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【ザナドゥ魔戦記】ロンウェルの嵐

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【ザナドゥ魔戦記】ロンウェルの嵐

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第12章 決  戦(4)

 彼らの攻撃は、たしかに成功していた。一定の成果も挙げていた。しかしこれは部分的な奇襲にすぎない。コントラクターからの攻撃に慣れていない魔族兵のとまどいを突いたからだ。しょせん相手は人間と、たかをくくっていた者たちが、思いがけない所から想定外の攻撃を受けてとっさに対処できずにいただけのこと。彼らの動きに慣れればやがては立て直される。ロノウェもこのままにはしておかないだろう。
(その前に、できる限り強敵は排除しておかなくてはなりません)
 ルース・マキャフリー(るーす・まきゃふりー)はそう考えていた。
 そしてそれは、セテカも同じだったのだろう。第二陣投入の鏑矢の音を背中で聞いて、ルースは手綱を持つ手を引いた。
「出ます。ついて来てください」
 背後の重騎馬兵たちに声がけし、馬を駆って最も激戦地となっている鏃の先端へと向かう。そこでは先陣を務めた御凪隊と宵一たちが、今もまだ果敢に戦っていた。
 だが、いまやまともに成果を挙げているのはコントラクターである彼らだけだ。負傷し、最前線を退いた兵がほとんどで、残っている者はわずか数名にすぎない。どう見ても手が足りていなかった。崩すのはおろか、押し切られそうになるのをなんとか防いでいる状態だ。
 ルースはフルスピードで走る馬上でレーヴェンアウゲン・イェーガーをかまえ、今しも少女に襲いかからんとしていた魔族兵の眉間を撃ち抜いた。
 少女は銃声が聞こえてくると同時に血を吹いて倒れた魔族兵を見て、ぱちぱちとまばたきをしてから、ルースの方を振り向く。
「ルースさん」
 魔族兵の飛び出してきた方角にファイアストームを放ってから、真人もまた彼の方を向いた。
「オレの隊が代わります。疲弊した兵を下がらせてください」
「分かりました。――白」
「え?」
 白と呼ばれた先ほどの少女が真人を見る。
「彼らを後方へ連れて戻ってください」
 その指示に、白は不満を感じているようだった。自分はまだ戦えると言いたいのだろう。けれどこの隊の隊長は真人だ。言いあいをする余裕もない。
「分かったのじゃ」
 白は馬首を巡らせ、重騎馬兵たちとともに走り去る。
 きっと戦線へ復帰するころには、彼女もいくらか回復しているだろう。真人はそう見当をつけていた。
「きみたちは?」
「私はまだまだ大丈夫よ!」
 その証拠とばかりにゴッドスピードを発動させたセルファは面前の敵すべてに乱撃ソニックブレードを撃ち込む。たしかにその技は彼女の言うとおり疲労に鈍ってはいなかった。
「俺もまだやれます」
「俺もだ」
 真人と宵一が答える。
「そうですか。ではわれわれで一気に岩をはがしてやりましょう」
 ルースは内部へ斬り込み、こちらと合流しようとしている妻・ナナを見つめて言った。



