミタに置いてきたのをいいことに、ラルクは地球で美味しいものを食べ、久々にだらだら過ごして羽を伸ばしたのだった。