空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
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リアクション

 
「よしっ、救護テントは完成ね。これで救護スペースが確保できたわ」
 海の家の隣に救護テントを建てた四方天 唯乃(しほうてん・ゆいの)は、満足気に頷いた。
「唯乃、私も何かお手伝いしたいのです! いつも隣で見てるから、看病くらいなら出来るようになったのです!」
 唯乃の隣で、エラノール・シュレイク(えらのーる・しゅれいく)がピョコピョコと跳ね回る。 
「う〜ん、でもまだケガ人が出てないから――って、出ない方が言いに決まってるんだけどね。でも、けっこうみんな無茶してるみたいね……これじゃあ、ケガ人が出るのも時間の問題かもしれないわ」
 唯乃がビーチの方を見渡してみると、少し白熱しすぎている生徒が多いようだった。
 そしてその矢先――
「あ、やっぱり!」
 水上騎馬戦に出ていた生徒の一人が、気絶してしまったようだ。
「仕方ないわねぇ。エル、私たちはケガ人や気絶した人の運搬に回りましょう」
「わかったのです! ケケ、ルル、トトも手伝ってくれるらしいのです。さぁ、みんな行くですよ!」
 唯乃とエラノール、そして使役されているスケルトン三体たちはビーチの方へと駆けていたのだった。

「砂浜で転んで擦り剥いた方は、こちらで傷を洗いますので来てくださいませ」
「脱水症状の者は、こっちに来るがいい! この、妾が用意した溶塩水を飲んでテントで休め!」
エレート・フレディアーニ(えれーと・ふれでぃあーに)とパートナーのレトガーナ・デリーシャー(れとがーな・でりーしゃー)は、自分達の認識が甘かったことを実感していた。
 救護の手伝いに来る前の二人は、そんなにケガ人は出ないと思っていたのだが……救護テントには次から次にケガ人や脱水症状の生徒が運ばれてきたのだった。
「では、傷を洗いましたらラップを張りますわ。ガーゼだと、せっかく再生した皮膚が剥がれてしまいますの。その点、ラップだとそういう心配はございませんし、保湿の方も万全ですわ」
 テキパキとケガ人の手当てに励むエレート。
「む? もう気分がよくなっただと? ならば、もう一杯だけ溶塩水を飲んで行け。遊びたい気持ちもわからんではないが、こまめな水分補給を怠ってはならぬぞ!」
 レトガーナも、患者を見送ったり看病したりで大忙しだ。
「はぁ……これだと、遊んでいた方がまだのんびり出来たかもしれませんわ。まったく、レトガーナが日に焼けたくないとか言い出さなければ……」
「おいこらぁ! 日に焼けたくないと言ったのは、妾だけじゃなくエレートもだろうが!」
「ま、それは置いておいて。これは与えられた使命だと思って頑張りましょう」
「むぅ……納得いかが、仕方ないのぉ」
 この日、二人は最後まで大忙しだったとか。

「あぁ……暑いし、くそダリィな」
 久多 隆光(くた・たかみつ)は海の家でカキ氷を食べながら、今日の暑さを嘆いていた。
「本当、これだけ暑いと溶けちゃいそうだよね」
 パートナーのカリン・ウォレス(かりん・うぉれす)も隆光と一緒にカキ氷を食べて暑さを嘆いてる。
 周りから見れば、だらしのない二人に見えるが――
「ん? アイツ……溺れてやがるな、ったく。脚でも攣ったかぁ?」
 油断なく海の様子を伺っていた隆光は、溺れている生徒を見つけ素早く立ち上がり駆け出した。
 そしてカリンは、すぐさま海の家から浮き輪を借りると、隆光の後を追う。
「おい、大丈夫か? とりあえず俺に捕まれ!」
 隆光は溺れている生徒のところまで泳いでいくと、無理やりその手をとって自分に引き寄せた。
「隆光! これ使って!」
「おう!」
 駆けつけた、カリンが浮き輪を投げる。それを隆光が上手い具合にキャッチして、生徒を浜まで連れて行ったのだった。
「はぁ……ったく、疲れたな。海の家に戻って休むか――って、今度は向こうで熱射病かよ!?」
 隆光たちの目の前で遊んでいた生徒の一人がその場にへたり込んだ。
「おい、カリン! お前は海の家で何か冷たい飲み物買って来い。俺はアイツに氷術かけて体温下げとく!」
「う、うん。わかった!」
 この後、しばらく二人はライフセーバーのようにビーチを西へ東へと奔走することとなったのだった。

