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蒼空ヒーロー大戦・歌姫アイドルRimix☆

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蒼空ヒーロー大戦・歌姫アイドルRimix☆

リアクション

 
~  段取り3・ステージ組んで日は暮れて…… ~
 
 
強引さと責任というやや不本意な理由ながら、色々己が学園の中心で動き回る二人
桜井 静香(さくらい・しずか)雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)が進行の中心を担当する事になってから後は
予想以上に迅速に話が進み、前回のわずか半分の時間で段取りや予算組み、出演者の稽古スケジュールや稽古場確保も決定
晴れて翌日から設営準備の運びとなった
 
細かく理由を述べるとすれば
静香のサポートであるラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)がこういう事態を見越して、資材や小道具だけでなく
照明や音響をまるっと一式保管しておいた事もあるし
会場警備やステージ裏方を担当する中心人物に大きな変更がなく、必要な打ち合わせの必要が無かった事
加えて、敷地の確保が前と同じところを確保できたという理由が挙げられる

……最も、敷地に関してはこの話が決まる数日前から百合園女学院の名前で確保されていた事が判明し
雅羅にいたっては、ラズィーヤの先見に舌を巻いた程である
(まぁ、彼女の場合……上手く市井の意見を誘導し、住民からイベントの要請を言わせるようにしてもおかしくは無いのだが)
 
 
というわけで設営に関しても、会議後すぐにステージまわり担当の新谷 衛(しんたに・まもる)が資材のチェックを早々に済ませ
次の日から早速設営に取り掛かったのである
 
 「……それにしても、迅速でありながらもほのぼのした光景よね」

設営工事による廃材を片付けながら桜月 綾乃(さくらづき・あやの)が呟く先には
インパクトドライバー片手に腰袋を提げた【ペンギンアヴァターラヘルム】や【ミャンルー】達が動き回っている
その中心で指示を出している衛がその独り言を聞きつけ、屈託の無い笑みで胸を張る
 
 「当然!設営だって一種のパフォーマンスだからな!
  かわいらしくも迅速に機能的に一つのものを作り上げるってな、楽しいもんだぜ?」
 「それに夢中になって装置の設置をミスるなよ……と、お前の上司からの伝言があるんだけどな」
 
緒方 章(おがた・あきら)と共にステージの構造を確認していたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)がやんわりと言うが
一方の衛はというと、その言葉にちっちっち……と人差し指を振りながらニヤリと笑って返答する
 
 「いっち~の言葉だろ?おお~っけぇ、オレ様舞台装置監督として頑張っちゃうぜ~!
  おういえ!どんな舞台装置も任せやがれってんだい!」
 「……何かいつも以上に気合が入ってないか?」
 
使いのペンギンとネコ(?)と共におー!とやる気の雄たけびを上げる彼
そんな光景に、思わずダリルは隣の彼と縁深い章に質問をするが……彼の方は、いつもの見慣れた光景の様子
変わらずタブレット端末に浮かぶ仮の進行表に目を通しながら誰に言うでもなく返答をする
 
 「いやいや、こういうのはお約束でしょ?愛の為せる力って奴だね、どう思う氷狩君?」
 「答えるのも野暮ってもんじゃろ?
  さっきも『ジナが動きやすい舞台装置にしなくっちゃな~!』って雄たけび挙げてたからのう」
 「君の口調で聞くと、しみじみ若さについて考えさせられるよ」
 
照明の設置と調整に所狭しと駆け回って奔走している氷狩 るう太(ひかり・るうた)の返答にニッコリ返答する章
想ったり想われたりと賑やかな面々に、ふとダリルは目の前の人物の相方の事を思い出す
 
 「そういえば、樹はどうしたんだ?すでに仮のプランは提出してるから設営には問題ないが
  あの仕事熱心がいないというのも不思議な感じだな」
 「いや、相変わらず仕事してるよ。お~いそこの小さい広報担当く~ん」
 
さらりと章が返答し、遠くで客席に向って紙の束を積んだ台車を押しているちび あさにゃん(ちび・あさにゃん)を呼び止める
てこてことやってきた彼女にダリルが再び質問すると、あさにゃんらしく『にゃー』と開口一番
束から一枚抜いたものを彼に手渡し、その裏に文字を書きながら彼に返答する
 
 『樹なら、会場周辺でこのビラ巻くのやってくれてるよ、ボクといっしょに広報担当だからね』
 「そうか、そんな話にもなっていたな……まぁ進行不備は聞いてなかったから心配は無いが……出来るもんだな」
 
台車の紙束を見ながらダリルがしみじみと感想を漏らす、広報というと饒舌な話術が必要と思うが
目の前の少女は猫語しか喋れないはず、よくあの樹とコミュニケーションが……と思う思考は、すでに読めれていたらしい
えっへんと胸を張って彼女が引き続き、チラシであった紙の裏に文字を書く
 
 『折角ヒーローショーをやるんだから宣伝はしておかないとね
  【タブレット型端末KANNA】と【宣伝広告、根回し、博識、貴賓への対応】を駆使すればカンタンだよ』
 「まぁ、今はインターネット媒体の宣伝手段も多いけどね。じゃぁこっそり様子でも……」
 「にゃっ!?にゃにゃにゃにゃ~っ!」
 
楽しげに説明をしていた彼女だが、章の言葉に突然びくりと反応し、筆談そっちのけで猛然と反対するあさにゃん
その様子にちょっぴり湧いた好奇心で、話を掘り下げようとした章だが
何となく作業をしながら様子を聞いていた衛が遠くから口を挟んできた
 
