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リアクション
――話は昼間の書庫に遡る。
「何か気になるものでも見えたのかい?」
如月 正悟(きさらぎ・しょうご)の言葉に、柊 真司(ひいらぎ・しんじ)が頷く。
「見えた、というと?」
「ああ、この本を【サイコメトリ】で見てみたんだが……」
そう言って真司が海に『おとぎばなし』の原本を見せる。
「何が見えたんですか?」
「……ドロシーだ」
「ドロシーが? そりゃ、書いたのはドロシーだからじゃ……」
「……なるほど、少しおかしい話だな」
正吾が顎に手を当て、考える。
「おかしい、というと?」
「考えてもみてくれ。その『おとぎばなし』は村に伝えられている話のはずだ。となると、ドロシーはその本を『読んだ』のはわかるが、『書いた』となるとちょっとおかしなことになる。『大いなるもの』が居た頃から生きていなくちゃならないからな」
正吾に言われ、海がはっとした表情になる。
「他にどんな物が見えた?」
「ああ……その本を抱えたドロシーが独り言を言っていた。確か……『あれから、一体どのくらいたったのでしょうか』だった」
「あれから……まぁ普通に考えると、その『大いなるもの』との戦いのことだろうな。なるほど……この本を読んで、どうも誰かが以前あったことを思い出しながら書いているように思えたんだが……そうなると辻褄が合うかな」
真司と正吾の言葉に、海は少し考えて口を開く。
「……ドロシーは、『大いなるもの』との戦いの頃から生きている?」
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