「むむむ、これは患者の数が半端ではないであるな! 黒、腕の見せ所であーるぞ!」
 救護テントに駆けつけた青 野武(せい・やぶ)は、なにやら張り切っている。
 そして、パートナーの黒 金烏(こく・きんう)は――冷静に対処にあたっていた。
「患者の数が多いようですね。ここは私が最初に治療を施して、野武さんには事後処置をお願いします。まずは、こちらの熱射病者。はじめに水分補給とイオンサプライ。野武さんは、予め作っておいた氷嚢を用意しておいてください。次に、こちらの負傷退場者にはナーシングをかけます。野武さんは包帯を巻いてあげてください。次に、こちらの患者には――」
 矢継ぎ早に治療を施していく金烏。
 しかし、工兵である野武は不慣れなせいもあって、スピードが追いついていないようだ。
「くっ……さーすがに、素人である我輩にこの数をさばくのは難しいであるな。こうなったら……とっておきの登場であーる!」
 なにやらゴソゴソと取り出し、背負いはじめた野武。
 彼が取り出し背負ったのは――
「世紀の発明、脳波コントロール作業用マニュピュレーター・阿修羅型であーる!」
 手が左右に三本ずつ生えたバックパックと、三つのカメラが搭載されたヘルメットだった。
「これがあれば三方向を同時に見ることができ、六本の腕を同時に動かして作業が出来るのであーる! 何? そんな怪しいゴテゴテしたもので看病されるのは怖い? 大丈夫、寝ている間に魔改造したり自爆装置を付けたりはせぬから安心せい!」
 ドンッと胸を張る野武。
 だが、それでも患者達は必死に首を振る。
「何? 真顔で言われる方が不安じゃと? そんなことは知らぬ。手当てを受けられるだけマシと思うがよい!」
 患者達の絶叫が救護テント内に響く。
 しかし――意外にもまともな治療だったらしく、患者はすぐに動けるようになった。

「先ほどは大活躍でしたね。素晴らしいレシーブ、見てましたよ」
 ニコリと微笑み、本郷 翔(ほんごう・かける)はティーカップに冷たい紅茶を注いだ。
「こちらをどうぞ。疲れているでしょうから、ここでしばらくお休みください」
 救護テントの片隅に設けられた休憩所では、翔が中心となってお茶会が開かれていた。
 男らしい水着姿の翔ではあったが、執事である彼の応対は好評で、治療を受けた後の生徒もここで和んでいる。
 そんな彼をサポートするのが、白衣に身を包んだ、パートナーのソール・アンヴィル(そーる・あんう゛ぃる)だった。
「どう、お姉さん? こっちに来て一緒にお茶でも飲まない? あ、そこの可愛いお嬢さんも一緒にどうだい? 今ならサービスしちゃうよ?」
 たしかに言動はサポートと取りにくいのだが……席に座った生徒たちの様子を見て疲れていたりしていると密かにヒールをかけて活力を与えているのは見事なサポートだった。
 そのせいか、普段だったら怖い目つきになる翔も、いまいちソールに強く出れない。
 ともあれ、二人のおかげで治療を受けた後の生徒が無茶をすることは少なかった。

「ぶふぉは……!?」
 ビーチバレーの後半戦がはじまってから数分後。
 飛んできたボールをカッコよくブロックしようと跳び上がったラルフ・ロザリアス(らるふ・ろざりあす)は、一瞬何故か意識が遠のいた。そして、次の瞬間には顔面に鋭い痛みを感じ、視界が暗転していった。
 何が起きたのか理解しようと、必死に思考するラルフだったが――そこで急に意識が途絶えた。
 そして――
「っは!? な、何だったんだ今のは………………って、あ?」
 目を覚ましたラルフは、何故かベッドの上にいた。
「どうだい? ケガは痛くない?」
 ベッドの隣には、ビーチバレーを見学していたはずのパートナー、ジルベール・ジュダリア(じるべーる・じゅだりあ)が椅子に座っていた。
「お、おい……ここは一体?」
「救護テントの中だよ。君は熱射病で倒れかけたところに、強力なスパイクを顔面に受けたんだ。覚えてない?」
「……そ、そうなのか?」
 たしかに、言われてみればそんな気がしないでもない。
「大変だったんだよ? 倒れた君を炎天下の中ここまで運んでくるのは。変にカッコつけようとするからこうなるんだ」
「うっ……悪りぃ。情けない姿晒しちまったな……」
 ガックリと肩を落とすラルフ。
 そんな彼の様子を見て、ジルベールは小さく呟く。
「やっぱり、君には僕がいないと、ね?」
 ジルベールは、どこか嬉しそうだった。

「誰も倒れないのが一番ですけど……さすがにこの暑さでは無理のようですね」
 魔桐 千草(まきり・ちぐさ)も、救護テントで忙しく生徒達の看病にあたっていた。
 だが、彼女にはどうしてもわからないことがあった。
 それは――
「それにしても……さっきから来る患者さんは、男性の方ばかりですね? それも、みんな自分から日射病だと言ってきます」
 ということだ。
 そんな首を傾げる千草を見て、 パートナーのヴィクター・ハルパニア(う゛ぃくたー・はるぱにあ)は微笑む。
「ほっほっほ。それは美人に看病してもらえるのなら、男はすぐに日射病や脱水症状にでもなるもんじゃ」
 たしかに、千草の格好は男性陣を魅了していた。
 夏の青空のように澄んだ色の髪を高く結い上げ、ワンピースの水着とパレオに身を包んだ姿は、まさにビーチの女神とも言える。そのうえ、艶やかな色っぽい目つきが合わさっていれば、男性達が放っておくわけがなかった。
「どれ。ここはひとつ、ヴィクターちゃんも女性を口説いてこようかのぉ」
 そう言って立ち上がったヴィクターだったが――
「いや、やはり暑いから大人しくしておこうかのぉ」
 そう言って彼は、千草の働きっぷりを眺めつつ、焼きソバとカキ氷と焼きトウモロコシをぺロリと平らげてしまったのだった。