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戦乱の絆 第二部 最終回

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戦乱の絆 第二部 最終回
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■羽田空港2

そのころ、イコン格納庫にて。
アイリス・ブルーエアリアル(あいりす・ぶるーえありある)を説得しようとする者たちがいた。

仮面で正体を隠しているトライブ・ロックスター(とらいぶ・ろっくすたー)が、
アイリスに提案する。
「俺が代わりに、あのイコンで出撃する。
だから、アイリスはここに残れ」
「トライブ、何を……」
驚くアイリスに、トライブは続ける。
「何の為に正体隠してると思ってんだ。俺の事は気にすんな」
トライブは、分断が成功した時、その中核にアイリスがいると、
今度こそ本当に引き返す事ができなくなると考え、心配しているのだった。
(分断が成功することで、エリュシオンに居る紅月も少しでも心の憂いが無くなるなら御の字さ)
そして、トライブは、林 紅月(りん・ほんゆぇ)のことも思う。
「アイリスは残って、説得に来た連中と一緒にシャンバラに戻れ。
そして俺が帰れなかったら、紅月に悪いと伝えといてくれや」
千石 朱鷺(せんごく・とき)も、アイリスに言う。
「アイリス・ブルーエアリアル、
シャンバラの一部が崩落すれば多かれ少なかれ被害が出ます。
その咎を背負うのはあなただけではなく、パートナーの瀬蓮もなのですよ?
餅は餅屋。
悪名はこの馬鹿一人に押し付けておけば良いのです。
瀬蓮の幸せを考えるのなら、アイリスはここで降りるべきだと思います」
アイリスは一瞬、高原 瀬蓮(たかはら・せれん)の方を見たが、
すぐに首を振った。
「僕はエリュシオンの皇女であり、
エリュシオンの龍騎士団を統べる立場でもある。
ここで、誰かにその役割を押し付けるわけにはいかないよ」
「だが……」
トライブがなおも言いかけるが、アイリスの微笑を見て、沈黙する。
「でも、君たちの気持ちはとてもうれしかった、ありがとう」
アイリスは、穏やかだが、毅然とした態度で言った。
その様子に、トライブと朱鷺は引き下がる。

クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)が、アイリスに言う。
「身内である大帝や第一龍騎士団のいるエリュシオン、
学生生活を送った百合園のあるシャンバラ。
どちらを選ぶにしても、自分の明確な意志で選んだのでなければ、後悔が残ると思うよ」
「僕は……」
「だから、アイリスの明確な意志を、はっきりと口に出して伝えてほしい」
クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)も、瀬蓮に言う。
「瀬蓮も同じだよ。
ただアイリスに賛同というだけではなく、明確に意思を口にして欲しい。
迷いを持つなとは言わない、ボクもよく迷う。
でもそのままにして事に望んではいけないと思う」
「……」
瀬蓮も考え込む。
「2人がどちらを選んでも俺達は2人の味方をする。それは、相棒と考えた結論だよ」
「ボクは、2人の後ろを護ると誓った。
それをすぐに覆すのは騎士として友人としてあるまじき行為だから。
もしその結果、国を追われてもね」
クリストファーとクリスティーに言われ、
アイリスと瀬蓮は迷った様子を見せる。
「瀬蓮ね、アイリスにお父さんと戦ってほしくない。
だけど……」
アイリスは、硬い表情のまま、黙っていたが、そこで、爆発音が響く。

「教導団の部隊が接近してきます!」
「迎撃の用意を!」
報告をしてきた従龍騎士に対し、アイリスは軍人の顔になり、命令を下す。
(そうして、自分の『役割』に忠実でいれば楽でいられるのかもしれないけど)
クリストファーは思う。
(本当にそれでいいのかい、アイリス?)



【龍雷連隊】は、乙王朝に加勢し、ミツエのイコン奪取作戦を支援していた。

クロイス・シド(くろいす・しど)
ルウネ・シド(るうね・しど)の搭乗する
ドレークバインドが、
バズーカで、龍騎士を撃ち落とした。
バズーカの弾が切れた後は、アサルトライフルに持ち替えて、龍騎士団を迎撃する。
「地球とパラミタの未来を守る為に俺は戦う!!」
クロイスが叫ぶ。
「ルウネも、クロ兄のために、戦います〜」
レーダーで索敵を行いつつ。ルウネも言う。

一方、
三船 敬一(みふね・けいいち)は、
機晶スナイパーライフルで狙撃を行う。
「空港は辺り一面が開けているからな。
狙撃にはもってこいだ」
シャープシューターで狙いながら、敬一が攻撃する。
白河 淋(しらかわ・りん)は、狙撃している間、
敬一が攻撃されないよう、護衛を行う。
2人は、いざとなったら。
自動車で逃走するつもりだった。

