空京

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戦乱の絆 第二部 第二回

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戦乱の絆 第二部 第二回
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■ヘクトルと第七龍騎士団2

姫宮 和希(ひめみや・かずき)
ガイウス・バーンハート(がいうす・ばーんはーと)
泉 椿(いずみ・つばき)
緋月・西園(ひづき・にしぞの)は、
センチネルの風林火山夜桜で、
避難・救助活動を行っていた。
これまでの活動は順調に進んでいる。
ガイウスがキマク家に根回しを行い、
大荒野の民が国家再興の重要な地位を占めることを強調するとともに、
防衛・避難や復興の協力を仰いでいたためだった。
もっとも、彼我の戦力差は圧倒的であり、今は、少しでも被害を食い止めるのが重要と思われた。

「戦争なんかやりたいやつだけがタイマンすればいいじゃねえか。
弱い者を巻き込むのは許せねえぜ」
「民のことなんか考えもしない。戦争はそういうものだわ」
椿に、緋月は言う。
怪我人を夜桜が搬送しようとしていたところ、
ヘクトル達の部隊がやってくる。
「椿、先に行け!」
「だけど、和希!」
「俺に任せろ、いいから早く!」
「ここは言うとおりにしましょう」
緋月にも促されて椿が離脱した後、和希はヘクトルを睨みつける。
「お前にも大切な物や守りたい物があるように、
俺たちにも守りたい場所や仲間がいるんだ!
誰かに命令されたからじゃなく、自分の意思でやるべき事を選ぶんだ!」
「そうとも、オレは自分の意思でここにいるのだ!」
そう叫び返すヘクトルだが、隣のシャヒーナはヘクトルに迷いがあるのがわかっていた。
(このまま戦っていては、いくらヘクトルでも危ないかもしれない……)



神楽坂 有栖(かぐらざか・ありす)
ミルフィ・ガレット(みるふぃ・がれっと)
ホワイトラビット
葦原 めい(あしわら・めい)
八薙 かりん(やなぎ・かりん)
ウサちゃんからなる、【ラビット隊】が、
ニンジンミサイルをヴァラヌス部隊に一斉射撃する。
「どこまで戦えるかわからないけど……私だって……!
此処から先は行かせませんっ!!」
「ウサギだからって、いつも狩られる立場とは限らないよ!
ウサちゃんは、大切なものを守るための牙を持ってるんだから!!」
有栖とめいは口々に叫ぶ。
「私は帝国の皆様に感謝しております。
非力な私が祖国防衛の戦いに加われるのは、
あなた方が下さった
キラーラビットのおかげですから。
……私達は、相手が誰だろうと理不尽な侵略には屈しません!」
かりんも、ヘクトルに聞こえるように言う。
「ひるむな、反撃だ!」
ヘクトルが叫び、ビームキャノンで反撃しようとするヴァラヌス部隊だが。

「はーははははははははは!」
変熊 仮面(へんくま・かめん)
にゃんくま 仮面(にゃんくま・かめん)高機動型シパーヒーが、空中から現れる。
「どうだっ! 俺様の美しいイコンは!」
肩に薔薇をあしらった撃墜マークをつけた高機動型シパーヒーが、
マントを翻して見せる。
「師匠、こんな荒野どうでもいいからタシガン守りましょ!
パラ実なんか、もともと学校廃墟なんだし」
不満顔で言うにゃんくま仮面だが。
「何を言う! 十二星華を守るのも、ロイヤルガードの務めなのだ!」
「だって師匠ホイップにあそこの大きさエノキ茸って言われたにゃーん……」
にゃんくま仮面はハッとする。
「そうか、イコンでかっこいい所見せつける気だにゃ?」
「そうだ! そして俺様の松茸がすごいということを見せつけてやるのだ!
行けい! 戦場を美しくしてやろう!」
変熊仮面は、チャフをばらまく。

地上には、パラ実イコンの【威崑四天王】こと、
ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)
クラウン ファストナハト(くらうん・ふぁすとなはと)キングクラウン
御弾 知恵子(みたま・ちえこ)
フォルテュナ・エクス(ふぉるてゅな・えくす)號弩璃暴流破
神楽月 九十九(かぐらづき・つくも)
装着型機晶姫 キングドリル(そうちゃくがたきしょうき・きんぐどりる)ギガキングドリル
ゲブー・オブイン(げぶー・おぶいん)
ホー・アー(ほー・あー)愚零吐・ゲブー・喪悲漢がおり、
変熊のチャフが展開された隙に、ヤークトヴァラヌス目指して駆けていく。

