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幕間:駆け抜ける人々 〜蒼空学園百鬼夜行〜

「なによこれ」
 ウサギを追いかけて廊下を駆け抜けながらセレンフィリティは口走る。
 その気持ちもわかる。なにせ気付いた時には怪しい連中が目の前に列を作っていたのだから。
「ウサギに続いて空飛ぶ甲冑、ゴスロリ娘に不気味な人形、さらにマントの怪人か。こういう図を東洋ではなんていったかしら」
「百鬼夜行じゃないかな」
 笠置が疑問に答えた。
 なるほど、たしかに妖怪の行列に見えないこともない。
「言いえて妙じゃのう」
「見ている分には楽しいですね♪」
「見るだけならね。まったくどいつも不審者じゃないのよっ!」
 セレンフィリティは言うが、客観的に見れば彼女たちの格好も不審者にあたるだろう。夜の校舎を駆け抜ける水着にロングコートの女である。新しい怪談が増えても不思議はない。
「待った待った! ゴスロリはサズウェルだから攻撃するなよ」
「なにしてんのよあの子は! 似合ってるじゃない!!」
「怒られてるのか褒められてるのかわからないよ」
 サズウェルは笑うが背後のプレッシャーが強すぎて冷たい汗を感じていた。
「オレも味方だから攻撃はしないでくれよ」
 玖純は言うと列から離れた。
「どこにいくの!?」
「このままじゃ埒が明かない。散開して包囲する!」
「その案もらい!」
 玖純が離れるとほぼ同時に各々が別ルートでウサギを包囲しようと行動を開始した。