「てやあああっ!!」
 裂帛の声とともにセルファの手でレーザーナギナタが振り切られた。
 光の一閃。
 刃と化した光輝の輝きがゴーレム型魔族兵の胸元に走る。よろめいたところをさらに宵一が横なぎになぎ払い、蹴りを入れた。バランスを崩したゴーレム型魔族兵は後方の魔族兵もろとも仰向けに倒れる。周囲の魔族兵が魔弾をいっせいに放ち、人間たちをけん制している隙にすぐに別のゴーレム型魔族兵が穴を埋めようとする――ここまでは先までと同じだ。
 だが無数の魔弾を、護国の聖域をまとった重騎馬兵がわが身を盾とし、防御した。
 次々と被弾し、倒れていく兵たちの後ろで、真人が禁じられた言葉の詠唱を完了させる。
「どいてください!」
 真人の言葉を合図に、重騎馬兵たちが道を開く。
「……はああっ!!」
 真人はその身に満ちた魔法力をもって最大火力のファイアストームを練り上げ、魔族兵にぶつけた。
 炎に巻かれた魔族兵の後ろ、中衛から魔力の塊を放っていたゴーレム型魔族兵が彼らに向けて魔力の塊を撃とうとする。しかしその魔力が手を離れる前に、ルースの銃弾が阻止した。
 続けざま、その周囲のゴーレム型魔族兵も撃つ。
「いまです!」
 ルースの言葉を受け、セルファはライド・オブ・ヴァルキリーを発動させる。そして閉じかけたゴーレム型魔族兵の間に突っ込み、すり抜けると内側からその背に向かい乱撃ソニックブレードを繰り出した。
 その隙に真人の命のうねりで回復を果たした重騎馬兵が、剣と盾を持って突進する。左右の兵が盾を用いて閉じるのを防ぎ、中央の兵が宵一とともに内部へ突入し、ナナたちの長槍歩兵たちと合流を果たすため一点突破を図った。
 やがて彼らはみごと合流を果たし、一気に内側からゴーレム型魔族兵を攻撃する。
 彼らの攻撃を受け、あわてて振り返ったゴーレム型魔族兵が後方へ退く姿は、まるで岸壁から岩がはがれ落ちる様子に似ていた。
 それを見て、開戦以来じっと無言で戦線を見守っていた志方 綾乃(しかた・あやの)がついに動きだす。
 彼女は振り返り、そこに勢ぞろいした重騎馬兵たちを順に見た。
「東カナン軍の皆さん! これはだれの目にも正当な報復です! 都を焼かれ、民を無残にも殺されたあなたたちの胸に燃える怒りは正義の炎にほかならない! その心のままに剣をふるおうとも、だれに咎められるいわれもない! あなた方をだましながらおろかと嘲った卑劣な魔族に、今こそその報いを受けさせるのです!!」
 綾乃ののどからクライ・ハヴォックがほとばしった。
 その雄叫びを受けて、志方隊が戦場になだれを打つ。
 先頭を行くはラグナ・レギンレイヴ(らぐな・れぎんれいぶ)。そのすぐ横を、綾乃の横から飛び出していったヘルハウンドたちが併走する。まさに地獄の猛犬にふさわしい咆哮をあげながら、競い合うように徐々にスピードを上げたヘルハウンドの群れはルースたちが開いた突破口から飛び込み、魔族兵に食らいついた。
「う、わああああっ!!」
 1人に対し多頭で襲いかかるヘルハウンドは、巨大な牙で一度噛みついたが最後、肉を引きちぎるまで離れない。
「くそっ! くそっ!!」
 振り払ってもすぐさまとびかかってくる犬たちに、魔族兵たちはうずくまり、やがて動かなくなった。あとは唸りながらガツガツと骨を噛み砕き肉ごと咀嚼する音が聞こえるのみだ。
 それを足下に見て、ラグナは歓声を上げ、喜びに身を震わせた。
「てめェらにふさわしい末路だぜ!」
 そして、仲間がむさぼり食われている光景に息を飲み、しびれたように動けなくなっている魔族兵を見てニヤリと嗤う。
「そうか、動きたくないのか。じゃあ俺が動かなくていいようにしてやる」
 しびれ粉をたたきつけるようにして撒く。馬から下り、バーストダッシュで距離を詰めたラグナはヴァルキリーの脚刀で彼らの腹部を切り裂くやいなや、爆炎波でもって彼らを燃やした。おそらく腹部を切り裂かれた時点で彼らは息絶えていたのだろう、炎を受けても苦痛に転がることもなく、その場で両ひざをつき、崩折れただけだった。
 だがラグナにはそんなこと関係ない。
「アーーーッハッハッハ!! 枯れ木並によく燃えるやつらだな!」
 腹を抱えて笑うラグナに、袁紹 本初(えんしょう・ほんしょ)が追いついた。
「ラグナ」
「おう、本初。これ、すっげー気持ちいいぜ。これから毎日燃やしてやろうかな?」
「そういうもんかの」
 本初はいまいち理解できなさそうに首をひねると、そのまま通りすぎて行った。ラグナの代わりに重騎馬兵たちの先頭に立ち、ヘルハウンドたちの餌場を飛び越えて魔族兵を射程距離に捉えるやポイズンアローを連射する。その脇で。
「はいはーーーい。重火器による火力制圧は私に任せてくださいー」
 かわいい少女の声で高性能 こたつ(こうせいのう・こたつ)が、魔弾で対抗しようとする魔族兵たちに向かってパッとこたつ布団をめくり上げた。その下からは、かわいい声と外見からは想像もできない鋼鉄の武器レーザーガトリングの砲口が2門現れる。狼狽している魔族兵に、こたつは左右に体を振りながら容赦なくクロスファイアを見舞った。
「えーいっ。奮発して、これもおまけにつけちゃいますー」
 と、六連ミサイルポッドからミサイルが射出される。
 ここにきてロノウェも、もはやこれだけ侵入されてはゴーレム型魔族兵で壁を築くのは無理と判断したか。人型の魔族兵が一気に散った。ミサイルはほとんどが地面を砕いたのみに終わる。
 混戦だ。
「ふん。ちょうどいいのじゃ。これで魔力の塊はそうそう撃てなくなるからの」
 本初はしたり顔でそう言うと、まるでインパラの群れのように走り来る魔族兵にセフィロトボウを放った。


