リアクション
卍卍卍 「鬼鎧が配備されるのを待っていたら、マホロバはとっくに亡国の仲間入りじゃないんですか?」 百合園学院牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)はそう言って自分を売り込み、対エリュシオンに派兵された幕府軍遊撃隊に従事していた。 「推定ですが、戦力は第四龍騎士団が約四千、瑞穂藩が一万といったところのようですわ。幕府に関しては、旗本・御家人を合わせて約四万をいったところかしら、マイロード」 魔道書ナコト・オールドワン(なこと・おーるどわん)は、ふふっと笑った。 「七龍騎士の命をご所望ですか」 「そうねぇ、愉しそうな血の匂いがするわねぇ。どんな方なの?」 「帝国では、蒼の審問官と言われ、恐れられてたようですわ。自分達と考えを同じくしないものを異端審問にかけて、これまで二千人ほど死刑宣告をしたそうですね」 「あら、素敵!」 アルコリアは嬉しそうに手を叩いた。 「ますます私の手で殺してあげたいわぁ」 「きゃははっ、龍騎士だよ! 龍騎士がいたー!」 魔鎧ラズン・カプリッチオ(らずん・かぷりっちお)が歓声を上げる。 ラズンたちの前に龍の姿がある。 数からして一個小隊だろうか。 「『神』に死をー! 『恐怖』に死をー!」 ラズンの合図ともにアルコリアはくすりと笑い、がくりうな垂れた。 次に頭をもたげたとき、彼女の瞳が青く輝いていた。 先ほどと違う声音で言う。 「さぁて、ナラカに居た時と同じように傭兵稼業と参りましょうか!」 奈落人アコナイト・アノニマス(あこないと・あのにます)の憑依が完了し、彼女たちは戦場に繰り出す。 ワイバーンが龍を追い、追われながら、『死』への衝動をかきたてる。 卍卍卍 『幕府の兵は数は多くても烏合の衆。 そもそも腰抜けで使い物にならないのだから、いくら多くても意味無し』 幕府軍を揶揄した立て札が立てられていた。 たとえ一個人の能力が高くても、戦闘を教育もろくにされていない兵では、帝国で訓練された龍騎士の相手にもならない。 マホロバ各地では龍騎士団による被害を受け、それは徐々に侵食していった。 |
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