空京

校長室

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション

リアクション公開中!

【十二星華&五精霊】サマーシーバケーション
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リアクション



●波に揺られてぷかぷかと

「ふぅ〜。浮き輪で浮くのって、すっごく気持ちいいな〜。ミケもおいでよ〜!」
 まったりまったりと浮き輪で波間を漂う立川 るる(たちかわ・るる)は、浜辺にいるパートナーの立川 ミケ(たちかわ・みけ)を呼んだのだが――
「なーなー、な〜」
 ミケは日向ぼっこで忙しい様子だ。
「う〜ん、ネコって海が嫌いなのかな? こんなに気持ちいいのにもったいないよ」
 そう言って空を仰ぎ見ながら浮き輪で漂うるる。
 と、そこへ――
「あら、あなた可愛いわね? どう、これから一緒に海の家で食事でもしない?」
 稲場 繭(いなば・まゆ)のパートナーエミリア・レンコート(えみりあ・れんこーと)が声をかけてきた。
「ていうかその水着、アレンジしてて可愛いわね? フリルの部分に星なんか付けちゃって、可愛いわ♪ ん? あなた……少し海面から浮いてない? もしかしてエスパーなの? エスパー少女かぁ、それも良いわね。とにかく、一緒に海の家に行きましょ」
「え? あ、えっと……」
 エミリアは、るるに断る隙を与えないよう矢継ぎ早に話し、絶妙なタイミングでその手を取った。
 だが、その瞬間。
「もう! 何やってるんですか!! 私が目を離すと、すぐそうやって!」
「ま、繭!? 泳げなかったはずじゃ……って、あぁ!?」
 エミリアが振り返ると、先ほどまで浅瀬を浮き輪で漂っていた繭が、イルミンスールの水着と浮き輪に身を包んだままこちらに向かってバーストダッシュで駆けて来ていた。魔法的な力場を使った高速ダッシュで、その姿はあたかも海の上を走ってくるようだ。
 そして、駆けつけた繭によってエミリアは確保されてしまう。
「すいません。ご迷惑をおかけしました」
「る、るるは全然大丈夫だよ?」
「いえ。本当に申しわけございません。今後はこのようなことがないように気をつけます」
 繭はエミリアの首根っこを掴むと、そのまま浜辺のほうまで駆けて行った。
 そのときのエミリアの瞳は、売られていく子牛のようにもの悲しい色をしていたという。
「う〜ん、レビテートよりもバーストダッシュの方がカッコイイ!」
 この後るるは、日が暮れるまでレビテートを応用して海の上を駆けようと必死になったのだった。

「そういえば、リオンは海って初めてだよね?」
 ハーフパンツタイプの紺色の水着に身を包んだ清泉 北都(いずみ・ほくと)は、浮き輪でまったり漂いながら、隣で浮き輪を装備して必死にて泳ぐ、パートナーのリオン・ヴォルカン(りおん・う゛ぉるかん)に聞いた。
「はい。先ほど少し飲んでみたのですが、この水はしょっぱいです。それに、なぜ動いているんでしょう? 向こうからこちらへと行ったり来たり……いったい、どんな仕掛けなのですか?」
 先ほど、リオンは北都から泳ぎ方を習ったのだが……北都が海の家に浮き輪を借りに行ってる間、密かに泳ぎの練習をしていて軽く溺れかけていた。
 そのときは、口に大量の水が入ってきてパニック状態になったが、奇跡的にも波の影響で浜辺に打ちあげられたのだった。
「海がしょっぱい理由かぁ。僕も専門的に詳しいわけじゃないけど、たしか川にある岩とかから溶けたナトリウムが海に流れ出るのが原因だって聞いたことがあるよ」
「なるほど、では何故このように海は動いているのですか?」
「えーっと、これは波っていってね。たしか……風が原因じゃなかったかな? あと、船が通るとできるんだよ」
 笑顔で質問に答える北都。リオンも、何となくだが納得した様子だ。
「どう、リオン。海って楽しい?」
「はい。泳ぐのは難しいですが、とても楽しいです!」
「そっか、よかったぁ。何も考えず、いっつもこうして居られたらいいのにね」
 それからの二人は波に身を任せ、ずっとぷかぷかと浮き輪に乗って漂っていたのだった。

「やっぱり、海はいいわねぇ〜」
 五十嵐 理沙(いがらし・りさ)は、大きなシャチのフロートに乗っかり、まったりと波間を漂っていた。
「今日は天気が良くて、本当に気持ちのいい一日になりましたね」 
 パートナーのセレスティア・エンジュ(せれすてぃあ・えんじゅ)も、理沙のとなりでまったりのんびり泳いでいる。
「はぁ〜、ここまで海を満喫したのって初めてかも」
「朝から泳ぎっぱなしでですけど、あまり激しく遊んでいないから全然疲れませんしねぇ」
 理沙は海に来てビキニに着替えると、海の家から借りたシャチのフロートでずっと遊んでいた。そして、セレスティアもそれに付き合っていたのだ。
「よっこいしょーっと」
 理沙がシャチフロートからワザと転げ落ち、背泳ぎのようにして水に浮かぶ。フロートは手首にヒモでくくりつけてあるので流されることはない。
「はっ……これって、もしかしてラッコっぽい?」
 遠くではビーチバレーが盛り上がっているようだが、理沙、セレスティア、シャチフロートたちは、ゆっくりゆったりと波に揺られ続ける。
「ふふふ、やっぱり平和っていいですわね♪」
 セレスティアが柔らかく微笑むと、理沙も笑顔で頷いたのだった。