【ラビット隊】も、変熊のチャフで守られたが。
「助かりましたけど……複雑な気持ちなのはどうしてなんでしょう?」
「気にしたら負けですわ、お嬢様」
有栖にミルフィが言う。

しかし、空中の変熊はヘクトルのヤークトヴァラヌスに撃ち落とされる。
「うわあああああ!」
「師匠! これで又撃墜マークが一つ増えるにゃ?」
にゃんくま仮面の言葉に、
「撃墜マークって撃墜された回数なんだね……」
めいがツッコミを入れる。

一方、ナガンは。
「威崑四天王様だぜェー! おらおら、足元をよく見てろよ!」
体格差のあるパラ実イコンで突っ込んでいく。
「あたいの目の黒いうちは、この大荒野を余所者の好きにはさせやしないよ!」
知恵子も、離偉漸屠キャノンで背中の砲塔を狙いながら言う。
「なんだかわかりませんが、怪獣みたいなイコンが攻めてきているので!
ドリルの力をお見せしましょう!」
「ぶるぁぁぁぁぁぁ!!」
九十九がギガキングドリルを動かすたびに、
キングドリルは叫んでいる。
「がははっ!
最新作のエッチ本持ってきてやったぜぇ!」
ゲブーも、エッチな巨大同人誌をまたもや振り回して叫ぶ。
ナガン達は、攻撃の際は、
機体そのものの破壊ではなく、脚や砲台を破壊することを目指す。
また、小さなパラ実イコンで足元を走り回って、
ヴァラヌスの同士討ちを狙う作戦であった。
ヴァラヌスとパラ実イコンはかなりの体格差があるが、
逆に体格差がありすぎて混戦したら同士撃ちが起こるはずと、ナガン達は予想していた。

変熊仮面のチャフのおかげで、ヤークトヴァラヌスに接近した【威崑四天王】は、
暴れまわって攪乱を行う。
【ラビット隊】も、それを支援する。

「ヘクトル隊長! パラ実生め!」
「見た目に惑わされるな! 奴らは危険だぞ!」
頭から手足が生えている【威崑四天王】は、強そうには見えないが、
第七龍騎士団の団員たちは警戒しているようだった。
なぜならば、エリュシオンの龍騎士団は、
幾度もパラ実生に敗北している。
七龍騎士のケクロプススヴァトスラフセリヌンティウスは、いずれもパラ実生が倒したのだ。
さらには、イリアスが離反するなど、
エリュシオンの龍騎士団は、パラ実生を宿敵とみなしている。

そこへ、さらに、
大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)
讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)フォイエルスパーが飛来する。
「よーおヘクトル!
戦いたないモンや、
そもそも戦われへんモンまで巻き込むような戦い方が、
御宅さま帝国様サマはんの流儀か〜?
こらまたえらい優美で雅やか、洗練された戦争でござりまするなぁ?」
泰輔は、ヘクトルを挑発する。
「が、オレには気に入らん。一遍いね!
おドれ自身のどタマでもっペン考えて出直し来くされ、
アホ、バカ、ボケ、カス、ラッパ、すこたん、あんけらそ!!」
今、まさに、キマクが落とされそうになっていることも、
泰輔の怒りを増していたが、
先に相手の冷静さを失わせようという作戦だった。
顕仁は、冷徹に、イコンの操縦を行う。
さらに、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)深き森に棲むものが、
マジックカノンで畳み掛ける。
カレンは、
脚部の関節や武装を破壊してヘクトルのヤークトヴァラヌスを無力化する事ができれば、
第七騎士団の士気も一気に下がるはずだと考えていた。
(ヘクトルにも思う所があるのは承知してるけど、
彼が大帝に従う限り戦闘において手加減はしないよ)
(できればヘクトルがこの戦いに迷いを感じて、少しでも隙を見せてくれると有難いのだが)
カレンとジュレールはそれぞれそう思う。
「くっ、オレは……!」
【ラビット隊】、【威崑四天王】に畳み掛けられたこと、
さらには、迷っていたために、
普段は決して動じないような泰輔の言葉でもヘクトルは多少の隙を見せてしまう。
その隙に、知恵子やカレンの攻撃で、ヤークトヴァラヌスのキャノンは破壊されてしまう。