「二つの世界が離れるのは嫌だ。折角出会ったパートナーたちとの絆を大切にしたい!」
トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)はそう願い、
魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)とともに、
潜入作戦の援護を行う。
「小学生の数学のドリルじゃないんですから、
答えが決まり切ってるわけでもないでしょう。
それとも、この世界はそんなにも幼稚な『モンダイ』なわけですか?
縁あってのパートナー契約、無にするわけにはいきませんのでね」
魯粛も、トマスと思いは同じだった。
警備の従龍騎士を倒し、味方が潜入しやすいようにする。

ユイ・マルグリット(ゆい・まるぐりっと)
アトマ・リグレット(あとま・りぐれっと)も、
歩兵部隊として、隊長で西シャンバラ・ロイヤルガードでもある松平 岩造(まつだいら・がんぞう)を援護する。
「岩造さん、私たちが敵を引きつけているうちに、はやくアイリスの元へ行ってください!」
「僕たちは心配ないよ、さあ早く!」
ユイとアトマの言葉に、岩造がうなずく。
「わかった、後は頼んだぞ!」
岩造は、通路で激戦を繰り広げるユイやアトマ達を残し、走って行った。

「アイリス! 貴様との因縁の決着、ここでつけさせてもらう!」
岩造が、パートナーのフェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)とともに、
イコン格納庫にやってくる。
ミツエたちも、すぐ近くに迫っていた。

岩造の龍光尾からアルティマ・トゥーレが放たれる。
フェイトは、ラスターハンドガンと曙光銃エルドリッジで、支援を行う。
アイリスと戦う岩造だが、
神であるアイリスに対しては、実力不足だった。
クリストファーやトライブも、アイリスを守ろうと立ちふさがる。
「くっ!」
「あなた!」
アイリスに弾き飛ばされた岩造を、フェイトが呼ぶ。
体勢を立て直す岩造だが、
そこで、フェイトに味方からの通信が入る。
「ある程度の攪乱には成功したようだな。
損害が出てはまずい。あとは、ミツエに任せよう」
岩造は、冷静に判断する。
目的はあくまで、イコンを奪うことだ。
岩造は撤退の指示を出し、自らも退却した。



早川 あゆみ(はやかわ・あゆみ)は、
レントの操縦を
メメント モリー(めめんと・もりー)に任せ、
ディーヴァとして歌を歌う、
味方の支援だけでなく、アイリスや龍騎士に届くことを、あゆみは願う。

「思い出して
初めて繋いだ手の温もりを 傍にいてくれる人の笑顔を
それはいけない事なのかしら?
あってはいけない事だったのかしら?
思い出して 絆を守りたいと感じた時の事
私が教えるまでもなく 答えはもうあなたの中にある」

あゆみの歌声が響く。

「私は思うの。絆が戦いの原因になる筈がないって。
もしそれが元で諍いが起こったのだとすれば、
それは……絆が断ち切られてしまった時に、始まったのだと思うわ」
龍騎士は、あゆみを攻撃できずに、
レントは格納庫に近づく。
あゆみはアイリスに問いかける。
「だから……今2つの世界を断ち切ってしまったら、
ずっと争いの禍根は残り続けるんじゃないかしら?」
アイリスは、困惑したような顔で言った。
「絆が絶ち切られた時に、争いが……。
5000年前のように?」
モリーも言う。
「アイリスちゃん、君が出会った地球の人達、
瀬蓮ちゃん達を守りたいと思った事……全部、いけない事だった?
断ち切る必要のある事だった?
……そうじゃないんだって、アイリスちゃんはもう知ってるよね」

鳥丘 ヨル(とりおか・よる)
アイリスに向けて言う。
「良雄は地球人だから世界分断後に、
吸収した大帝に悪影響が出るって噂を聞いたよ。
良雄は危険な事嫌いみたいだから、今頃大帝の中で大暴れしてるんじゃないかな。
彼が大帝を拒否してた頃、凄い事が起こったよね」
ヨルは、そう言うことで、龍騎士たちが、
(急な大帝崩御後の帝国の混乱を防ぐため、
ここでの争いをやめて繭へ様子を見に行こうと思ってくれたら)
と考えていた。
一方、カティ・レイ(かてぃ・れい)も、格納庫に迫ってきていたミツエに言う。
「ここでアイリスのイコンを奪ったら世間から火事場泥棒と後ろ指さされるだけだから。
皇帝のやる事じゃないだろ。
アイリスを押さえてもイコンは奪わない事で恩を売るんだ。
育ちの良い奴だからきっと恩に着て、いつか返してくれるはず。
あんたの名声は高まり中原での支持者も増えるだろう」
「目の前にイコンがあるのに、何言ってるの!?
歴史は勝者によって作られるのよ!」
反論するミツエだが。

