リアクション
ドーバー海峡横断部の挑戦〜そして伝説へ〜
修学旅行最終日。
間もなく、空港に向かわなければならない時間。
だが、ドーバー海峡には、イギリス修学旅行に参加していた全員が集まっていた。
波が穏やかな、晴天。
向かい側、フランスの空気を含む潮風が、彼らの髪の毛や服をいたずらに揺らしている。
「……来た」
彼らが待ちわびた時が来た。
反対側、フランスのカレー海峡から、海のうえを文字通り走って渡って来た勇者を、イギリス班全員で出迎えようとしていたのだ。
ビキッ、ビキッ。
氷術で海面を凍らせて足場を作り、そこに足を乗せる。
薄い足場はすぐに割れてしまうので、このように危なげな音をたてながら、だがしかし確実に、彼はゴールに近づいていた。
正悟の目に、久しぶりの陸地が見えた。
ずっと氷を踏みしめた足が、あたたかな大地の感触を思い出したように、疼く。
「エミリア! 見えてるか? もう少しだ」
正悟は、この長い旅を支えてくれたパートナーに向かって叫んだ。
「もちろん、見えてる! みんなが!」
エミリアの目にも、陸地と、そしてそこで待っていてくれている人々が、徐々に大きく見えてきた。
そして正悟は、歓声と拍手に包まれて、大地を踏んだ。
ドーバー海峡を走って、渡りきったのだ!
「もしもし? 万事成功! 安心して」
心配しているであろう、出発を見送った鋭峰に、ハイナが国際電話をかけている。
鋭峰も、送り出した者として、引率としての責任以上に、この偉業をやり遂げたかどうかを個人的に気にしていたのだった。
ハイナが電話をしている間、正悟は生徒とたちと握手を交わしていた。
「ありがとうな、みんなありがとう! そしてドーバー海峡、ありがとう!」
「さあ。そろそろ時間。土産話はバスと飛行機の中でじっくりと」
電話を終えたハイナが、ついでに液晶画面で時間を確認し、生徒たちに指示を出した。
生徒たちは振り返り、イギリスとフランスの海を見つめた。
反対側ではフランス班の生徒たちが、きっと同じように海や空を見つめて、思いを馳せているだろう。
同様に、イタリア、そしてドイツの生徒たちも、それぞれの手段で、この修学旅行の終わりを楽しみ、惜しみ、最後の時間を過ごしているはずだ。
今年の修学旅行は、これで終わり。
これから、思い出と、おみやげを鞄いっぱいに詰め込んで、パラミタに帰るのだ。
最後まで、気を抜いてはいけない。
家に帰るまでが修学旅行なのだから。
まず最初に。
遅くなってすみませんでした!
楽しみにしてくださっていた皆様に、余計にお待たせしてしまったこと、心よりお詫び申し上げます。
少しだけ言い訳することをご許可いただけるのなら、皆様の熱意にこたえたかった、と言わせて下さい。
今回、岩崎がこの修学旅行シナリオを担当することになった大きな理由は、岩崎自身がヨーロッパに行ったことがあるということでした。
イギリス以外の各国、足を運んだことがあります(あ、シーランド公国はさすがに行ったことないです)。
……でも。
皆様のアクションを見て、びっくりしました。
岩崎が行ったことない場所や知らない場所がいっぱい書かれていたんです!
もともとあこがれていらっしゃった方も、このためにたくさん調べた方もいらっしゃることと思います。
そういった皆様のアクションに応えるため、岩崎もその土地のことを勉強する必要がありました。
時間はかかってしまいましたが、岩崎も皆様と一緒に、修学旅行に行って来たような気持ちになれました。
新しい発見をさせてくださって、ありがとうございました!
今回の修学旅行は二泊三日ということを宣言させていただいたところ、三日ぶんの行動スケジュールを書かれた方、MCさんとLCさんで別々の行き先を書かれた方などがいらっしゃいました。
それらすべてにお応えすると、膨大な文章量になってしまいますし、ごく一部ですがダブルアクションになってしまうものもございましたので、マスター判断で絞り込ませていただきました。
皆様公平に、そのような処置をさせていただいております。
事情をお察しいただき、ご了承いただければ幸いです。
……というか、もう歩くヨーロッパ辞典になりそうな岩崎です。
これ以上調べ物をしたら、知恵熱が出てしまいます(笑)。
最後にちょびっとだけ無駄話を。
今回、セーヌ川ディナークルーズで、団長が壊れました。
酒酔いと船酔いのダブルパンチで、デッキの手すりでぐったりしましたよね。
実は、あれと全く同じ行動をしたことがある日本人がいるそうです。
船上のお酒、油断しちゃいけませんよね。……ねっ。
ホント、翌日具合悪いので。
それでは、またお会いしましょう。
修学旅行、お疲れ様でした!