 「やめとけってあっきー、覚悟を決めた軍人の情けだ……すべて知るのは作業が終わってからでもいいと思うぜ」
 「覚悟……あ~、うん……覚悟ね、了解」
 
一体何の事やらと一瞬首を傾げた章だが、すぐに思い当たる言葉を思い出して納得する
チラシ配りには確か、それなりのコスプレをする事になっている……気がつけばあさにゃんの服も魔法少女っぽい
樹が同様のものが似合うとは思えないことを考えると……役どころとしては逆といったところか
 
 (それはそれで見たいけど……ま、誰かが撮っていてくれてるだろうから後のお楽しみにしときますか)
 
好奇心を胸に収め、あさにゃんを笑顔で送り出す心優しく腹がちょっと黒い伴侶様なのだった
 
 
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 「……ということは、ニャンコがまたヒーローで出るんだね。
  こないだのショーも楽しかったし、また盛り上がるといいねー
  あ、私? 私は売り子と握手会のお手伝いをやってるから
  各ヒーローグッズにくわえて色紙やなんかも多めに用意しといてるから、バッチリがんばってね~」
 
大量に届いた販促資材目の前に
一つずつ仕分けしてチェックしている榊 朝斗(さかき・あさと)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)の二人は
目の前で通信をしている霧島 春美(きりしま・はるみ)の会話を作業をしながら聞いていた
相手がおそらく超 娘子(うるとら・にゃんこ)なのは時々聞いてる会話から明白である

 「あれ?そういえば、うた歌えたっけ?え? にゃにゃにゃにゃにゃー♪ なら右に出るものなし?
  ……ほんとなのそれ?っていうか、にゃにゃにゃにゃにゃー♪ だけでいいの? 歌?
  ほんと?みんなの足だけはひっぱんないでよー……じゃあ頑張ってね~!
  ……………………………………?何、二人とも」
 
通信を切断し、ずっと自分の様子を伺っていた朝斗とコハクの方に目をむける春美

 「いや、何か前の時とデジャビュっただけだよ。この前の時も気合入れて準備していたじゃない?」
 「こういうショーは、ほんと大事でしょ……子供のじょ……情状じゃなくて、えっと~」
 「情操教育?」
 「そうそれ!こういうのを通じて、あるべき大人の見本を示してあげたいじゃない?
  そういうコハクは今回は会場警備?写真販売だって人気あったのに勿体無い」
 「重要性と変化の問題だよ、内容も変われば客層も変わるしね、噂じゃ、娘の親の方が色々大変って言う話しだし……」
 「彼方らしい判断ね。ま、でも変わらないのは私だけじゃないから、ほら」
 
春美の言葉に促されて販売ブースを見れば、フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)が食材を抱えて奔走しているのが見える
もっとも、今回そっちは初参加のレナ・メタファンタジア(れな・めたふぁんたじあ)が中心なのだが
前回経験してるフレンディスの方が熱心に色々を確認して動き回っている辺り、勤勉で謙虚な彼女らしい
 
そんな様子をしみじみ二人で眺めていたら
退出の誘導経路の表を片手に杜守 三月(ともり・みつき)結崎 綾耶(ゆうざき・あや)がコハクの所にやってきた
 
 「コハク、ちょっと確認
  退出時の経路なんだけど、握手会とサイン販売の同時進行もあわせてこんな導線で考えたんだけど……」
 「サイン販売の場所がちょっと問題になりまして、やっぱり握手と隣接した方がいいという事になったんですけど
  三月さんは握手の前の方が色紙を持って楽しく握手できると思うって話になって……」
 「どれどれ、サインは事前にしたものを売るんだっけ?」
 「ああ、だからこそサインを手にして相手と接するのが一番楽しいかなって思ってさ
  けど一方じゃ色紙販売で列が止まってしまうんじゃないかって意見もあって、判断がね」
 
困ったように笑いながら説明する三月の言葉を聞きながら、む~とコハクも図面をみながら思案に暮れる
そこに背後から新たな声が聞こえてきた……アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)である
 
 「要はサイン色紙の種類の数だと思いますわ
  数が多ければそれだけ迷いますし、その分流れが止まりますから……結果握手と列が別になってしまうと思います
  売り上げに差が無いのであれば、二つをハッキリ切り離して握手後のお客さんが時間を持って選べる場所がいいと思います
  前のコハクさんの写真販売の時だって、結構混乱していましたでしょう?」
 「良く覚えてるねぇ……あの時の事はとにかく必死だった記憶しかないや」
 「いえいえ、わたくしも大体の記憶しかありません」
 「でも、曖昧でも残った印象が全てなのは確かですから。三月さん、ここはやっぱり場所を別にしましょう」
 「……わかった、じゃあもう一度導線を考えた後、スタッフ配置を考えよう、コハクもいいかな?」
 
三月に促され、3人と共にコハクも客席脇の警備本部テントに移動するのを見ながら、春美は改めて設営が進む会場を見渡す
どうやらステージの方も順調のようで
の大声の呼び出しに、こちらも大声で返事をしながら奔走する大谷地 康之(おおやち・やすゆき)の姿も見える
 
 「あとは、あのステージに立つ人達の方ね……頑張ってもらわないと、よっし!」
 
自分を鼓舞する言葉と共に、春美も自分の作業を再会するのだった