西シャンバラ・ロイヤルガードの小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)も、
アイリスの説得に現れる。
美羽は、瀬蓮の親友として、
瀬蓮とアイリスがいつまでも一緒に仲良くできることを願っている。
(大帝の思惑どおり地球とパラミタの絆が絶たれたら、
地球人とパラミタ人の絆も絶たれてしまう……。
つまり、それは瀬蓮とアイリスの絆も断たれるということよね)
美羽はそんなことをさせたくない、と考えている。
「お願い、アイリス!
地球人とパラミタ人の絆を……
瀬蓮ちゃんとアイリスの絆を守るために、力を貸して!」
美羽は、アイリスの手を取って言う。
「アイリスと第一龍騎士団にも、
ゾディアック防衛など、シャンバラの作戦に協力してほしいの!」
コハクも、瀬蓮に危害が加わらないよう、気遣いつつ、言う。
「アイリスと瀬蓮の絆が絶たれたら……アイリスだって嫌だよね」
アイリスと瀬蓮は、戸惑いをあらわにしながら視線を交わす。
「だが、瀬蓮を守るためにも。
平和な日常を取り戻してもらうためにも、僕は……」
アイリスは、迷いを断ち切るように言葉を紡ぐ。
(大帝の運命を変える力は絶対だ。
それに逆らうことが、本当に瀬蓮のためになるのか?
だけど、僕は……)

そこへ、百合園女学院の
ヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)
セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)
七瀬 歩(ななせ・あゆむ)
七瀬 巡(ななせ・めぐる)も、
アイリスと瀬蓮に駆け寄ってくる。

セツカは、アイリスのイコンを見上げる。
ここに来る少し前、セツカはポータラカ人に確認した。
「あのスゴイイコン。
大帝の体の中に入ったという人が
大帝の悪性腫瘍と同じ姿と言っていたけれど、
ある意味大帝そのもので、
しかも自分に都合のいいようにアイリスさんたちの運命を操ったりはしないでしょうね……」
「大帝たちがイコンを見て抱いたイメージが、悪性腫瘍に反映され、
ナノマシンをとおして、悪性腫瘍を見た者の脳にイメージとして反映されたのだ。
その心配はない」

ヴァーナーは、七夕の短冊にも書いた願いを、必死でアイリスに伝える。
「二つの世界を分断しなくても、
アイシャおねえちゃんやみんなが大丈夫って言ってるです。
ボクはみんなとおわかれしたくないです。
ボクもがんばるから、スゴイイコンで超霊さんをやっつけるとか、
おねえちゃんたちもいっしょにがんばってほしいんです!」
「ヴァーナー、聞き分けてくれ。
僕には、瀬蓮と、この世界を守る義務があるんだ」
アイリスに、ヴァーナーはさらに必死で伝える。
「どうしてそんなにつよくないとダメなんですか?
アイリスおねえちゃんは
前からかっこよくてキレイでやさしいすてきなおねえちゃんだったのに。
瀬蓮おねえちゃんも今のほうが前の百合園でみんな一緒にいた時よりいいんですか?」
「ヴァーナー……ううん、そんなことないよ」
瀬蓮が、うつむきながら言う。
「おねえちゃんたちの顔が
前より今のほうがつらそうだから前みたいにもどってほしいです。
一人でがんばらなくても
みんなでがんばれば前みたいになんとかなっちゃうですよ!」

歩も、その様子を見守りながら思う。
(瀬蓮ちゃんにアイリスさん、二人とも本心は別れたくないんだと思う。
ただ、シャンバラがやろうとしてることは危険だから、
お互い相手を危険に晒したくないのかなぁ。
その気持ちはどっちも正しいと思う、でもホントにそれでいいのかな?
確かに世界は滅びない、パラミタの力を巡る世界の利権争いも収まると思う。
ただ、平和を脅かすのはパラミタの力だけなの?)
地球でも、パラミタとつながる前から、戦乱はなくならない。
(あたしには難しいことちゃんと見えてないかもしれないけど、
結局ここで切り離す選択が
永遠の平和を生むかっていったら違うと思う。
相手を拒絶して、相手との関係を絶つのが唯一の方法じゃないはず。
皆、国が違っても仲良くなれたんだもん)
シャンバラで出会った仲間のことを、ひとりひとり思い出して、
歩は、アイリスと瀬蓮に告げる。
「一緒にいたい、それじゃだめなのかな?」
巡も、言う。
「あのね、ボクは歩ねーちゃんとか百合園の皆とかを守りたい。
でも、別れたくないって思うんだ。
ボク、正直そんなに強くないけど、これから強くなって皆を守って行きたいから。
……多分、ただのわがままなんだと思うけど、やっぱりお別れって寂しいよ。
ヴァーナーも言うように、
皆で頑張って、何とかできないのかなぁ?」

