校長室
地球に帰らせていただきますっ!
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帰省パーティ 実家に帰ってきた……途端。 フレデリカ・レヴィ(ふれでりか・れう゛い)はメイドたちに囲まれた。 そのままお風呂に連行され、磨き上げられた挙句にドレスを着せられる。 「ねぇ、どうしていきなりこんなことになってるの?」 髪を結い上げられながらフレデリカが尋ねると、メイドは申し訳無さそうに答えた。 「旦那様のご命令なのですわ。今晩のパーティに間に合うように、お嬢様のお支度をと……」 「パーティがあるの? あんまり出たくないなぁ」 それでも間に合わなければメイドが叱られるだろうと、フレデリカはなされるがままに、紅緋のビロードを基調としたドレスの上に細かい刺繍がされた純絹のオーバードレスという格好に着替えさせられたのだった。 それでも気が進まないのには変わりがない。 「ねぇ、パパ。やっぱりバーティに出なきゃ駄目? あそこの人たちって、私個人じゃなくて『ヴィルフリーゼ家のご令嬢』にしか興味ない人ばかりじゃない」 会場に出る前に、フレデリカはちょっと恨めしげな目で父親のクラウス・レヴィを見つめてみる。けれどクラウスの気持ちはそれくらいでは揺らいでくれない。 「フリッカにも分かるだろう? パラミタの情勢が難しい時期だからこそ、多くの人脈が必要なのだ」 少しはゆっくりさせて欲しいというフレデリカの願いもむなしく、父親は強引に彼女をパーティへと連れ出した。 パーティはとても盛大なものだったけれど、フレデリカはすぐに幻滅し、こっそりとため息をついた。 (はぁ……わかっていた事とはいえ、ろくなのがいないなぁ。やっぱり兄さんみたいな格好良くて性格が良い人なんて、そうそういるわけないよね……) こんなところで少しでも期待した自分が馬鹿だった。 そんな後悔をしながらも、フレデリカは下心丸出しだったり、家系をひけらかしてくる貴族のボンボンたちを適当にあしらった。 ゆっくりしようと思っていたのに、父親に毎日あちこちに引き回され、色々な人に引き会わされて。地球での日々は忙しく過ぎた。 パラミタに帰るという日、クラウスは出立の挨拶に来たフレデリカに言い聞かせる。 「フリッカ。お前の好きにやりなさい。ただし……分かっているね?」 「……分かってるわよ。ヴィルフリーゼ家として恥ずかしくないように、でしょ?」 「ああ。それだけはしっかりと心に留めておいて欲しい。それから定期連絡も忘れないようにな。困ったことがあったらすぐ連絡するんだぞ」 「私だってあっちで頑張ってるんだから、そんなに心配しないで。ルイ姉や仲間だっているんだから」 「そうだな。ルイーザさんも、この娘の力になってやってくれ」 クラウスはルイーザ・レイシュタイン(るいーざ・れいしゅたいん)に娘のことを頼むと、2人をパラミタへと送り出したのだった。