空京

校長室

選択の絆 第二回

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選択の絆 第二回

リアクション


【1】空戦

 地上でも激戦が予想されるが、空中では既にイコン部隊と敵ゴーストイコン部隊が派手に戦いを繰り広げていた。
「有象無象のゴーストイコンに負けるほど落ちぶれてはいませんわ」
 会敵と同時にバスターライフルを敵機に撃ち込むフランチェスカ・ラグーザ(ふらんちぇすか・らぐーざ)
「あまりはしゃぎますと、僚機に落とされてしまいますよ?」
 レーダーを見て状況の把握に努めつつ、フランチェスカに話しかけるカタリナ・アレクサンドリア(かたりな・あれくさんどりあ)
 彼女の手腕により僚機と絶妙の距離を保ち続けられていた。だからこそ、フランチェスカも思う存分暴れられる。
ゾフィエルも、僚機の援護射撃も良好。順調ですわね」
「ええ。友軍機も一騎当千ばりの活躍をしていますし」
 暴れている友軍機、とは。
「お前らの相手は俺だ!」
 ツインリアクターシステムが採用されているアルタグンに乗り、前線で戦い続ける猪川 勇平(いがわ・ゆうへい)
「敵機の撃墜を確認いたしました。このまま友軍機及び僚機の支援を受けつつ、攻撃を続行しましょう」
 勇平のサポートに徹しているのはセイファー・コントラクト(こんとらくと・せいふぁー)。周りの状況をいち早く察し、次は何をするべきかをタイムラグなく勇平に伝えていた。
「にしても、本当にこの作戦に参加してよかったのですか?」
「……全然納得は言ってないが、アイシャがいるなら話は別だ。アイシャの前に敵が入るならっ!」
 アルタグンが敵からの攻撃を紙一重でかわしながら加速する。
「真っ直ぐいって、叩っきるっ!」
 機晶ブレードの柄を両手で持ち人型イコンの頭部から右股関節部分までばっさりと切り下ろす。
 そのまま、左に居た蜘蛛型と蜂型イコンを斬り薙ぐ。
 しかし前線にはいくつもの編隊がいた。別の編隊が勇平に襲い掛かる。
「あなたたちの相手はこっちよ!」
 その横っ面からヒポグリフに乗った辻永 理知(つじなが・りち)がキャノンを撃ちながら接近。
「智緒! この距離、いける!?」
「いってあげるよー!!」
 北月 智緒(きげつ・ちお)が快く返事をし、新式ビームサーベルに持ち替えつつ敵イコンへと猛進する。
 攻撃を受けた敵イコンもヒポグリフに反撃を試みる。
 が、別方向から攻撃を受けて反撃の試みは失敗に終わる。
「味方からの支援? 正確無比でありがたいねー!」
「このまま一気に、持っていく!」
 全速力のまま敵イコンの右肩部から左脇腹部分まで綺麗に両断する智緒。
 周りにいた敵イコンも応戦しようとするが、今度はゾフィエルとアルタグンが立ちはだかる。
「行動の一つ一つに一瞬の迷いがあるから、反撃も出来ず落ちていくのですわ」
「アイシャもそうだが、他の仲間にも手出しはさせねえぞ!」
 ヒポグリフの周りにいた二機を斬り落とすゾフィエルとアルタグン。更に攻撃態勢を整えたヒポグリフも加わり、各僚機からの援護射撃が矢継ぎ早に敵機へと浴びせられる。
 その混戦の合間を縫うようにして精密な狙撃をし、味方を支援する者がいた。
 香 ローザ(じえん・ろーざ)ベータリア・フォルクング(べーたりあ・ふぉるくんぐ)だ。
「あの三機、強いですね」
「ですが万一もあります。支援によりそれを億が一、兆が一。限りなくゼロに近づけることが私たちの目的です」
「その通りですね。少し動きましょう、さすがに狙いづらくなってきました」
 ローザが乗るロード・アナイアレイターは場所を移動しながら、味方機が立ち回りやすいように狙撃を続ける。
 先ほど、理知に反撃をしようとしたイコンを黙らせたのもローザである。
「……前線にいた三機が後退。こちらに向かってきます」
 ベータリアの言葉の通り、三機は一度後退しローザの元へと近寄ってくる。
「さっきは援護はあなた? そうだとしたありがとう! おかげで躊躇なく飛び込めたよ」
「それにここぞという時の絶妙な支援も助かりますわ」
「それほどでもありません。……時に、お三方は覚醒なさるのですか?」
 ローザの問いに理知とフランチェスカはYES、勇平はNOと答えた。
「俺は持続的な戦闘を続けるから、覚醒はなしだ」
「私たちロード・アナイアレイターもそのつもりです」
「ならわたくしのゾフィエルと」
「私のヒポグリフが覚醒するよ! そして制空権を得る!」
 そう言ってゾフィエルとヒポグリフが覚醒する。
 先ほどよりも鋭く、強く、速くなった二機が前線へと舞い戻る。
「絶対零度に晒されて凍りなさい、ですわ」
 二式が放つ極寒の冷気で敵イコンの一部位を氷結させ、全力の全力であるファイナルイコンソードを放つフランチェスカ。彼女に慢心などなく、確実に相手を仕留める。
 対となって動く理知のヒポグリウもまた接近戦に持ち込み、敵に攻撃させる前に各個撃破していく。
 鬼神の如く、目の前にいる敵を次々と圧倒していくゾフィエルとヒポグリフ。
 覚醒によりコントロールが難しくなった分、撃ち漏らしもあるが、そこはローザと勇平がフォローをする。
 四人の連携や先の洋率いるイコン部隊も別の箇所で奮戦を続け、制空権は契約者たち側に傾いていた。