「……だが、運命を変えることができるのだろうか?」
「きっとできるです!」
アイリスが、父を思い、言った言葉に、重ねるようにヴァーナーが言う。
「アイリスさんが本当に望んでるのは……」
歩も、真摯な視線をアイリスに送る。

「アイリス」
それまでずっと、口数少なく、皆の話を聞いていた瀬蓮が、パートナーの名を呼んだ。
それは、静かだったが、周囲に沈黙をもたらすような力強さがあった。
「本当、言うとね、瀬蓮の気持ちを伝えることで、
アイリスが困るんじゃないかってずっと思ってた。
でも、クリスティーや皆に、瀬蓮の本当の気持ちを伝えなさいって言われて、わかったの。
伝えないことで、後悔するかもしれないって。

……瀬蓮は、アイリスとも、お友達のみんなとも、ずっと一緒にいたいよ」

瀬蓮は、アイリスを抱きしめた。

しばらく、沈黙があった。

「ああ、僕も、瀬蓮と離れないよ。
今度こそ、約束する」
アイリスは、優しく瀬蓮の髪をなでると、
ゆっくりと身体を離し、
周囲を見据えて、宣言した。

「僕のイコンは東京湾へ出撃させない」
ざわめきが上がる。
「だが、龍騎士団を、味方と争わせるわけにはいかない。
超霊の出現に備えて、第一龍騎士団はこの場で待機する」
「アイリスおねえちゃん!」
ヴァーナーが、アイリスに飛びつく。

「アイリス総督の仰せのままに」
龍騎士団は、一人残らず、アイリスに従った。

「ちょっと!
あたしはそんなこと言っても認めないわよ!
そのイコンは有効活用させてもらうわ!」
ミツエは、トウテツをアイリスのイコンに接近させて奪おうとするが。
ミツエをNight−gauntsで運んできていた秋月 葵(あきづき・あおい)が、説得する。
「ミツエちゃん、せっかく、アイリスちゃんと、瀬蓮ちゃんがああ言ってくれてるんだし」
「うううーっ!」
ミツエは、Night−gauntsの掌の上で地団太を踏む。

「アイリス総督!
東京の市街地で、超霊モンスターが大量発生した模様です!」
そこに、龍騎士団の伝令が走ってきて告げる。

アイリスは、龍騎士団に命じる。
「ここで争っている場合ではない。
第一龍騎士団は東京を守るために出撃!」
そして、ミツエに向き直る。
「乙王朝皇帝、横山ミツエ殿、エリュシオン総督として協力を依頼する」
「しかたないわね!
必ず100倍返しにしてもらうからね!」
「ご協力を感謝する」
ミツエに笑みを浮かべるアイリスは、
百合園のみんなの憧れの麗人の顔に、少し戻ってきたと、歩は思った。

こうして、シャンバラ、エリュシオン、乙王朝の共同戦線により、
東京での防衛戦が始まった。

■東京市街地

風森 巽(かぜもり・たつみ)
ティア・ユースティ(てぃあ・ゆーすてぃ)は、
サイクロンに乗り、
自衛隊のヤマトタケルとともに、
東京の街を守るために戦っていた。
「確かに避難済みで誰もいない。けど!
避難した人達の帰る家を護るのだって大事なはずだ」
戦隊ヒーローのロボのような気分で、巽が叫ぶ。
「いくぞ! 正義の鉄拳! サイクロンマグナムッ!」
超霊モンスターがうなり声を上げる。
「こいつはオマケだ! ライトパニッシャーッ!」
「こっから先へは一歩も、一匹も通さないんだからね!」
ティアも、正義感に燃えて言う。
そうして戦うサイクロンたちだったが、
超霊のモンスターの多さに疲労しはじめた時、
エリュシオンの龍騎士団が援軍にやってくる。
「昨日の敵は今日の友!
人々の暮らしを守る、それがヒーローだ!」
その様子を見て、巽は、ヒーローとしての魂を燃え上がらせ、さらに戦い続けるのだった。