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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

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クリスチーナ・アーヴィン(くりすちーな・あーう゛ぃん) 

整備士、またはエンジニア、パイロット。
理系のイメージがあるそのへんの仕事をしているとオカルトとは縁遠いと思われるんだよな。
先にいっとくとあたいは、超自然現象ってやつをまったく信じないほど頭が固くはないし、深夜のドックで死んでるはずのメカニックたちが機体を整備してたとか、パソコンが暴走して出所不明の図面やデータがディスプレイに映るとか、高度一万での飛行中に、とっくの昔に戦死した仲間からの通信が入るなんて話は、職場でたまに耳にしたりもする。
毎日、最新鋭のイコンをいじっていても、性能、能力の限界、想定外のトラブル等は、常に真横にある。
人間や人間のつくった機械のスペックじゃ、測定できない世界があっても不思議じゃないと思うよ。
パートナーの長谷川真琴(はせがわ・まこと)についてここまできたけど、あの天ヶ原ってのはそっちの類の存在じゃないか、って薄々、感じてたんだ。
技術力にしても、立ち振る舞いもさ。
だから、真琴にアレを見せられても、たいして驚かなかったな。
あたいは万が一、真琴に被害が及ばないように、天ヶ原をマークしてたんだけどね、やつはやっぱりというか、いつの間にやら行方をくらまして、そのうち、真琴があたいを呼びにきたんだ。大変なことになった、ってね。
あたいが行くとそこには、柚木貴瀬(ゆのき・たかせ)柚木郁(ゆのき・いく)がいた。二人も真琴と同じで天ヶ原のお友達だってさ。
「いくね、かみさまとおともだちになってぷれぜんとをもらったんだー。
みてみて。これだよ。きらきらしてる。
ひとりでこれをみてたら、かみさまがいくをよんだきがして、こっちへきたの。
そしたら、かみさまはいなくて、きせがいたんだよ」
郁は小さな子供で、かわいらしくって、さらって帰りたくなるようなやつがいてもおかしくないボクちゃんなんだが、あたいは、郁が持ってる、おもちゃとやらが気になった。
「ボク、それ、ちょっとみせてくれるかい」
「うん。いいよ。かえしてね。かみさまがこれはまだにんげんじゃつくれないめずらしいおもちゃだっていってたよ。
おねぇちゃん、どう、これ、すごいよね」
「ああ。すごすぎだよ」
青のセラミックでつくった手のひらサイズの☆型のケースの中央に、サファイアガラスをはめたまるい窓があって、中に入れてある星の様子が眺められる。
種もしかけもない掛け値なしのオカルトだね。
ケースの中は無限の広がりを感じさせる宇宙か、夜空になっていて、あまたの星が輝き、あたいの目の前を流星が横切っていった。
宇宙を、世界を封じ込めてある、とかかい。
イカれた代物だね。
「ボクはそのうちゅうのかみさまなんだよー。
かみさまが、ボクにそれをくれたときに、いくにこのうちゅうはあげる、すきにしていいよっていったんだ」
「瀬伊が言ってた新エネルギーの技術だと思うんだ。
限定した空間に、極小の世界をつくりだして、そこで生まれるエネルギーを利用する。
理論は完成したんだけど、実用は技術的、倫理的に問題があって見送られてるって話だったよ」
柚木貴瀬(ゆのき・たかせ)が教えてくれた。
郁のパートナーの貴瀬は、郁のお兄ちゃんみたいな感じの青年さ。
急に姿を消した天ヶ原を探していた真琴は、天ヶ原と貴瀬が一緒にいるのをみかけ、二人を追ううちに。
「貴瀬。あんたが第一発見者なんだね」
「そうなるよね。
信じてもらえないかもしれないけど、俺をここに案内してくれたのは、天ヶ原なんだよ。
自分の死体を俺に見せて、彼は消えちゃったんだ」
「私は、貴瀬さんと天ヶ原さんを追いかけていて、二人がこの部屋に入った後、叫び声が聞こえたんで、中へ。
声は、貴瀬さんがびっくりした時にあげたものでした。
私が中に入ると貴瀬さんがいて、天ヶ原さんが倒れてて。
貴瀬さんといた天ヶ原さんと、ここにいる天ヶ原さんは、同じ服を着ていると思います」
かわいそうに真琴は少し顔が青ざめている。
状況がコレじゃ、しかたないね。
郁と貴瀬、真琴の話をまとめると天ヶ原さんの声だったり、本人だったりに導かれてここにきた三人は、天ヶ原明の死体と遭遇したってなる。
つまり、天ヶ原は自分の死をみせるために、みんなを呼んだのかい。