リアクション
○ ○ ○ ○ 「よーし、今晩はここに泊まろうぜ!」 「俺のチョコ奪うなよ!!」 「お前は貰ったんじゃなくて、置いてあった菓子自分の袋に詰めただけだろ」 「そりゃてめぇだろが。ぎゃははははっ」 百合園生達が帰還した後も、分校生達は変わらずホールで騒いでいた。 「ヒャッハァー! 静香相変わらず可愛かったぜ! だが、信長のおっさんにパーティ中も資材運搬をさせられてたせいで、チョコもらいそびれたぜ……」 鮪は悔しげに、残り物に手を伸ばす。 「食料貯蔵庫も併設すれば長期の滞在にも耐え易くなるのう……ところで、イリィはどうした?」 内装を見て回りつつ、信長が鮪に尋ねる。 「ん? 眠そうにしてたから、喫茶店で寝てるんだろ。くっそー、チョコレート残ってねぇじゃねぇかー、静香かむばっく!」 ……そんな調子で、鮪はパートナーが消えたことに全く気付いていなかった。 他の分校生達も、事件があったとはいえ、彼等にとってそれは日常的なことで誰もさほど気にしてはいなかった。 だが……。 「とりあえず、オレは番長辞めるぜ」 突然、番長を務めていた竜司が皆の前でそんなことを言い出した。 「新番長が決まるまでは、てめえに任せる」 「は?」 竜司が指を指した先にいたのは、農家の四女シアルだ。 「なんでだよ?」 舎弟の問いに、竜司は沢山のチョコレートが入った袋を持ち上げながら、大きくあくびをした。 「飽きた」 何か適当な理由をつけて、去るつもりだったが……それ以上、何の理由も出てはこなかった。 「今日みたいなコト、これからも沢山あるかもしんねぇのに?」 「……女に不自由してねぇしな! じゃあな」 立ち去ろうとする竜司の前に、舎弟達が立ちふさがる。 「しゃーねーな。俺結構この分校気に入ってるんだけど。番長……いや、竜司さんについていくよ」 「俺も行くぜ。勉強とかメンドーだし、規則とかウゼェし。気ままにいろんなトコ回ろうぜ、リーダー!」 かなりの人数の分校生達が竜司と共に行くことを望んだ。 彼がいなくなれば、この分校からパラ実らしさが更になくなってしまうことが、分かっているのだろう。 「足手まといですな」 竜司のパートナーのアインが冷ややかに言う。 「何だと?」 「てめえこそ足手まといなんだよ、竜司さんは男意気あふれる方だ。番長辞めんだって、ホントは深い理由があることくらいわかってんだよ!」 分校生達がアインに噛み付いていく。舎弟に優しい竜司は、随分と慕われているようだった。 「っ、てめぇらは残れ。番長としての最後の命令だ! 今日は帰るが、オレが離れるかどうかは……保留にしておくぜ。じゃあな!」 竜司は分校生達を払いのけると、わき目も振らずホールから飛び出していった。 「……番長は大丈夫ですよぉ〜。皆がいい子にしていれば、きっと戻ってきますぅ〜」 キャラはそう言いながら『お疲れ様でした』と包装紙に記されているチョコレートを皆に配っていく。 「どうぞですぅ〜」 最後にブラヌに渡すと、ブラヌは警備を終えた後にアマーリエから貰ったチョコと一緒に掲げてこう大声を上げる。 「近いうちに、吉永番長の提案のバトルロイヤルやろうぜー!」 途端、歓声が上がる。 前哨戦のように取っ組み合いを始める分校生達も出だす。 そうして、彼等の宴会は朝まで続いた。 薬が入った飲食物もうっかり食べたり飲んだり。 怒って泣いて笑って。 それでも、それさえも楽しそうに――。 担当マスターより▼担当マスター 川岸満里亜 ▼マスターコメント
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