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戦乱の絆 第二部 最終回

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戦乱の絆 第二部 最終回
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■東京湾での闘い2

繭に接近した一行は、
ゾディアックの剣で繭に張られている結界を解くとともに、
繭の表面に突入口を開くまでの間、
ゾディアックの護衛を行うこととなる。

清泉 北都(いずみ・ほくと)
クナイ・アヤシ(くない・あやし)
アシュラムが、
心眼で狙い澄ましてハンドガンで龍騎士を撃ち抜く。
「露払いは僕たちに任せて。
戦力は繭の中で使う為に温存して貰うよ」
アイシャ様も女王としての意志をしっかりと持ったようですね。
シャンバラに生きる者として、私達は全力でサポートします」
北都とクナイが、味方の戦力維持にも配慮しつつ、
ゾディアックの周囲を警護する。

西シャンバラ・ロイヤルガードの
クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)
エイミー・サンダース(えいみー・さんだーす)
ウンヴェッタも、
戦況をあやつり、作戦成功までの時間を稼ぐことを目的に、
機動重視の戦法を取る。
「新型イコンか!」
S−01飛行形態のウンヴェッタを見て、
龍騎士団からどよめきが上がる。
「これで、少しでも士気が下がってくれればしめたものだ」
クレアが言う。
「敵もたっぷりいるようだしめくら撃ちでも当たりそうだけど、
無駄弾ばらまいてる場合じゃねーなぁ。
攻める気まんまんの敵は、うまく誘い込んでまとめて落とす。
それに警戒して腰が引けてくれればラッキーだな」
エイミーも、周囲を見渡し、冷静に判断する。

カッチン 和子(かっちん・かずこ)
ボビン・セイ(ぼびん・せい)は、
ゴーストくんに乗り、
まだ中にいるホイップ・ノーン(ほいっぷ・のーん)のことを思う。
センチネルであるゴーストくんは飛行できないため、
空中ドックを足場にしての戦闘となる。
「ホイップをころさせはしない!
あたしたちがダメージを受けている間はゾディアックはその分だけでも無事なわけだから」
和子はそう言い、盾になることに専念し、
ボビンは、光学迷彩を使う。

北都やクレア、和子たちにより、龍騎士団はゾディアックへの接近を阻まれていた。



アイシャは、
ゾディアックを操縦しながら、
出撃前のことを思い出す。

西シャンバラ・ロイヤルガードの騎沙良 詩穂(きさら・しほ)は、
アイシャに平手打ちをして、言った。
「命で足りぬ分を補う、そんなバカなこと考えていたの!?」
詩穂は、涙を浮かべつつ、アイシャを抱きしめた。
「ねぇ、約束でしょ。
1人で抱え込まないって、何があっても私を忘れないでって言ったよね?
一番大切な人と呼んでくれた……、詩穂と一緒にいるって」
「ごめんなさい……」
アイシャは、自分が、詩穂を悲しませたことをわびた。
「ゾディアックの消耗を抑える為、
詩穂の力をアイシャちゃんにあげる。
初めて出会った時のこと憶えてる?
もう一度、吸精幻夜で詩穂の力も想いも全て受け取って……」
繭内部での作戦に用いるゾディアックの力を温存するため、
詩穂は、アイシャに力を与えるサブパイロットに志願したのだ。
「私たちはパートナーではないから、
詩穂をサブパイロットにはできないわ。
でも、その気持ちは、とてもうれしい。
ありがとう」
詩穂はうなずくと、アイシャを見つめた。
「実はパッフェルちゃんに失恋してるの。
勇気が無くて言えなかった事があるから。
だから今度は言うね。
互いに確認したいから。
詩穂もアイシャちゃんのことが大好き。
これから本物の思い出を一緒に作って行こう☆
だから絶対に世界を分断させない!」
「ええ、けして、世界は分断させない。
私も、無事に帰るわ……!」
アイシャは、詩穂の白い首筋に、牙を突き立てた。
吸精幻夜で力をもらうことは受け入れたのだ。
セルフィーナ・クロスフィールド(せるふぃーな・くろすふぃーるど)が、
アイシャに言う。
「いいですか、何かあったら手元の【悠久】を見て、思い出してください。
初めて出会った時、陛下が自ら行動で示したゾディアックに赴いた時、
記憶を取り戻した時、……未来への道を。」
アイシャは、微笑した。
「ありがとう、詩穂。セルフィーナさんも」
アイシャは、今までにない、強い意志のこもった瞳で、詩穂を見つめた。
「私は、シャンバラ女王として、あなたを一人にはしないと約束するわ。
一人ぼっちの女の子だった、私を助けてくれたあなたのことも、生涯忘れない」
そう言い、アイシャは、ゾディアックへと歩いていった。



リア・レオニス(りあ・れおにす)は、
ゾディアックに乗り込もうとするアイシャを呼び止めた。
「アイシャの決断は俺達の願いだ。
君は一人じゃない、一人で世界を背負わなくてもいい。共に行こう、新しい時代を掴むために」
リアは、アイシャの瞳を力強く覗き込み、ぐっと抱きしめる。
(これが最後だと思いたくないけど、やらないと互いに後悔が残りそうだから……)
リアは、そう考えたのだ。
「ありがとう、リアや皆のおかげで、私は一人ではないって、わかったわ。
あなたも、必ず戻って」
アイシャはそう伝え、強い意志を持った瞳でリアを見つめ返す。

