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リアクション
書庫の奥の方。
「んー……むぅ……ん?」
絵本を手に持ち、ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)が首を傾げる。
「何素っ頓狂な声を出してるんだ、ヴェルリア」
その様子を見ていた柊 真司(ひいらぎ・しんじ)が訝しげな目で見る。
「素っ頓狂とはなんですか。この絵本を【サイコメトリ】で見ていたんですよ」
頬を膨らませ、ヴェルリアが真司に抗議するように言う。第三世界を訪れた彼らは、そこに纏わる何かがないかと書物を探していたのだが、
「で、結果は?」
「ごちゃごちゃしてわかりませんでした……そ、そういう真司はどうなんですか?」
「芳しくない」
そう言うと、真司は読んでいた本を閉じる。
「第三世界について何か分かれば良かったのだがな……そっちはどうだ?」
「ふむ、なかなか面白いと思うよ」
『おとぎばなし』の原本に目を通しながら、如月 正悟(きさらぎ・しょうご)が答える。
「だが、第三世界については特にわからないかな」
「そうか……その本、次見せてもらっていいか?」
「構わないが、どうする?」
「一応【サイコメトリ】をかけておこうと思ってな」
正吾から差し出された本を受け取りつつ、真司が言う。そして本に【サイコメトリ】をかける。
「うーん……絵本はいっぱいありますけど……ロボットなどに関連する本はあるのでしょうか……?」
ヴェルリアが本棚を眺めていた時だった。
「皆様、お疲れ様です」
「ああ、海君にドロシーさん。『おとぎばなし』、中々面白く読ませてもらいました」
「そう言ってもらえると嬉しいですね」
正吾の言葉に、ドロシーが嬉しそうに微笑む。
「色々と参考にもなりましたしね……ところで、何か用かい?」
「ええ、お茶にするそうなのでよろしければそろそろ休憩してはいかがかと思いまして」
「お茶? ……真司、行っていいですか?」
ヴェルリアがおずおずと真司を見る。
「構わないぞ、俺も後から行く」
真司が言うと、ヴェルリアの顔が嬉しそうにほころんだ。
「皆様もどうですか?」
「ああ、俺はちょっと海君に話したいことがあるから後から行くよ」
「そうですか、それでは失礼します」
ドロシーが頭を下げて、去った後海が口を開いた。
「何か、わかりましたか?」
「わかった、というか、気になることがあってね」
「気になること?」
正吾が頷く。
「まあ感想に近いんだがね、『おとぎばなし』を読んでみたが……どうも主観が入りすぎている印象が見られるかな」
「主観が、ですか?」
「うん。まあおとぎ話だからあやふやな表現が多いのはわかるが、過去の話を元にしてるならばここまで主観は入らないと思うんだ」
「その話、俺も混ぜてもらおうか」
手に『おとぎばなし』の原本を持った真司が言った。
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