*          *          *


 ぶつかり合う2つの大軍。
 波状となって飛来するいくつもの魔力の塊が地を揺るがし、穴を穿つ。それに巻き込まれた者は人も馬も関係なく、上空高く舞い上げられ、地にたたきつけられた。
 魔弾は強力な銃弾を思わせた。直線に飛び、被弾したものを後方へ吹き飛ばす。貫かれれば命が危うい。
 しかしだれもひるんだりしない。たとえ前を行く者が撃ち抜かれて落馬し、たとえ隣の者が吹き飛んだとしても。彼らは口々に雄叫を上げ、剣を抜き、最前線へと飛び込んでいく。
 互いを突き崩そうとする剣げき音と、それをはるかに上回る怒号が満ち満ちた平野を後衛から見て、天禰 薫(あまね・かおる)はぽつり言った。
「………本当は、我、こうなる前に魔族さんたちと、お話ししたかった」
「天禰?」
 隣でやはり戦況を伺っていた熊楠 孝高(くまぐす・よしたか)が眉をひそめる。聞き違いだろうか。確信がない。
 あやしむ孝高の前、薫は孝高を見上げて、今度ははっきりと口を開く。
「ロノウェさん、だっけ。ここにいるの。彼女と、お話しをしたいなって思ってたの」
「何故?」
 孝高は本気で首をひねる。
 用いた言葉の意味は分かるが、なぜそんなことを言いだしたのか、薫の本意が掴めなかった。
 薫は一度もロノウェと会うことはおろか、姿を見たこともなかったはずだが……?
 そんな孝高の疑問を見てとってか、薫はどこか言い訳めいた口調で言葉を次ぐ。
「……………彼女なら……お話、聞いてくれそうだったから」
 薫はロノウェのことを直接には知らない。アガデでの夜は、人々を護り、助けることだけしか考えられなかった。1人でも多く助けるのだと、ひたすら捜して、炎と魔族兵があふれる街を人々とともにくぐり抜けた。今思うと、あれは奇跡だったのかもしれない。
 けれど、助かったのはほんのわずか。その何倍、何十倍もの人々が、あの炎と煙、そして魔族のふるう冷酷な凶刃に斃れたことを知ったとき、薫の中の達成感は吹き飛んで、激しい無力感に襲われた。
 自分にもう少し力があったら、もっと助けられた人がいたのではないか。もう少し、あと少し。
 それが自分になかったせいで、人々は死んだのではないかと。
 激しい虚脱に襲われる中、少しずつ、周囲の人々の会話が耳に入ってきた。会談でのやりとり、魔神バルバトスの策略。あと一歩でアガデは壊滅し、東カナンは降伏を余儀なくされていただろうということ。そして自ら勝利を捨て、兵を退いた魔神ロノウェ。
 彼女となら、話をして、あるいは一歩を踏み出せると思ったのだ。
「………話して、解り合いたかったのか?」
「うん。話したいこと、たくさんあったのだ。でも……こんな状況だから、やっぱりそれはできないのだ」
 薫は苦笑して見せた。
 できるだけ軽く、かといってそんなに失望しているわけではないのだと、思ってもらえるように。
「みんな、ああして必死で戦っている。我の独断で、彼女に接近するわけにはいかないのだ」
 それに多分、無理だろうし。
「確かにな。それに……俺は、アガデのときのように、あんなふうにはなりたくない」
 何か、身に負った傷の痛みを薄れさせようとしているかのように、孝高は深く深呼吸をして息を吐き出す。
「孝高?」
 今度は薫の方が、彼の言っている意味が分からず眉をしかめる。だがすぐに、ひらめいた。
 あの夜、孝高は人々を連れて逃げる途中で、肩を負傷したのだ。
 薫の手が、思わず孝高の肘を引く。
「………っ」
「大丈夫だ。俺はもう怪我とかしない。おまえも俺も、少しは強くなった。……あのときとは、違う」
「……ありがとう」
「――おーい、お2人さん。そろそろ行ってもいいか? なんか、敵の一角が崩れたみたいだぜ?」
 すっかり存在を忘れられていた後藤 又兵衛(ごとう・またべえ)は、薫とは反対側にしゃがみ込んでにやにや笑いながら言う。孝高は少しほおを赤らめ、薫は元気よくうなずいた。
「今度は2人じゃなくて、3人なのだ。少しはみんなの役に立てるといいね!」
「又兵衛、寝るなよ」
「ちゃんと起きるって」
 カムイ・クーを構える薫。
 イヨマンテを構え、超感覚を解き放つ孝高。
 幻槍モノケロスを構え、目をハッキリと開く又兵衛。
「我たち、頑張ろう! 生きよう!」
「死ぬつもりはないさ、天禰」
「目覚めたばかりなのにすぐ死ぬのはお断りだ。生きる」
 3人は互いを見合い、真剣な表情で言葉をかけ合った1秒後、ハッと破顔したのだった。