そして、ゾディアックは出撃した。



リアは、その後、
可変イコンであるステラ:フルグローの能力を生かし、
ゾディアックが敵の射程に入る前に、撃墜する戦術を取っていた。
龍騎士の矢が飛んできた瞬間、
人型に変形し、盾でゾディアックを守る。
「君はただ進め、振り返らずに。俺も後から行くから」
「ありがとう、リア!」

アイシャは、リアの言葉通り、ためらわずに進んだ。
「死亡フラグのつもりはないので防ぎきったら合流するぜ」
いたずらっぽい笑みを浮かべ、リアは言う。
(戦争が終わり国家体制が変わっても、リアは変わらずに貴女の側にいますよ)
レムテネル・オービス(れむてねる・おーびす)は、
アイシャを見送りながら思う。

そうして、ゾディアックは繭を攻撃しようとするが。

葉月 可憐(はづき・かれん)
アリス・テスタイン(ありす・てすたいん)
澪標が、立ちふさがる。

「私達は私達の意志で契約し、ここに立っています。
だからこの先何があろうと、それを受け入れる責任があります。
ですが一般の地球人、パラミタ人はそうではありません。
私達の勝手な希望的憶測と責任を擦り付ける犠牲になっていい道理はありません。
私達が生き残る為に、大切な人達の命を損なうような事があってはなりません。
そんな危機があってはなりません。
だから……私は、貴女方に刃を向けましょう。
澪標……その境界を往くモノ。
大帝、この力を貴方に託しましょう」
「繭の中に入るって事は、
最も危険な場所に貴方達が入るという事。
つまり最も死に近い可能性。
それと世界の分断との間に、違いはあるの?」
可憐とアリスが言う。
澪標が、繭に入ろうとするゾディアックの周囲のイコンを攻撃する。
「アイシャ!」
「リア!」
リアが飛び出し、被弾する。

さらに、
ゲドー・ジャドウ(げどー・じゃどう)が、
超霊ネバーエンドの力でウゲンの姿となり
アンデッド:屍龍に乗って、ゾディアックに接近する。
パートナーのジェンド・レイノート(じぇんど・れいのーと)は、以前、はぐれたきり、いなくなっている。

「ウゲンだ!」
シャンバラ側、エリュシオン側ともに、騒然となる。

「おおーい、アイシャ女王!
君のやろうとしてることは無駄なんだよ!
二つの世界を守るなんて無理無理!
失敗して、両方ともメチャクチャになるのがオチさ!
もっとも、その方が面白いけどね!」
ゲドーは、ウゲンのフリをして、アイシャを挑発する。
「あなたの言うことなど、聞かないわ!
たとえ、本物のウゲンであっても!」

「チッ、じゃあ、思い知らせてやるよ!」
ゾディアックをアンデッド:屍龍に攻撃させようとするゲドーだが。

変熊 仮面(へんくま・かめん)
にゃんくま 仮面(にゃんくま・かめん)
高機動型シパーヒーが飛び出して、代わりに攻撃を受ける。

「ふっ……、アイシャ、やっと君らしくなったじゃないか」
アイシャへの送信画面には、薔薇で一杯のコクピットに半裸の美少年が映し出される。
「その毅然とした態度、強い意志……今、君は美しいぞ!」
「あ、ありがとう、変熊さん……」
「女王陛下の露払い……俺様に任せろ!
我はシャンバラ女王アイシャがロイヤルガード!
我が主の思いを叶える為……いざ、参る!」
高機動型シパーヒーに、さらに、
ゲドーが攻撃する。
衝撃で吹き飛ばされる高機動型シパーヒーだが。
「あ〜、ローズ・クレイドル装備しててよかった……」
「舌噛んだ! 舌噛んだ!」
にゃんくま仮面が騒いでいる。
空中をくるくる回転しながら飛んでいく変熊たちだが。
「うえええ、酔った……」
「やめて! 吐かないで! ぎゃーーーーーーーーっ!?」

コックピットの中で大変なことになりつつも、
変熊仮面はアイシャを守ったのだった。

「くっ」
ゲドーは、イコンの武器には攻撃の耐性がない。
さらに、アンデッド:屍龍は、
ダメージを受ければ動けなくなる。
ウゲンの姿をしていることから、周囲の集中攻撃を受け、ゲドーは太平洋上に落下していく。

一方、
神皇 魅華星(しんおう・みかほ)
夜刀龍が、
可憐の澪標と対決する。
「赤き銀光の星の化身、赤銀の女王ここに参上ですわ!
新入生でせっかくパラミタの学校に入れたばかりなのに分断なんてさせぬのでございますわよ」
厨二病っぽく名乗りを上げて、魅華星が攻撃する。
「がんばってください、お嬢様」
カガセ・ミレニアム(かがせ・みれにあむ)が応援する。
多勢に無勢、澪標は、シャンバラ側からの攻撃で、
退けられる。

そして、
ゾディアックそのものに攻撃しなかったとはいえ、
シャンバラ女王に堂々と敵対したことから、
葉月 可憐とパートナーは、
天御柱学院を放校となる。

また、この戦いで、アイシャを命がけで守った功績が認められて、
リア・レオニスは、東シャンバラ・ロイヤルガードに就任する。


ゾディアックは、繭を切り裂き、
味方が突入できる箇所を作ることに成功した。
繭から垂れ下がった糸が、不気味に風になびいていた。