空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
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リアクション

 
「はぁ……悠子、どっか遊びにいってもいいんだぞー?」
 海の家でまったりしていた玖珂 秀臣(くが・ひでおみ)は、思わず溜息が出た。
 その原因は――
「嫌よ、私は秀臣といたいの」
 この真夏日にベッタリと後ろから抱き付いてくるパートナー、真崎 悠子(まさき・ゆうこ)のおかげだった。
「ったく、しかたねぇな」
 秀臣は、仕方なしに立ち上がると、そのまま海の家で釣竿を借りてビーチから少し離れた岩場へと歩いていく。
「ほら。お前の竿も借りといたから、大人しく魚でも釣ってろ」
 そう言われ釣竿を渡された悠子は、素直に釣りを始めた。もちろん、同じように釣り糸を垂らす秀臣の隣にピッタリくっついて。
「やーれやれ。しかし、ガキに混ざって学生ごっこか……必要とはいえ、面倒くせぇな」
「……それで、秀臣はこれからはどうするの?」
「あぁ? これからって……これからも何も、真面目に学生やってるだけさ……今はな」
 秀臣の釣竿の先が、僅かに下へと引っ張られる。どうやら、魚がかかったようだ。
「……そう。秀臣が何やるにしても、私はついていくから、忘れないでね」
 ただただ秀臣を見て微笑む悠子。その笑みは、どこか恍惚とさえ見て取れた。
「ふんっ……しょうがねぇ奴だな、てめぇは」
 秀臣は魚を上手い具合に釣り上げ、針から外すと……手の中でもがく魚を見てほくそ笑む。
「ま、今は楽しくしてやるさ。色んなことをな」
 手の中の魚は、その辺にゴミでも捨てるかのような調子で再び海の中へと放り込まれた。

「何故だ!? 何故誰も来ない!? やはり、日本人はカキ氷しか食わないのか!?」
 ジェラートの屋台を開いたサルヴァトーレ・リッジョ(さるう゛ぁとーれ・りっじょ)は、思わず吼えた。
 屋台を開業してから一時間が経っても、お客が一人も来ていなかったからだ。
 実は、胸元を肌蹴させた白スーツにサングラスという、いかにもマフィアな彼の格好が原因で客が寄り付いて来ないだけだったのだが……それには気づいていない様子だ。
 と、そこへパートナーの三井 八郎右衛門(みつい・はちろうえもん)が、こんな提案を持ってきた。
「サルヴァトーレ様。一つ私めに提案がございます。このジェラート、小学生以下のお子様に配るってのどうでしょうか?」
「何っ!? 大事な商品を配るだと!?」
「はい。まずは、お子様にジェラートを広めていくのです。そうすれば、宣伝にもなりますし、サルヴァトーレ様の評判も必ず広まるはずです」
 ニコニコと揉み手交じりに進言する、八郎右衛門。そんな彼の言葉に、サルヴァトーレは少し考えを巡らせ――
「よしっ。わかった、その方法でいこう。野郎ども、ジェラートを子供達に配って来い!」
 彼の掛け声が響くと、ジェラート屋の影から数十人のパラ実生が飛び出した。彼らは、サルヴァトーレがパラ実職業斡旋所から雇ったアルバイトたちだ。
 そして三十分後には――
「ッチ……ジェラートが足りねぇ! 急いで作るぞ!」
 ジェラート屋は見事に大評判となり、サルヴァトーレたちは用意していた材料がなくなるまで大忙しとなったのだった。
 
「むむ、海の家と言うので来てみましたですが、怪我人さんが運ばれたりしてなんだか大変そうなのですぅ!」
 ビーチにやって来た咲夜 由宇(さくや・ゆう)は、海の家の隣に建つ救護テントを見て、意外とケガ人や倒れた生徒が多いことに驚いた。
「でも、海の家ではのんびりしてる方もいるみたいですねぇ……ここは落ち着いた音楽でも弾いて皆さんを少しでも和ませられませんでしょうか?」
 由宇は、持って来ていたアコースティックギターを取り出し、チューニングを開始した。
「わぁ、人がいっぱいだぁ。ここで勝手に演奏して大丈夫なのかな?」
 パートナーのルンルン・サクナル(るんるん・さくなる)は、少し不安気に周りを見渡す。
「う〜ん、どうでしょうかぁ? まだわかりませんねぇ」
「で、でも、何かあったらルンルンが守るから!」
 少し興奮気味なルンルン。
 しばらくして、由宇のチューニングが終わり、彼女の演奏が始まる。
 夏のビーチに流れるアルペジオとハミングは、あっという間に生徒達の耳に届く。
 そして――いつの間にか海の家の前には、由宇の演奏を聞こうとする人だかりができていた。彼女自身は、静かに演奏しているせいなのか、目を瞑っていて人だかりに気付いていないようだ。
「あれ? みんな聞き入ってる……この展開だと、なんだかちょっと物足りないような?」
 由宇の隣に座ったルンルンにとっては、少し期待はずれの展開だったが、由宇の音楽は確かに皆を癒したのだった。