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激闘、パラ実式殺禍(サッカー)!

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激闘、パラ実式殺禍(サッカー)!

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■□■2■□■ 極悪審判! 試合前の恐怖のボディーチェック!

試合開始前。

泥悶のグラウンド……といっても、パラ実なので、大荒野のど真ん中なわけだが……には、
王を慕って、味方する者たちが集まってきていた。

「これで、傾国の奴らをぶっ潰すことができるぜ!」
息巻く王に、珠代がせせら笑う。
「そんなの、静岡のサッカーには通用しないわ!」
好物のクジラ肉のジャーキーをかみしめて、
珠代が余裕の発言をする。
静岡出身の珠代は、子どものころからサッカーを観戦してきている。
なので、サッカーに対してはとても目が肥えているのだ。
「あなたたちが傾国に敗れるところを、
しっかりと記録させてもらうわ!」
ハンディビデオカメラを構えて、珠代は試合開始前から勝利宣言をし、去って行った。

「あの女! 絶対に勝ってやろうぜっ!!」
王が、味方を見回して言う。

★☆★

そうしていると、
審判のユニフォーム姿に、下半身はパンツと靴下と靴だけという、
フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)が現れた。
「な、なんだてめえは!? 変態か!?」
「失礼な。僕は審判だよ。
それに、これはパンツだけど、
この場合のパンツはズボンという意味で、
下着のパンツじゃないから恥ずかしくないんだ。
これから、出場前の選手のボディーチェックをさせてもらうからね」
そう宣言して、フィーアは、
グラウンドに並んだ泥悶と傾国、両チームの選手の身体をベタベタさわり始めた。

そうしていると、両チームから引っ掛かるものが出てくる。
「図書カード!」
レッドカードならぬ図書カードを渡されたのは、
泥悶のカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)と、
傾国の斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)であった。

「な!? ボクは変なモノ持ち込んでないよ!」
そう言うカレンだが、
実際には、
パートナーのジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)を封印の魔石に詰めて、
試合中に呼び出して、敵を攪乱させようとしていたのだ。
「ハツネも、泥悶をブッ壊すために、
暗器を持って来たりしているだけなの。
ルールでは、特に武器の持ち込みは禁止されていないの」
斎藤 ハツネ(さいとう・はつね)も、
袖箭を取り上げられて、不服そうにする。

「そんな風に、図書カードをもらってもお礼の挨拶ができない奴は!」

フィーアが、フラワシを呼び出す。

「モールモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモルモル

グーテンモルゲン!!(おはようございます)」
「うぎゃああああああああああ」
「きゃああああああああなの」

「裁くのは……僕のフラワシだ!」
カレンとハツネは、フィーアのフラワシにぶっ飛ばされる。

それを見ていた、
実況担当のろくりんくんのゆる族、
キャンディス・ブルーバーグ(きゃんでぃす・ぶるーばーぐ)が、
解説者たちに問う。
なお、キャンディスのパートナーの茅ヶ崎 清音(ちがさき・きよね)は、
当然、こんな野蛮な場所には来ず、百合園女学院でお留守番である。
「今、起きてる現象はどういうことナノ?
見えない力で、第80次性徴を迎えている契約者と、
パラ実屈指の殺し屋がぶっ飛ばされたように見えたんだケド」
財団法人パラミタオリンピック委員会としては、
今後、選手が使うであろうフラワシについても考えていかないといけないワネ〜。
そう、キャンディスはぼそりとつぶやく。
「あれは、プラズマです!」
解説のクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)が、断言する。
「人が吹っ飛んだのも、ボールが不規則に動くのも、
ポストが赤いのも、みーんなプラズマのせいです」
「そんなわけないですのー!」
クロセルのパートナーの魔鎧 リトルスノー(まがい・りとるすのー)が、
パートナーのペテン発言に突っ込む。
「今の様子を、ワタシが図にして解説しますの!
カレンさんとハツネさんは、
フィーアさんのフラワシに殴られてぶっ飛ばされたんですの!」
リトルスノーが、
ホワイトボードに、描画のフラワシで絵を描いて見せる。
「何を言うのです!
フラワシなど存在しませんよ。
コンジュラー経験者の俺が言うのですから間違いありません。
いいですか?
コンジュラーには2種類あるのです。
存在しないモノが見えちゃう電波な人と、
存在しないモノを存在するかのように語る言葉の魔術師です」
クロセルが、人差し指を立てて言う。
「勿論、俺は後者のコンジュラーと書いて、
『頭に“ぺ”が付く類の天使(=ペテン師)』と読む方でした。
つまり、審判や傾国学院が使う謎の攻撃は
全てトリックやプラズマの仕業なのです!」
「いや、普通にフラワシでしょ?」
ごく普通のサムライガンナー、
東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)は、普通にコメントする。
「いーえ、プラズマですッ!
俺の言うことが信じられないんですか!?
天使は嘘つきませんよ!
ホラを吹くだけです!」
「えーと、クロセルさん、そんなこといっても……」
秋日子は普通なため、普通に困る。

そうしていると。
「少し出番が早まったが、しかたあるまい。
我の攻撃を喰らうがいい!」
「って、ポケットに入ってるモンスターか何かか!?」
「身もふたもないことを言うなー!」
「イフリートウォール改!」
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
封印の魔石から、ジュレールが飛び出して、
さらに、カレンが炎の聖霊を呼び出し、
シュートの要領でフィーアをぶっ飛ばした。

「まったく、我を黄色いネズミか何かと一緒にするなどと……」
「そうだよね。どちらかというとジュレは、
カプセルに入ってる怪獣とかそっち系だよね?」
「って、10代の子がわからんネタを言うな。
だいたい、カレン、なぜそんなことを知ってるのだ!?」
「だって、今はネットで動画も見れるし、DVDもあるんだよ?」
「ううむ。いい時代になったものだ」

「今のあれはなにカシラ?」
「プラズマです!」
クロセルは、キャンディスになおも言い募る。
「そんなわけないですのー!
いいかげんにしなさいですの!」
リトルスノーが、
僥倖のフラワシに、輪ゴムピストルを撃たせる。
「ぐああああっ、俺の仮面が!?」
その衝撃で、クロセルの仮面が落ちてしまった。
「アレ?
クロセルの姿が見えなくなってしまったワー」
「本当だ。なんだかオタオタしてる普通のおにいさんがいるけど、
クロセルさんがいきなりいなくなっちゃったね」
キャンディスと秋日子が、口々に言う。

「って、俺は仮面だけで認識されてるんですかー!?」
かくして、クロセルは空気扱いとなり、発言権を失うのだった。

「じゃあ、秋日子、引き続いて解説をお願いするワネ」
「了解だよ!」
キャンディスと秋日子が、何事もなかったかのように進行する。
「さあ、面白くなってきました。
審判不在のまま、試合はいったいどうなるのでしょうか?」
秋日子が、普通に解説する。
「フラワシ使いなのに、思ってたよりずいぶんと普通だワ」
「うん、私普通だから。
実況するためだけに、半日かけてコンジュラーになったんだ」
キャンディスに、秋日子がしれっと言う。
「ソレって……」
「普通だよね?」