「どうせ俺には女子用の可愛い水着なんて似合わねーしな。サラシでも巻いとけば大丈夫だな」
 そう言ってヤジロ アイリ(やじろ・あいり)は、イルミンスールの公式男子水着を着用し、胸部にはサラシだけを巻いて海へと入っていった。
「今日は浮輪で波間をぷかぷかするだけから、サラシも外れないだろ。海の家で浮輪も借りたし沖にでも行こうぜ、セス!」
 意気揚々と海へと走っていくアイリ。その後ろをパートナーのセス・テヴァン(せす・てう゛ぁん)がついていくのだが……何故かその顔には邪悪な笑みが浮かんでいた。
「ふぅ〜。波間を漂うのって、結構気持ち良くていいよなぁ」
 まったりとぷかぷかと海に浮かぶアイリ。完全にリラックスしているようだ。
「えぇ、まったくですね。天気もよくて何よりです」
 セスもまったりぷかぷか――コソコソとアイリの背後へと近寄る。
 そして――
「え? うわっ!? な、嘘だろ!?」
 突然、アイリの胸部を包んでいたサラシが切れる。彼女は慌てて胸を腕で覆い隠した。
「な、なにすんだよセス!!」
 アイリは、激昂して背後のセスを睨みつけるが――
「な、何を言うのですか!? 私は何もしていませんよ!? ほら、サラシを切る物なんてないじゃないですか!!」
 何も持っていないことを示すために、セスは両手をあげてみせる。たしかに彼は、サラシを切るような道具は何も持っていなかった。
「とにかく、一旦浜辺に上がって隠れていてください。その間に私はタオルを持ってきます!」
 セスのテキパキとした指示に、パニック状態のアイリは言われるがままに従う。
 ――セスが氷術でナイフを作り、サラシを切った後は海水に溶かして証拠隠滅を謀ったとも知らずに。
 その後のアイリは、セスからタオルを渡され、ついでに海の家で購入してきたというフリル付き女性用水着を、仕方なく着用したのだった。全てはセスの計画通りだとも知らず。

「うーん……向こうでは色々白熱してるみたいだけど、こっちは凄く平和だわ……」
 浮き輪に乗って波に揺られる関谷 未憂(せきや・みゆう)は、間延びしつつその黒髪をまとめあげた。
「ねーねー、みーゆーうーあーそーぼー!」
 パートナーのリン・リーファ(りん・りーふぁ)が、ビーチボールを浮き代わりにしつつ、未憂の周りをバタ足ではしゃぎ回っている。
「ねー、ボーっとしないでよー! 聞いてるー?」
「聞いてるわよぉ? でも、最近はいろいろあったし、私はここでゆっくり羽を伸ばしてるわ」
「えー何それー? せっかく海に来たのに、そんなんじゃもったいないよー! えいっ、これでどうだー!?」
 リンは突然海の中へ潜り込むと――
「キャッ!?」
 未憂を浮き輪ごとひっくり返したのだった。
 そして、未憂とリンは同時に海面に顔を出した。
「ぷはっ……もうリンったらぁ!」
 未憂は一瞬、リンを叱り飛ばそうかと思ったが、ふと口をつぐんだ。
 そして、少し何かを考えて――
「リン……ありがとう」
 何故か小さく微笑んだ。
「んー? なーにーがー?」
「ううん。何でもないわ」
 再び微笑む未憂。実は彼女はこのとき――リンに会わなければ、自分はパラミタには来ていなかったのだと、なんとなく思ったりしていたのだ。
「へんなのー! それー!!」
 未憂の顔めがけて、バシャバシャと水をかけだすリン。
 そんな彼女に、未憂も何だかおかしくなってしまい、結局リンに付き合って水をかけあったのだった。
「みゆうー! あとでカキ氷たべよー!」
「そうね。一緒に食べよっか!」
 遊びつかれた後のカキ氷は、一層おいしかったとか。

「や、やっぱり可愛い水着とか買っておけばよかったかな……スクール水着で参加って今イチだったかも」
 波間を浮き輪でちゃぷちゃぷと漂う茅薙 絢乃(かやなぎ・あやの)は、周りの女子が着ている水着を見て後悔していた。
「で、でも今日は、ウォレスに夏の海の楽しさを理解させるために来たんだから水着の種類なんて関係ないわ――って、キャッ!?」
 突然、絢乃の頭にビーチボールがぶつかり、ボールは飛沫をあげて着水した。
「なぁ! そんなとこで暇そうに浮いてるよりも、遊ぼうぜ!」
 ボールを投げてきたのは、パートナーのウォレス・クーンツ(うぉれす・くーんつ)だった。
「もう、何するのよ!? 今日は、海の家で買ってきたジュースを、こうやってプカプカしながら飲んでリゾート気分を味わうの――って、粉モノを海に持ち込んじゃダメ〜!」
 ウォレスの手には、出来立てアツアツのお好み焼きが。
「だって腹減ったんだよ。絢乃がここで食えって言うから持ってきたのに」
「でも、粉モノはダメなの!!」
「なんだよ、それぇ!」
 ウォレスは不満気ではあったが、大口を開けてお好み焼きを一気に飲み干した。
「んぐんぐ、ぷっはぁ。よしっ、これで文句はないだろ? さ、遊ぼうぜ! 遊んだ方が絶対に楽しいって。ホラッ!」
 再びボールを取り、絢乃を誘うウォレス。
 だが、絢乃はプカプカと浮いたままだ。
「今日は二人だし、久しぶりにゆっくりしよう? 次はみんなで来てさ、くったくたになるまで遊ぼう? ね、約束」
 そう言って小指を差し出す絢乃。
 それを受けてウォレスは一瞬だけ何かを考えると――
「ケヴィンが居ない方が俺は楽しいけどなー。次は絶対にビーチバレーしてスイカ割りして花火だぞ、約束な?」
 絢乃の小指に自分の小指を絡めたのだった。