*          *          *


 魔と人が戦う戦場を、又兵衛は幻槍モノケロスとともに駆けた。どこかぼんやりとした半眼で、心ここにあらずといった風情ながら、その手で繰り出す槍は激しい。向かい来る魔族兵が突き出す槍をかわし、はじき、容赦なく貫く。
「………英霊になる前も、俺はこんなふうに戦っていたのかな」
 刃についた血のりを振り切って、だれにも聞こえない声でつぶやく彼の流した視界に、ふと、奇妙な戦い方をする者たちの姿が入った。
 銀色の髪をなびかせて、ミラージュを用いて魔族兵を翻弄している女……と、子ども。少し離れているが、していることは同じだから、おそらくパートナーなのだろう。
 空を飛び回り、ミラージュで幻影を作り出してはときおりボディタッチといったちょっかいをかけ、サッと相手の手の届かない域へ抜けてクスクス笑っている。それに振り回され、あわてている魔族兵。ただ遊んでいるだけかと思いきや、ふいに魔族兵の体が引き攣ったように硬直した次の瞬間、血を噴き出してばたりと倒れた。
 女は手を一切触れていない。ただ空中でクスクスと笑って見ているだけだ。
「ありゃあ、何だ?」
 2人は移動し、次の標的を見つけるや、またミラージュで同じことを繰り返して魔族兵たちを一定の間からかうと、その魔族兵たちはいきなり発火して絶命してしまった。
「フラワシ……か?」
 それなら、まぁ分かるか。
 にしても効率の悪い戦い方だ。いや、本人たちには戦っているという意識はないようだ。あのクスクス笑いといい、からからうような仕草といい……「遊んで」いるという言葉の方がしっくりくる。
「悪趣味だなぁ」
 ああいうのは俺の好みじゃない。そう結論づけて、彼らから目を離そうとしたときだった。
「はぐぅっっ……!!」
 そんな、男の驚声がいきなり何もない空中でして、次いでバサバサッと地上に何か重い物体が落ちる音がした。
「あーあ、ツカサ。なんてドジなの」
「きゃははっ!! 流れ魔弾に当たるなんて、ツカサらしー!」
 腹を抱えて笑っている子どもの足元で、ひゅうっと風に吹き流されてバタバタする布と、その下から男の足が見えた。どうやら光学迷彩とブラックコートで姿と気配を消していたらしい。――でも、なんで??
(いや、でも、倒れているんだから助けに行かないと――)
 あの2人、全然助け起こす気なさそうだ。そう思って、駆け寄ろうとした又兵衛は、ようやく自分が囲まれていたことに気づいた。
「しまった!」
 あちらの3人に気をとられすぎた!
 あわてて幻槍モノケロスをかまえるが、一拍遅かった。相手の剣の方が早い。身に受けることを覚悟して、槍を引いた瞬間――
「目を閉じて!!」
 女性の声が降ってくると同時に、光が弾けた。
 光術の強烈な光が魔族兵の目を焼く。それとほぼ同時に、又兵衛と魔族兵の間に空から高速できた何者かが割り入った。
「ふっ……」
 間髪入れず黒い翼のヴァルキリーが、騎兵用と思われる柄の長いバルディッシュを軽々とふるう。一気に横なぎされた魔族兵たちが、一歩遅れてばたばたと倒れた。
「きみたちは……?」
「んあ? ああ、フェイミィ・オルトリンデだ。あいつはヘイリー・ウェイク」
 振り返ったヴァルキリーは笑って自らを親指で指し、名乗った。
「ちょっとー! あいつはないでしょ、あいつは!」
 ヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)はちょっと憤慨しているふうに腰に手をあてる。
「あたしはヘイリー」
「後藤、又兵衛だ」
「又兵衛、よろしくね! 今はこんな状況だからここまでだけど、また今度ゆっくりあいさつしましょ!
 さぁフェイミィ、次々っ。あっちでもだれか苦戦してるようよ」
 はきはきとした、まるで跳ねる豆のような小気味いい言葉遣いでそう言うと、さっさと2人で飛び去ってしまった。
「……ああ、しまった。礼を言いそびれたな」
 2人の消えた空を見上げたまま、頭を掻く。
「まぁ、今度会ったときでいいか」
 ふと思って、先の3人に視線を投げると、もうそこには3人の姿はなかった。はるか遠くでまた同じことをしている2人の姿が見える。男の姿も消えているということは、魔鎧をつけていたか何かしてて、それほどのけがでもなかったのだろう。
 良しとした又兵衛の視界に、またもや彼に向かってくる魔族兵たちの姿が入った。
 まだ戦いは続いている。今度は油断しない。
 ひゅっと風を切る音をたて、幻槍モノケロスをかまえる。彼の思いに呼応するかのように、刃が光輝の光を発した。