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二〇二一年三月某日。
エリュシオンの宣戦布告により始まった、シャンバラとエリュシオンの戦争は、第二段階へと移行していた。
ヴァイシャリー占領を阻止されたエリュシオン軍は、保有する龍騎士団を総動員させ、多面攻勢を仕掛ける。
タシガン、キマク、ツァンダ、そして……イナテミス。
少ないもので数千、多いもので万を超える兵数を有する龍騎士団が、それぞれの都市を目指して進軍を開始する。
イナテミスに差し向けられたのは、アメイア・アマイアが率いる第五龍騎士団。
竜兵と歩兵、それらに食料武器を補給する輜重兵を加えた、砲兵や機動兵器を持たない(ドラゴンやワイバーンを機動兵器に含めるか否かは両論あるが、ここでは機械仕掛けのモノを指す)言ってしまえば前近代的な編成ではあるが、兵士一人一人の練度は高く、集まっての密集戦も、散開しての個人戦もこなすことが出来る、エリュシオンが誇りにしてきた軍集団である。
彼らは、イナテミス北部に橋頭堡を築くと、竜兵を偵察に飛ばせ、目標とする『ウィール支城』および『雪だるま王国の情報を仕入れていった。
ウィール支城は、周囲に遮るものが少ない(背面をイルミンスールの森が覆ってる以外は、開けている)ことから、大兵力の展開に適していること。
雪だるま王国は、片方が海岸に面していること、周囲に決して溶けない雪が積もっていることから、大兵力を展開しにくいこと。
これらの情報から、アメイアは部下たちに方針として、
『ウィール支城にドラゴンライダー部隊を投入、制空権を確保した後、歩兵部隊を進ませ支城の占領を目論む。
雪だるま王国へは、ウィール遺跡への増援を送られない程度の歩兵部隊を差し向ける』
を伝え、それらは下々の者たちによって実際の行動計画として練り上げられる。
そしていよいよ、歩兵部隊の第一波(兵数六〇〇)が、雪だるま王国へ向けて進軍を開始する。
目的を果たすため歩き出した兵士の背後には、手綱を付けられたドラゴンやワイバーンが、龍騎士や従龍騎士に付き添われて浮遊要塞から降ろされ、異国の地の空気を吸い、咆哮をあげる。
その先にそびえるイナテミスの『盾』、ウィール支城を彼らは明日早朝発ち、吐き出す炎で包み込み、手にした大型の槍で貫かんとしていた――。
『イナテミス防衛戦〜颯爽の支城、氷雪の要塞』
1ページ:プロローグ
2ページ〜6ページ:戦闘前夜の様子
7ページ〜13ページ:イナテミス防衛戦・前半戦
14ページ〜22ページ:イナテミス防衛戦・後半戦
23ページ:エピローグ
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