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幕間:教室会議 〜女装と怪人と空飛ぶ鎧〜

 アルクラント達が皆とはぐれてからしばらくして、背後から近づく足音が聞こえてきた。タッタッタ……という駆け寄ってくる足音だ。
「な、何も聞こえない何も聞こえない」
「とか言いながらなんで早足になってるのよ」
「はは、ちょっと最近運動不足でな――」
 言い訳をするアルクラントの真後ろから声がした。
「私マリーちゃん、今あなたの後ろに居るんだ」
 アルクラントが思わず振り向くと、そこにはゴスロリ風の服を着込んだ女の子がバットを振り上げて笑っていた。
「うおおおおおっ!?」
 間一髪で避ける。咄嗟に近くの教室に飛び込んだ。
 だがそこにはまた奇怪な姿があった。頭から足先まで黒いマントで隠れていて顔は見えない。いや、顔なんてないように見える。
「おまえがやったのか……」
「やってない! 私は何も悪いことはしてない!!」
「ふふ……逃がさないよ」
 正面からはマントの怪人、後ろからは危ないゴスロリ娘。気味の悪い人形が増えているのが余計に恐怖をかきたてた。
 もう駄目だとアルクラントが諦めかけたときである。
「サズウェル君でしょ?」
「あれ? シルフィアさんってことは……お父さん?」
 シルフィアの言葉にゴスロリ娘が続いた。
「なんだよサズウェルか。勘弁してくれ……」
 深いため息。いかにビビッていたかが知れようというものだ。
「なんで女装なんてしてるんだよ」
「いやあ。せっかく怪談なんて生まれてるし、後世に残さないと」
「そんなものは残さなくていい。私の仲間が可哀想だ」
 そっちの人は、とアルクラントがマントの人物に視線を送る。
「オレは玖純だ。ちょっとした縁でサズウェルと行動をともにしていた」
「遅くなったけどよろしくな」
「こちらこそ」
 二人は握手を交わす。その様子を眺めていたシルフィアが笑い出した。
「人の不幸を笑うのはどうかと……」
「アル君がサズウェル君たちに怯えてるのが楽しくって」
「いつからシルフィアは倒錯した愛情表現を覚えたのか」
 アルクラントは疲れ果てた顔でその場に座り込んだ。

 しばらくするとクウたちが教室へと入ってきた。
 彼らが話しているとウサギの姿を見つけ追いかけることになるのだが――